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「温室効果ガス」の排出抑制、取り組む企業は82.6%に

PR TIMES / 2021年1月19日 19時15分

「2050年カーボンニュートラル目標」、企業の43.4%が「達成は困難」と予想

政府は「2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロ」を目標に掲げた。2021年度税制改正大綱や総合経済対策に「脱炭素」や「カーボンニュートラル」に関する項目が盛り込まれるなど、企業への支援策などが積極的に打ち出されている。また、世界的な機運の高まりを受けて、政府や自治体のみならず民間企業においても取り組み目標を掲げる動きも現れており、それぞれの対応が今まで以上に注目されている。
そこで、帝国データバンクは温室効果ガスの排出抑制や削減に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2020年12月調査とともに行った。



調査結果<要旨>

温室効果ガスの排出抑制に取り組んでいる企業は82.6%にのぼった。規模別では大企業(88.8%)で高く、業界別では『製造』(87.1%)がトップ。また、取り組み内容について尋ねたところ、「省エネ」が43.0%で最も高い(複数回答、以下同)。次いで「クールビズの実施(ウォームビズ含む)」(42.6%)や「ハイブリッド車、電気自動車の導入」(28.0%)などが続いた
温室効果ガスの排出抑制に取り組む目的では、電気料金などの「コストの削減」が55.7%でトップだった(複数回答、以下同)。次いで「法令順守」も48.9%で高い。また、「CSR(企業の社会的責任)の一環」や「SDGsへの対応」など、企業としての見られ方に関する項目では大企業で割合が高く、「資格や認証の取得」や、「ステークホルダーとの良好な関係の構築」においても同様の傾向がみられる
温室効果ガスの排出抑制への取り組みにおける課題では、「他に優先すべき項目がある」が27.4%で最も高い(複数回答、以下同)。「主導する人材(部署)がいない」(26.9%)や「どこまで取り組めばいいのかわからない」(25.8%)、「取り組むためのノウハウやスキルがない」(24.5%)も2割台で続いている
政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」目標に対して、日本全体における達成可能性を尋ねたところ、企業の15.8%が「達成可能」と考えていた。一方で、「達成は困難」とした企業は43.4%にのぼり、「達成できない」は17.9%だった。企業からは、具体的な取り組みのガイドラインや方法を求める意見が多くみられた


温室効果ガス排出抑制に取り組んでいる企業は82.6%、特に大企業で高い

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温室効果ガスの排出抑制に対して、企業の82.6%が「取り組んでいる」と回答し、8割超にのぼった。他方、「取り組んでいない」企業は13.6%、「分からない」は3.8%だった。規模別では、大企業が88.8%となり全体の数値を大きく上回った。また、中小企業は81.3%、小規模企業は76.1%で、企業規模による差が大きく表れている。

また、業界別では『製造』が87.1%で最も高く、次いで『金融』(82.7%)、『建設』(82.6%)が続くなど、多くの業界で8割台となった。一方で、最も低い『サービス』でも78.6%となっており、突出して低い業界はみられなかった。
[画像2: https://prtimes.jp/i/43465/234/resize/d43465-234-248432-1.jpg ]


取り組み内容のトップは節電や節水など「省エネ」、身近にできることから取り組む傾向

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実際に取り組んでいる内容について尋ねたところ、節電や節水などによる「省エネ」が43.0%でトップとなった(複数回答、以下同)。次いで、「クールビズの実施(ウォームビズ含む)」(42.6%)や「ハイブリッド車、電気自動車の導入」(28.0%)、「廃棄物の抑制」(22.2%)などが続いた。

また、政府が資金援助などを表明し力を入れている項目に関して、「環境に配慮した商品やサービスの開発」は10.9%、太陽光や風力発電などによる「クリーンエネルギーの導入や切り替え」は10.6%にとどまった。

企業からは、「社内照明のLED化、空調機の省エネ設備化などの細かな施策を実施した」(信号装置工事、岐阜県)や「貨物トラックの利用と従業員の車両通勤であるが、まずは社用車もハイブリッド車を使用して環境配慮を行っている」(野菜卸売、三重県)、「燃焼効率の良いボイラーへ切り替え、プラスチック・ビニール製をバイオマス使用に変更するなどに取り組んでいる」(水産練製品製造、北海道)といった積極的な意見がみられる。一方で、「大企業を中心に大きな成果を出すことに加え、個人レベルでもある程度の協力がなければ持続性も含めて困難」(建設工事、兵庫県)などの意見もあげられた。


