国内初、洋上風力発電施設用TLP型浮体を実海域に設置
PR TIMES / 2024年8月27日 12時45分
~漁業への配慮と高い発電効率を兼ね備えた浮体式基礎構造体の実証実験を開始~
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、青森県下北郡東通村岩屋の沖合3kmの海域に、浮体式洋上風力発電施設のうち、国内で初めて(※1) 緊張係留方式のTLP(テンション・レグ・プラットフォーム)型浮体を設置し、1年間の挙動観測を開始しました。本実証における「浮体および係留システム」は、一般財団法人日本海事協会の船級検査を完了し、船級を取得しています。
※【動画】TLP型浮体の実証実験【4分36秒】
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/118168/61/118168-61-bba56cbed611a3d466747aa195f73aa6-2067x1163.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
曳航
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/118168/61/118168-61-7d4f5388363737d1b5c1f9c6898e0477-2067x1163.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
浮体の浜出し
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/118168/61/118168-61-d2ccd34aa2b8716785cb8c539e42057c-1792x1102.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
設置完了
1. 開発の背景
洋上風力発電施設の基礎構造形式(※2)は、海底に基礎を構築して風車を支持する着床式と、海に浮かべた基礎に風車を設置する浮体式があります。現在、日本における洋上風力発電の基礎構造体はほとんどが着床式ですが、着床式は比較的水深が浅い場合に適した形式のため、遠浅の海域が少ない日本では、水深が深い海域に適した浮体式の導入が期待されています。
浮体式は、係留方式として、スパー型やセミサブ型などのカテナリー方式が実用化されつつあるものの浮体動揺が大きく、発電効率が低いことなどが課題です。一方、TLP型は、浮体の動揺安定性や発電効率が高いことが期待されるとともに、海域の占有面積が小さく、漁業への影響が少ないことが特長です。しかし、TLP型は一般的に設置が難しいとされており、海底油田などでは実績はあるものの、洋上風力発電の基礎として国内での施工実績はなく、実用化されていません。
大林組は、着床式と浮体式のあらゆる基礎構造形式を対象に、洋上風力全般の技術開発に取り組んでいます。とりわけ将来有力なTLP型浮体の開発に取り組んでおり、2018年には一般財団法人日本海事協会から基本設計承認を取得するなど、着実に技術成熟度を高めてきました。
今般、当社独自の設置方法(特許出願中)を用いて、出力15MW級の風車を搭載する浮体の5分の1サイズのTLP型浮体を実海域に設置し、1年間(2024年7月から2025年7月)にわたって、実波浪条件下での浮体の動揺安定性や係留材の緊張力の変化などを確認する挙動観測を開始しました。
2. 実証実験の内容
(1)ハイブリッド構造の採用
TLP型浮体は、海底に設置されたアンカーをテンドンと呼ばれる緊張係留材で定着させ、浮体の浮力によって生じる緊張力を利用して基礎として機能させます。本実証実験では、浮体製作の低コスト化、大量生産を図るため、鉄筋コンクリートと鋼製部材によるハイブリッド構造を採用しました。また、テンドンには低クリープ高強度合成繊維ロープを採用し、TLP型浮体との適用性を検証しています。
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/118168/61/118168-61-e4a053bbdf83ba2874e55d74915ffef5-2067x1417.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
TLP型浮体と構成イメージ
(2)設置方法の確立
TLP型浮体は設置時に一時的に不安定になるという困難さがありますが、それを克服するために当社は大型の専用船などを使用せずに浮体の安定を保ちながら設置する方法を確立しました。(特許出願中)
(3)構造妥当性の検証
1年間の挙動観測を通して実波浪下での動揺安定性の確認や、コンクリート浮体の水密性の検証を行い、TLP型浮体の耐用性を確認していきます。
3. 今後の展望
今回の浮体には風車を搭載していませんが、今後は風車を搭載した浮体による実海域実証実験を行うことで、商用化に向けた開発を推進していきます。
今後も2030年以降のTLP型洋上風力発電施設の社会実装の実現に向けて技術開発を推進するなど、洋上風力をはじめとした再生可能エネルギー普及を通じて、カーボンニュートラルの実現に貢献していきます。
※1 自社調べ(2024年7月) 「洋上風力発電施設用TLP型浮体を実海域に設置」が国内初
※2 洋上風力発電施設の基礎構造形式の特徴
[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/118168/61/118168-61-603c6113f64ee552e3aeefbb9af80b30-2067x1100.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
関連情報
【動画】TLP浮体式洋上風力発電基礎の開発~2050カーボンニュートラルの実現にむけて~【11分22秒】
洋上風力発電に関する着床式・浮体式2つの建設技術を確立しました(2019.11.13付)
3Dプリンターで製作した模型でTLP型浮体式洋上風力発電施設の設置方法の妥当性を確認(2023.11.22付)
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ
この記事に関連するニュース
-
日本郵船と秋田曳船 洋上風力に関する新たな船の管理会社を設立 地元の雇用を進め60人規模目指す
ABS秋田放送 / 2025年1月14日 18時18分
-
JOGMECが公募した洋上風力発電の導入促進に向けた浮体式海底地盤調査実施者に採択されました
PR TIMES / 2025年1月14日 15時15分
-
輪島沖で洋上風力発電計画 30年代開始、雇用創出も
共同通信 / 2025年1月8日 16時29分
-
驚嘆!中国のこの風力発電プラットフォームはハリケーンに耐えられる―スペインメディア
Record China / 2024年12月24日 8時0分
-
米カリフォルニア州と西海岸の港湾が洋上風力発電開発に関する合意発表(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月24日 1時15分
ランキング
-
11時間半の山越えバスが“タダ”!? 岐阜山間部の2大都市を結ぶ無料シャトルバス運行
乗りものニュース / 2025年1月15日 14時12分
-
2裏切られた気持ちでいっぱいです…月収25万円・65歳サラリーマン、毎年「ねんきん定期便」を必ずチェック、年金月19万円のはずが「初めての年金振込日」に知った衝撃事実に撃沈
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月15日 8時15分
-
3悪質なデータ復旧事業者「レスキュー商法」の手口 多発する「納得できない作業結果と費用請求」
東洋経済オンライン / 2025年1月15日 8時0分
-
4松屋が「本気のガチ中華」で投入した商品の"正体" 「中華一番」の作者も唸る「水煮牛肉」の実力
東洋経済オンライン / 2025年1月15日 8時40分
-
5理想の体形や収入がいつまでも手に入らない理由 強い願いも「無意識」に打ち負かされてしまう
東洋経済オンライン / 2025年1月15日 8時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください