京都フュージョニアリング、国内有数の真空ポンプメーカーである三國重工業と燃料排気用真空ポンプを共同開発
PR TIMES / 2023年12月18日 15時15分
- 中型・小型モデルを共同開発、実験炉から商用炉までの需要に対応 -
京都フュージョニアリング株式会社は、コンプレッサおよび真空ポンプの専業メーカーである三國重工業株式会社(以下、三國重工業)とともに、フュージョンエネルギー(核融合)発電プラントに必要不可欠となる燃料排気用真空ポンプを共同開発しました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/72520/32/resize/d72520-32-6ebeb011a127a2f0e42a-0.png ]
【共同開発の背景】
近年、フュージョンエネルギーの実現に向け、世界中の様々な研究機関や企業が研究開発を進めています。核融合反応そのものを起こすための研究開発には多くのプレイヤーが存在するなか、当社はフュージョンエネルギープラントの全体設計および関連装置・システムの開発を事業とし、独自のポジションを確立しています。具体的には、核融合反応を起こすため炉心を超高温に加熱するジャイロトロンシステムの開発や、核融合反応により発生するエネルギーから熱を取り出し発電につなげていく熱サイクルシステム(Thermal Cycle System)、炉心プラズマへの安定かつ安全な燃料供給を行う燃料サイクルシステム(Fuel Cycle System)の開発を主軸に取り組んでいます。
燃料サイクルシステムは、トリチウム(三重水素)などの水素同位体ガスを炉心から排気・分離・循環させる技術と様々な関連装置によって構成されます。真空ポンプはその中でも重水素・トリチウムを安全かつ安定して排気するという重要な機能を果たしています。
そこで、国内でも有数の真空ポンプメーカーである三國重工業と連携し、同社が長年培ってきた真空ポンプの開発力と特殊な仕様への対応力に、当社が持つフュージョンエネルギーのノウハウを掛け合わせることで、今回発表するフュージョンエネルギーに適応した燃料排気用真空ポンプを共同開発しました。この真空ポンプの開発は、三國重工業が世界に誇る技術力が、フュージョンエネルギーという高度かつ精密な設計が求められる分野においてもいかんなく発揮されることを証明するとともに、当社が取り組む燃料サイクルシステムの研究開発のさらなる前進、ひいてはフュージョンエネルギーの早期実現と産業化に大きく貢献するものです。
【真空ポンプの必要性とその役割】
・炉心では、核融合反応が起こりやすい環境の維持が必要
フュージョンエネルギーの源となる核融合反応は、炉心で起こります。ここで重水素とトリチウムの核融合反応が生じることで高エネルギーが発生します。このエネルギーから熱を取り出しガスや液体金属等で回収し、その熱を用いてタービンを回転させることで発電するシステムが、一連のフュージョンエネルギー発電のプロセスです。
その前提として、炉内で持続的かつ効率的に核融合反応が起こり続ける状況を保たなければならず、これを実現するために不可欠なのが「ダイバータ」と「真空ポンプ」です。
・核融合反応により発生するトリチウムを含む混合ガスを安定して炉外に排気
核融合反応が起こると、燃料粒子とヘリウムが発生します。核融合反応を連続的に行うと炉心のヘリウム濃度が上がってしまうため、連続して安定的にトリチウム・重水素・ヘリウム等を含む混合ガスを排気し、常に新しい原料ガスを供給する必要があります。
今回、共同開発した真空ポンプはこの役割を担うため、放射性物質であるトリチウムに対する高い耐久性をもち、対象となるヘリウム・重水素・トリチウム等において高い排気性能を有します。
【共同開発したポンプの特徴】
[画像2: https://prtimes.jp/i/72520/32/resize/d72520-32-002b1c14d74120648dee-0.png ]
1.トリチウム環境下での高耐久性
従来モデルと同じくポンプとしての高耐久性だけではなく、接ガス部分はオイルフリーであり、有機物の使用を最小限に抑えることで、放射性物質であるトリチウムに触れ続けても劣化しにくい高い耐久性を実現しました。
2.軽元素での高い排気性能
本ポンプはエアー・窒素等で高い排気性能を発揮するだけはなく、通常ポンプにおいて性能が発揮しにくい水素・重水素・トリチウム・ヘリウム等の軽元素でもほぼ同様の排気性能を発揮することができます。
3.小型サイズも開発
燃料サイクルシステムには複数台の真空ポンプを設置するため、将来的な商用炉での需要が見込まれますが、設置箇所により求められる性能や設置可能なサイズが異なります。そのため、小型サイズも開発することで、適した箇所に適切なサイズの真空ポンプを設置することを可能にしました。また、現在世界中で開発が進められている実験炉は、商用炉と比較して小型のものが多く、関連装置も小型化したものが必要になることから、直近の市場においても需要が見込まれます。
【三國重工業株式会社について】
国の内外を問わずほとんど全ての産業界(石油プラント、化学、電力、鉄鋼、繊維、食品、薬品、電子、製紙、ガス、原子力産業など)において、日夜たゆまず気体(空気、ガス)の昇圧、圧送、吸引などを担うコンプレッサおよび真空ポンプの専業メーカーです。
弊社の製造した機械がその役目を十分に果たして産業の発展に寄与し、お客様の期待と信頼にお応えできるよう、創業以来130年有余にわたって往復(レシプロ)式コンプレッサメーカーとして培ってきたモノづくり精神を原点に、最大限の知識、技能、技術と細心の注意を結集して製造・出荷しております。
<会社概要>
会社名 三國重工業株式会社
設立 1934年10月1日 (創業 1894年)
事業内容 空気・ガスコンプレッサ・真空ポンプの研究・技術開発と製造販売
代表者 代表取締役社長 佐上 栄介 (さがみ えいすけ)
社員数 60名 (グループ全体 280名)
所在地 大阪市淀川区三国本町3丁目20番13号 (本社)
山口県防府市大字台道字国木峠7070 (山口工場)
HP https://www.mikuni-group.co.jp/index.html
【京都フュージョニアリング株式会社について】
当社は、京都大学の長年にわたる核融合研究の成果に基づき2019年に設立された、フュージョンエネルギープラント機器の開発に特色を持つエンジニアリング企業です。
プラズマ加熱装置、熱取り出しブランケット、高性能熱交換器、水素同位体移送ポンプを始めとした先端核融合工学分野において世界有数の技術力を有しており、英国原子力公社を始め全世界の核融合研究開発機関・企業を顧客に持ちます。
日本のものづくり力を結集し、革新的なエンジニアリングソリューションを世界に提供することで、人類に究極のクリーンエネルギーを提供し、フュージョンエネルギーという新たな世界市場を創出することを目指しています。
<会社概要>
会社名 京都フュージョニアリング株式会社
設立 2019年10月
事業内容 フュージョンエネルギープラント関連装置・システムの研究開発
およびプラントエンジニアリング
代表者 代表取締役社長 小西 哲之(こにし さとし)
社員数 103名 (2023年10月1日時点、派遣・業務委託・海外子会社含む)
所在地 東京都千代田区大手町(本社)
・京都府宇治市五ケ庄(研究拠点・京都大学宇治キャンパス内)
・英国バークシャー州レディング(英国子会社オフィス)
・米国ワシントン州シアトル(米国子会社オフィス)
HP https://kyotofusioneering.com/
採用ページ https://kyotofusioneering.com/joinus
ブログ https://kyotofusioneering.com/news_category/blog
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