取り組む目的は「コストの削減」がトップ、大企業では企業の見られ方を意識する傾向
温室効果ガスの排出抑制に取り組んでいる企業にその目的を尋ねたところ、電気料金などの「コストの削減」が55.7%でトップとなった(複数回答、以下同)。さらに「法令順守」が48.9%で続いた。また、「CSR(企業の社会的責任)の一環」(24.6%)や「SDGsへの対応」(22.7%)といった企業の見られ方に関する項目も上位となった。こうした項目は特に大企業で高く、ISOやエコアクション21などの「資格や認証の取得」や、取引条件の改善などに向けた「ステークホルダーとの良好な関係の構築」においても中小企業より大企業の方が高い。企業からも、「顧客や世間の要請に応えなくては生き残っていくことはできない」(仕上用・皮膚用化粧品製造、埼玉県)や「今年度にエコアクション21を取得し温室効果ガス排出抑制等の環境保護活動に注力している」(写真機・同付属品製造、大阪府)、「省エネ・低炭素・ゼロエネ住宅を自社の競争力としている」(木造建築工事、北海道)などの声があげられた。
[画像4: https://prtimes.jp/i/43465/234/resize/d43465-234-486187-3.jpg ]

取り組み課題は「他に優先すべき項目がある」がトップ、人材やノウハウの課題も上位
温室効果ガスの排出抑制への取り組みにおける課題について尋ねたところ、「他に優先すべき項目がある」が27.4%で最も高くなった(複数回答、以下同)。次いで、「主導する人材(部署)がいない」(26.9%)や「どこまで取り組めばいいのかわからない」(25.8%)、「取り組むためのノウハウやスキルがない」(24.5%)も2割台で続いている。

企業からは、「新型コロナ感染防止対策などに対して労力を使ってしまっている」(金属加工機部品製造、群馬県)など、取り組みに対して現状の景況感により難しいと考える意見が多い。また、「コストをどこまでかけて対応すべきかわからない」(各種機械・同部分品製造修理、新潟県)や「自社の事業活動において、業界で標準的な基礎数値が無いため、どこまで取り組むべきなのかの基準や方法、評価の仕方などがわからない」(窯業・土石製品製造、東京都)といった意見があげられている。
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「2050年カーボンニュートラル」目標、企業の43.4%が「達成は困難」と予想


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2020年10月、政府は「2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す」と宣言した。同年12月25日には「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を発表するなど、目標の達成に向けて本格的に動き出した。こうした政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」目標に関して、日本全体における達成可能性を尋ねたところ、企業の15.8%が「達成可能」と考えていた。うち、「今以上の取り組みをすることで達成可能」は13.3%、「現在の取り組みで達成可能」は2.5%だった。

一方で、「達成は困難」とした企業は43.4%と4割を超えた。さらに、「達成できない」は17.9%だった。企業からは、温室効果ガスの排出抑制などの環境問題への取り組みは必要であるとしつつも、「目標を達成するためのロードマップを示す必要があり、産業界との連携を深める必要がある」(電気計測器製造、神奈川県)や「言うは易し行うは難しで、具体的な計画と目標が分からない」(し尿収集運搬、石川県)、「取り組みについて何をどのようにすべきか、何を手始めに重点的に取り組むかなどの明確な説明が必要」(農産保存食料品製造、大分県)のような、具体的な目標や方法がわからないためロードマップや明確な説明などを示してほしいという意見が多くあげられている。
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新型コロナの対応に追われ、「温室効果ガス」問題の優先度が低い実態も
本調査によると温室効果ガスの排出抑制に取り組んでいる企業は82.6%となり、8割超となった。その取り組み内容では、節電・節水などの省エネやクールビズなどの身近な部分からの取り組みがあげられている。また、取り組む目的では電気料金などのコストの削減や法令順守が上位となった。CSRやSDGsへの対応もあげられたが、こうした「企業の見られ方」に関する項目は大企業で割合が高く、この他にもISOやエコアクション21などの資格や認証の取得や、ステークホルダーとの良好な関係の構築といった項目でも同様の傾向がみられる。

一方で、取り組みにおける課題に関しては、現状として他に取り組むべき項目があり、主導する人材や取り組みの程度、ノウハウやスキル面の課題があげられている。現在は各社とも新型コロナウイルスによる業績への影響に対する施策などが求められており、温室効果ガス排出抑制に対する取り組みの優先順位が上位にあがってこないという状況が浮き彫りになった。また、政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」目標の日本全体における達成可能性に対しては、企業の15.8%が達成可能としつつも、達成は困難と考えている企業は4割を超えていた。

温室効果ガスの排出抑制には多くの企業が取り組んでいる一方で、政府の2050年目標に対しては半数以上の企業が厳しい見方を示しており、今後は温室効果ガスの排出抑制に向けたさらなる取り組みが必要となろう。そのなかで、企業は政府に対してより詳細な取り組み目標や具体的な方法を明らかにすることを求めている。今後、企業に取り組みを促し「環境と経済の好循環」を図るためには、特に中小企業に対する情報発信の強化がカギを握るだろう。


※調査期間は2020年12月16日~2021年1月5日、調査対象は全国2万3,688社で、有効回答企業数は1万1,479社(回答率48.5%)
※本調査における詳細データは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している

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