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ドイツで急増するヘイトクライム

PR TIMES / 2016年6月10日 9時50分

難民への暴行事件は1年で4倍に

アムネスティはドイツにおけるヘイトクライムに関する調査を行い、人種、民族、宗教に基づく暴力事件が、この2年で87%増となっていると発表した。難民保護施設への襲撃は16倍である。アムネスティは保護措置が早急に必要であり、法執行機関に偏見がないか調査すべきだと、警鐘を鳴らす。



[画像: http://prtimes.jp/i/5141/97/resize/d5141-97-718631-1.jpg ]



調査によれば、人種、民族、宗教的少数派が受けた暴力事件は、2013年の693件から14年には844件、15年には1,295件に増加している。難民保護施設に対する犯罪行為は、13年63件、14年199件、15年1,031件である。難民に対する暴行は2015年に1,082件あり、14年の4倍となっている。この急増に対し、ヘイトクライムへの法執行機関の対応は、明らかに不十分である。

2015年、ドレスデンで襲われたクルド人青年は語る。「あの事件以来、友だちはみんな怖がっている。僕はシリアの戦争から逃れてきた。なのにドイツでもおびえて暮らすことになるなんて……」

ドイツ市民はヨーロッパで最も難民に対して寛大な姿勢を見せている。その一方で、昨年1年を通じて週6件もの難民反対デモが起きている。大勢の難民、難民認定申請者、その友人知人が襲われ、恐怖の中で暮らす羽目になっている。

人種差別犯罪での捜査や起訴が不十分である点は、百万の難民が押し寄せる前から、懸念されてきた。象徴的なのは、2000年から07年にかけて起こった、極右グループNSU(国家社会主義地下組織)による連続殺人事件である。トルコ系男性8人、ギリシャ系男性1人、ドイツ警官1人が殺害されたが、背景に人種主義的な動機があることを示す手がかりがあったにもかかわらず、それを追わなかった。

一方、報告によれば、犠牲者の親族は警察に不当に扱われたと感じていた。

「一度も被害者として扱われたことはなかった」

2005年6月15日ミュンヘンでNSUによって夫を殺されたイヴォンヌ・ブルガリデスさんは、アムネスティにこう話す。

「警察や政治家は、私たちのことをいつも容疑者扱いだった。まるでこちらが何かを隠しているとでもいうように。誰も私たちの話を聞こうとはしなかった」

NSU事件捜査の不手際に対する審問では多くの勧告がなされ、勧告は法執行機関で実行に移された。しかし、今も人種差別的な動機が疑われる事件に真摯に取り組んでいるとは思えない状況が続いている。警察や検察に偏見があるのでは、という疑問はぬぐえない。

トルコ出身のアブドラマンさんは、2013年9月、ベルンブルク駅にあるケバブ店を閉めようとしたところを9人の男に襲われ、重傷を負った。犯人を目撃した彼と友人によれば、現場の警官は、証拠である凶器を犯人たちに返したそうだ。法廷では、人種差別的な動機は十分考慮されず、証拠の不在が、正当防衛だという犯人たちの主張を補強する形となった。

政治的動機の犯罪(ヘイトクライムのその一部)に関する分類システムの複雑さが、こうした状況を生む一因でもある。ある犯罪を人種差別犯罪扱いするには、高いハードルが存在するのだ。警察は、人種差別が動機とみられる犯罪はすべて、ヘイトクライムとして扱うべきである。


アムネスティ・インターナショナル日本
http://www.amnesty.or.jp

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