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どうすれば2050年に脱炭素が実現できる? 全国の市町村ごとのカーボンニュートラルシミュレーターを無料ダウンロード開始

PR TIMES / 2021年10月12日 18時45分

基礎自治体での脱炭素政策を検討するためのツール

千葉大学大学院社会科学研究院 倉阪秀史教授らは、日本の脱炭素実現をサポートするツールとして、自治体別の脱炭素のしやすさを実感できる「カーボンニュートラルシミュレーター」を9月30日に公開しました( https://opossum.jpn.org/news/2021/09/30/805/ )。どなたでも無料でダウンロードしてお使いいただけます。




カーボンニュートラルシミュレーターとは



[画像1: https://prtimes.jp/i/15177/531/resize/d15177-531-32dcc5437ae9246f9792-0.png ]

カーボンニュートラルシミュレーターは、基礎自治体での脱炭素政策を検討するために作成されたツールです。自治体別に2050年の人口、世帯数、就業者人口などの予測をもとに、2050年に稼働する住宅、非住宅、自動車台数などを算出し、省エネ投資をどの規模で行うのかを検討します。そして、省エネに努めてもまだ残るエネルギー需要に対しては、それに相当する再生可能エネルギーが域内で生み出されるかどうかを検討します。生み出されていれば「カーボンニュートラル達成!」という表示が出ます。自治体によって、この表示を出す容易さが異なることを実感していただき、脱炭素政策の検討材料とすることができます。
どなたでも簡単に使えるようにExcelファイルで作成されており、無料でダウンロードしていただけます。
https://opossum.jpn.org/news/2021/09/30/805/


シミュレーションの手順

現状維持のまま2050年を迎えた場合の二酸化炭素排出量を把握したうえで、ゼロエネルギーハウス(ZEH)やゼロエネルギービルディング(ZEB)の導入率、自動車削減率、電気自動車比率、各種再生可能エネルギーの導入率を入力して、カーボンニュートラルの達成を目指します。

1)2050年の姿を把握する
1.自治体コードを入力する
まずは、自治体コードを入力します。コードは1,741の市区町村から選ぶことができます。
コードを入力すると、現状のまま何も対策せずに推移した場合のその自治体の2050年の姿(人口、建造物、自動車台数など)を予測した数値を表示します。そして、2050年の民生部門(家庭・業務)、輸送部門(自家用・業務用)、農林水産業部門のエネルギー需要を推計します。

2.2050年の人口を変更する
30年後に人口が増えている自治体もあれば、減る自治体もあります。1.で表示される2050年の人口は現在の傾向を延長した人口です。この人口は自由に変更することができます。それにしたがって表示される2050年の姿も変化します。

2)脱炭素に向けた取り組みの比率を入力する
1.ZEHやZEBの導入率
2050年にその自治体の区域に建っている建造物の何%を、ゼロエネルギーハウス(ZEH)やゼロエネルギービルディング(ZEB)にするのかを建築時期別に入力します。ZEH/ZEBは、建物断熱を強化し、省エネ機器を入れ、再エネ設備を建物に付けることによって、その建物で消費されるエネルギー量以上のエネルギーを生み出す建物です。このため、建築物に附帯する太陽光発電・太陽熱利用機器などは、ZEB/ZEH化の中で取り扱われます。

2.自動車の走行量の削減率
2050年にその自治体で稼働する自動車の走行量の削減比率を入力します。人口や就業者の減少による自動車減少は、すでに2050年の台数予測の方に盛り込まれていますので、入力する削減比率は、公共交通機関や公共的なモビリティの確保といった追加的な対策によって得られるものとなります。

3.電気自動車の導入率
2050年に稼働する自動車のうち何%が電気自動車になっているのかを入力します。電気自動車によるエネルギー消費については、民生用と業務用のエネルギー消費量を増加させて対応しています。

ここまでで、2050年の民生部門・輸送部門のエネルギー消費量をどこまで削減できるのかを実感します。そして、残るエネルギー消費量については、それに相当するエネルギー量を再生可能エネルギーの導入で賄えるかどうかを検討します。

