マンダム、40歳代女性特有の頭⽪汗様臭を発見
PR TIMES / 2024年3月18日 17時15分
~女性のにおいの悩み解決に向けて~
株式会社マンダム(本社:大阪市 社長執行役員:西村健 以下マンダム)は、生活者のにおいに対する悩み解決に向け、においの発生要因の解明やそれに対応したにおいケア製品の開発に取り組んでいます。マンダムではこれまでに、男女さまざまな年代・部位における体臭の実態を解明してきました。
今回、40歳代女性の頭皮には、特徴的な汗様のにおいがあり、その原因として低級脂肪族アルデヒドが関与することを明らかにしました。
なお、この研究成果は2023年12月5~7日に開催された「第1回 日本化粧品技術者会 学術大会」にて発表しました。
研究の背景
生活者の体臭に関する悩みを調査する中で、40歳代以降の女性から、体臭の変化を実感するという声を多く耳にしました。マンダムが行った、30~54歳の女性10,000人を対象にした意識調査※1では、特に40歳代前半の女性は体臭の変化を実感していることが明らかになりました。そこで、40歳代女性の体臭の実態を明らかにすることを目的に、20歳代の頃との体臭変化の実感に着目し、体臭の臭気評価を行いました。体臭の変化を実感している40歳代女性は、身体のさまざまな部位のなかでも、特に頭皮臭において特徴的な実態が認められたことから、40歳代女性の頭皮臭について詳細に評価及び臭気成分の解析を行いました。
1. 体臭の変化を実感している40歳代女性の頭皮は汗様臭が特徴的
40歳代女性に対して行ったアンケート調査で、体臭の変化を実感している40歳代女性グループは、変化実感のないグループと比較して、頭部の発汗の増加や頭皮・毛髪のべたつきを実感している方の割合が高いことが分かりました。
そこで、体臭の変化を実感している40歳代女性の体臭について詳細に理解するため、体臭の変化を実感している40歳代女性グループ、体臭の変化を実感していない40歳代女性グループ、20歳代女性グループの体臭を鼻で直接嗅ぐ臭気評価を行いました。その結果、体臭の中でも特に頭皮臭に関して、グループ間で大きな違いがあることが明らかとなりました。主となるにおいタイプを3グループで比較したところ、体臭の変化を実感している40歳代女性グループの頭皮のにおいタイプは汗様臭タイプであることが分かりました。一方、体臭の変化を実感していない40歳代女性グループのにおいタイプは皮脂様臭であり、20歳代女性グループの頭皮臭に近いということがわかりました(図1)。体臭の変化を実感している40歳代女性グループに特徴的な汗様臭は、水っぽく蒸れたような臭気でした。この臭気は40歳代以降の男性の頭皮臭に特徴的な使い古した油のような臭気であるミドル脂臭とは大きく異なっていました。
また、頭皮の臭気強度(においの強さ)を比較したところ、体臭の変化を実感しているグループは汗様臭の強度が有意に高いことが分かりました(図2)。さらに、VAS(Visual Analogue Scale)法※2で頭皮臭の不快度を評価したところ、体臭の変化を実感している40歳代女性グループは、体臭の変化を実感していないグループよりも不快度が高いことも分かりました(図3)。
以上より、体臭の変化を実感している40歳代女性は、特徴的な汗様の頭皮臭があり、またその臭気強度、不快度が高いことが明らかとなりました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/6496/926/resize/d6496-926-6ddaf94d528e522d1292-0.png ]
[画像2: https://prtimes.jp/i/6496/926/resize/d6496-926-480d49a0d87ddb03871f-4.png ]
2. 頭皮の汗様臭に低級脂肪族アルデヒド群が関係している
この汗様臭の原因となるにおい成分を明らかにするため、体臭の変化を実感している40歳代女性の汗様臭群、体臭の変化を実感していない40歳代女性の非汗様臭群、20歳代女性グループの頭皮臭を捕集しました。捕集した頭皮臭サンプルに対し、におい嗅ぎガスクロマトグラフ質量分析計を用いた揮発性物質の臭気評価と構造推定による原因成分の探求を行ったところ、約200種の揮発性物質が検出されました。汗様臭は「水っぽく蒸れたような臭気」であるという特徴から、検出された約200種の揮発成分のうち低級脂肪族アルデヒドに関連があると考え、詳しく解析しました。その結果、汗様臭群の頭皮臭には7種の低級脂肪族アルデヒドが有意に多く含まれていることが明らかとなりました(図4)。また、臭気評価における汗様臭の強度と低級脂肪族アルデヒドの量は正の相関を示すことが分かりました(図4)。
さらに低級脂肪族アルデヒド7種について詳細に解析したところ、汗様臭群からブタナール、2-ブテナール、3-メチルブタナール、ペンタナールが有意に多く検出されました。これら4物質について、頭皮臭の臭気評価における汗様臭強度との関係をそれぞれ確認したところ、いずれも正の相関が認められ、ブタナール、3-メチルブタナール、ペンタナールは0.5付近の相関係数が得られました(図5)。においを持つ揮発性物質にはそれぞれ固有の嗅覚閾値※3が存在します。低級脂肪族アルデヒド7種のうち、特に3-メチルブタナールは嗅覚閾値が低く、においは微量でも感じられやすいという特徴を持っていました。
以上より、40歳代女性の多くが20歳代の頃に比べて変化を感じる頭皮臭は、低級脂肪族アルデヒド群のなかでもブタナール、3-メチルブタナール、ペンタナールが強く関与した汗様臭であると考えられます。
また、この汗様臭の発生が40歳代女性の「頭皮や毛髪のべたつき」や「頭部の発汗量」の増加実感に影響を与えている可能性があるため、その関連性についても確認をしていきます。
マンダムは、今後この汗様臭に対する発生機序の解明や、発生抑制ならびに汗様臭発生後の対処法についても研究を進め、女性のにおいの悩み解決にお役立ちしたいと考えます。
[画像3: https://prtimes.jp/i/6496/926/resize/d6496-926-ed2adcd1f0d55e8e466c-0.png ]
[画像4: https://prtimes.jp/i/6496/926/resize/d6496-926-441441a582d3042eed1a-0.png ]
注釈および用語解説
※1 2021年10月/30~54歳 女性/n=10,000/インターネット調査/マンダム調べ
※2 10 cmの線分の両端に最低と最高の基準を表記し、現在感じている感覚を線分上に記録する方法。
本試験では、最低・最高の基準として、それぞれ「不快ではないにおい」、「これまで感じた中で最も不快なにおい」と規定した。
※3 ヒトがにおいを知覚できる化学物質の最小濃度。値が小さいほど、ヒトは微量でにおいを感じることを示す。
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