ロバート・コスタンザ教授とIPBES(ラリゴーデリー事務局長・ディジバ博士)が生物多様性と生態系サービスの科学的評価を通して、持続可能な経済活動へのパラダイムシフトの実現を提言
PR TIMES / 2024年10月22日 17時45分
2024 年(第 33 回)ブループラネット賞 受賞者記者会見を実施
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(左から)ロバート・コスタンザ教授、アン・ラリゴーデリー事務局長、ルサンド・ディジバ博士
公益財団法人旭硝子財団(理事長 島村琢哉、所在地 東京都千代田区)は、今年で33回目を迎える、ブループラネット賞(地球環境国際賞)の2024年の受賞者記者会見を10月22日(火)に経団連会館カンファレンスにて開催いたしました。
会見当日は、本年度の受賞者である、「生態経済学」という新しい学術分野を創出し持続可能な社会の実現に向けた政策提言を行っているロバート・コスタンザ教授と、受賞団体である、生物多様性についての知見と科学的評価を提供している政府間組織IPBES(イプベス)のアン・ラリゴーデリー事務局長とルサンド・ディジバ博士から受賞のご挨拶をいただきました。
受賞への想いや自身の研究について、ロバート・コスタンザ教授は「有限な地球資源において、生態系サービスによる価値を認識し、持続可能なウェルビーイングな未来を目指していくことが大切です。そのためには、GDPの成長だけではなく、経済界においてもパラダイムシフトを実現する必要があります」と述べました。また、受賞団体、IPBESのアン・ラリゴーデリー事務局長は「IPBESが発表している評価報告書では、生物多様性の回復に向けて、科学的に必要な事柄は明確になっています。しかしながら実施のペースはまだ遅く不十分なため、環境に関連する省庁だけではなく、政府横断的に取り組んでいく必要があります」と、ルサンド・ディジバ博士は「野生種の減少、人間による土地利用の増加、侵略的外来種の増加など、地球に関する数字から、どこに変革のチャンスがあるか可視化していくことが重要です。今後人類の将来に対してどのような影響が出てくるのか、深く評価していきたい」と語りました。
環境問題について学ぶ日本の学生や研究者に対し、ロバート・コスタンザ教授は「皆が公平に暮らしている未来や、SDGsのようなポジティブな共通のビジョンを持つことが必要です。すでに提示されている、とるべき行動の選択肢をどう進めていくのか考え、ぜひ将来を担っていく世代のみなさんにも行動を起こしてほしい」と語り、アン・ラリゴーデリー事務局長は「対策やアクションを取るのに遅すぎるということはありません、行動を起こせば成果はすぐに出ます。生物多様性と人間とのつながりや問題を認識し、行動を起こすために、ぜひ有益な情報を得てほしい。IPBESもそのために情報提供していきます」と応援のメッセージを残しました。
今後は、表彰式典を10月23日(水)に東京會舘(東京都千代田区)で、受賞者による記念講演会を10月24日(木)に東京大学、10月26日(土)に京都大学で開催いたします。
<受賞者プロフィール>
1.ロバート・コスタンザ教授(米国・オーストラリア) 1950年9月14日 米国生まれ
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、グローバル・プロスペリティ研究所
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コスタンザ教授は、1997年の論文で、自然環境が人間に提供する生態系サービス※1の経済的価値が、当時の世界のGDP総額を上回っていることを初めて実証し、それまで過小評価されていた生態系サービスの重要性を世界に示した。経済は社会と有限な生物圏に組み込まれていると考える「生態経済学」という新しい学術分野の共同創始者でもあり、生態系が持続可能である幸福な社会の実現を積極的に提唱している。
※1 自然の生態系が人間にもたらす恩恵のこと。例:水供給、気候の調節、景観、受粉など。
2.生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム (IPBESイプベス)
設立:2012年4月21日(事務局:ドイツ)
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IPBESは、生物多様性、生態系サービス、そして自然が人間にもたらすものについての知見と科学における最先端の国際機関である。IPBESの画期的な報告書は、様々な規模、分野、知識体系において科学に基づいた政策や行動の基盤となっている。企業による環境への影響の評価、開示、改善も始まっており、IPBESの評価報告書は、企業のサステナビリティ戦略やESG(環境、社会、ガバナンス)活動の構築に役立てられている。
ブループラネット賞について
人類が解決を求められているグローバルな諸問題の中で、最も重要な課題の一つが地球環境の保全です。地球温暖化、酸性雨、オゾン層の破壊、熱帯雨林の減少、河川・海洋汚染などの地球環境の悪化は、いずれも私達人間の経済活動や生活が大自然に影響を及ぼした結果です。
旭硝子財団は、地球環境の修復を願い、地球サミットが開催された1992年(平成4年)に、地球環境問題の解決に向けて著しい貢献をした個人または組織に対して、その業績を称える地球環境国際賞「ブループラネット賞」を創設いたしました。
賞の名称 ブループラネットは人類として初めて宇宙から地球を眺めた宇宙飛行士ガガーリン氏の言葉「地球は青かった」にちなんで名付けました。この青い地球が未来にわたり、人類の共有財産として存在しつづけるように、との祈りがこめられています。
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賞状とトロフィー
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