3)再生可能エネルギーの導入率を入力する
再生可能エネルギーの種類は、太陽光発電、陸上風力発電、小水力発電、地熱発電、木質バイオマス発電です。それぞれの再生可能エネルギーのポテンシャルのうち何%を実現するのかを入力します。
なお、太陽光発電は、すでに開発されている土地で低・未利用地に置くことを検討します。林地開発は対象としません。駐車場・空地などへの太陽光発電、耕作放棄地への太陽光発電、農地へのソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の3つあり、建物上の太陽光発電はZEB/ZEHに含まれます。

4)「カーボンニュートラル達成!」を目指す
以上の結果、省エネを努めてもまだ残るエネルギー需要に相当する再エネが域内で生み出されていれば「カーボンニュートラル達成!」という表示がでます。自治体によって、この表示を出す容易さが異なることを実感していただければと思います。

5)かかるお金を確認する
シミュレーションを行うと、「2050年までの総投資額(かかったお金)」「2050年までの総省エネ額(節約できたお金)」「2050年までの再生可能エネルギー販売額」「差し引き金額」も表示されます。カーボンニュートラルを達成するためにどの程度の予算が必要なのかについても目安としてお使いいただけます。


開発者のコメント(千葉大学大学院社会科学研究院 倉阪秀史教授)


人口が多い都会の自治体は達成が難しく、地方の自治体との連携が不可欠
このシミュレーターを使うと自治体によって脱炭素の容易さが異なることがわかります。そこで、2021年4月中旬までに2050年の脱炭素宣言を行った214自治体について、図1のサンプル画像に入力されている比率と同じ比率を入力して、脱炭素の達成状況を確認してみました。


[画像2: https://prtimes.jp/i/15177/531/resize/d15177-531-3e37483f53a022563180-1.jpg ]

その結果、214自治体のうち、76自治体(35.5%)が「カーボンニュートラル」を達成しました。しかし、地域的に見ると北海道・東北で85.0%、近畿で13.8%、関東で28.6%と差がありました。人口が多い都会域における自治体は軒並み達成できないという結果になりました。
2050年の脱炭素宣言を行う自治体が広がっていますが、その実現のためには、人口が多い都会域の自治体は、再生可能エネルギーが豊かな地方の自治体と連携していかなければならなくなると考えられます。脱炭素社会への転換が、都会域の富を地方に移転させることにつながるかもしれません。



「カーボンニュートラルシミュレーター」の開発主体について

「カーボンニュートラルシミュレーター」は、環境研究総合推進費「基礎自治体レベルでの低炭素化政策検討支援ツールの開発と社会実装に関する研究」(2-1910)(研究代表者:倉阪秀史、研究予定期間:2019年4月~2021年3月:通称:OPoSuM-DS※)の成果物です。
※Open Project on Supporting-tools for Municipalities for De-carbonized Societies の略


「脱炭素・未来ワークショップ」について

OPoSuM-DSプロジェクトでは、このカーボンニュートラルシミュレーターと「未来カルテ」を使用する、「脱炭素・未来ワークショップ」を全国各地で開催しています。

「未来カルテ」とは、人口減少や高齢化に対して何も対策せず、現在の傾向が継続した場合の、産業構造や、保育、教育、医療、介護の状況、公共施設・道路、農地などの維持管理可能性、住宅の供給可能性、再生可能エネルギーによる自給可能性などの分野について、将来の状況をシミュレートして数値で視覚化するプログラムです。
未来カルテについて https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000421.000015177.html
こちらから無料でダウンロードできます(Excelファイル)。
https://opossum.jpn.org/%e6%9c%aa%e6%9d%a5%e3%82%ab%e3%83%ab%e3%83%862050/

「脱炭素・未来ワークショップ」は、カーボンニュートラルシミュレーターと未来カルテの情報を踏まえて、中学生・高校生や自治体職員がグループにわかれて、2050年の未来市長として課題と政策を考え、今から対応しておくべきことを現市長に政策提言するワークショップです。これまでに20以上の市町村で開催してきました。
コロナ禍以前は対面で行っていましたが、現在は、オンラインと対面のハイブリッド、または、完全オンラインでの実施もしています。
オンラインで実施したときの様子
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000447.000015177.html


本件に関するお問い合わせ

千葉大学大学院社会科学研究院教授 倉阪 秀史(クラサカ ヒデフミ)
Tel & Fax 043-290-3585 (倉阪研究室)
E-mail:recpa@chiba-u.jp

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