グリーンイノベーション基金事業「製鉄プロセスにおける水素活用」で新たなテーマに着手
PR TIMES / 2024年4月15日 12時15分
―製鉄プロセス全体でCO2排出量の50%以上削減を目指す―
NEDOは、グリーンイノベーション基金事業の一環として、製造過程でCO2を多く排出する鉄鋼業の脱炭素化へ向け、「製鉄プロセスにおける水素活用」プロジェクト(以下、本プロジェクト)を進めています。このたび、本プロジェクトの研究開発項目の一つである「水素だけで低品位の鉄鉱石を還元する直接水素還元技術の開発」の新たなテーマとして、「直接還元鉄を活用した電気溶融炉による高効率溶解等技術開発」に着手します。
本テーマでは、低品位の鉄鉱石の水素直接還元から電気溶融炉、転炉に至る一貫したプロセスにより、製鉄プロセス全体から化石燃料の使用量を削減する技術を開発します。低品位の鉄鉱石を直接還元する技術を確立することにより、2030年までにCO2排出量を50%以上削減する技術の開発を目指します。
1.グリーンイノベーション基金事業について
日本政府は2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2050年までに温室効果ガス(GHG)の排出量を全体としてゼロにする目標を掲げました。この目標は従来の政府方針を大幅に前倒しするものであり、実現するにはエネルギー・産業部門の構造転換や大胆な投資によるイノベーションなど現行の取り組みを大きく加速させる必要があります。このため、経済産業省はNEDOに総額2兆円の基金を造成し、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業などを研究開発・実証から社会実装まで10年間継続して支援するグリーンイノベーション基金事業(以下、本基金事業)を立ち上げました。本基金事業はグリーン成長戦略※1で実行計画を策定している重点分野を支援対象としています。また、令和4年度第2次補正予算により3000億円が積み増しされており、令和5年度当初予算により4564億円が積み増しされました。
なお、NEDOは本基金事業の取り組みや関連技術の動向などをわかりやすく伝えていくために、「グリーンイノベーション基金事業 特設サイト※2」を公開しています。
2.本プロジェクトの背景
本プロジェクト※3では、グリーン成長戦略の重点分野のうち「マテリアル産業」を支援対象としています。社会の基盤となる製品の材料を供給する鉄鋼業におけるカーボンニュートラル実現のためには、原料や還元剤において化石燃料から脱却するという、製鉄プロセスそのものの抜本的な転換が求められており、現在、鉄鉱石の還元に水素を用いる水素還元製鉄の研究を進めています。
一方、電気溶融炉は、高炉と同様の連続操業による出銑(しゅっせん)と、スラグ連続排出による不純物除去が可能な構造であることから、水素直接還元から電気溶融炉、転炉に至る一貫プロセスにおいて、低品位鉄鉱石を使用しても高品質と高生産性を両立できる製鉄プロセスとなる可能性があります。そして低品位の鉄鉱石を直接還元する技術を確立することにより、2030年までにCO2の排出量を50%以上削減する技術の開発を目指しています。
このような背景の下、NEDOは経済産業省が策定した「研究開発・社会実装計画※4」に基づき、このたび本プロジェクトにおいて、新たなテーマを採択しました。
3.実施内容・採択テーマ
【研究開発項目2】水素だけで低品位の鉄鉱石を還元する直接水素還元技術の開発
研究開発内容[3]直接還元鉄を活用した電気溶融炉による高効率溶解等技術開発
低品位の鉄鉱石の水素直接還元-電気溶融炉-転炉一貫プロセスにより、高炉法プロセスを代替し得る生産効率を実現するとともに、生成する鉄の不純物の濃度を高炉法並みに制御する技術を開発します。また、電気溶融炉において副生するスラグを国内セメント用途向け品質に制御する技術を開発します。
事業名:グリーンイノベーション基金事業/製鉄プロセスにおける水素活用
採択テーマ:[3]直接還元鉄を活用した電気溶融炉による高効率溶解等技術開発
予算:230億円(NEDO支援規模)
期間:2024年度~2028年度(予定)
採択テーマの詳細と実施予定先は、以下の実施予定先一覧と事業概要資料をご覧ください。
(別紙1)実施予定先一覧
(別紙2)事業概要資料
【注釈】
※1 グリーン成長戦略
日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」への挑戦を、経済と環境の好循環につなげるための産業政策として、2021年6月18日に経済産業省が関係省庁と連携して「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。
※2 グリーンイノベーション基金事業 特設サイト https://green-innovation.nedo.go.jp
※3 本プロジェクト
プロジェクト概要:製鉄プロセスにおける水素活用 https://green-innovation.nedo.go.jp/project/utilization-hydrogen-steelmaking/
※4 研究開発・社会実装計画
グリーンイノベーション基金の適正かつ効率的な執行に向けて、経済産業省においてグリーンイノベーション基金で実施する本プロジェクトの内容を「研究開発・社会実装計画」として策定しました。
グリーンイノベーション基金事業「製鉄プロセスにおける水素活用」プロジェクトに関する研究開発・社会実装計画https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/gifund/pdf/gif_05_randd_r2.pdf
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