熱波・洪水・暴風雨などの気象災害2024年には2.5億人近くが学校に通えず【プレスリリース】
PR TIMES / 2025年1月24日 10時45分
ユニセフ、気候変動対応における教育の役割を強調
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洪水で破壊されたままとなっている、泥でできた旧校舎の前に立つ10歳のアクサさん(右)。バロチスタン州にあるこの小学校では、ユニセフなどの支援で新しい校舎が建てられた(パキスタン、2024年2月7日撮影)(C) UNICEF/UNI516373/Sami Malik
【2025年1月24日 ニューヨーク発】
ユニセフが本日発表した新たな分析によると、2024年には、熱波、熱帯サイクロン、暴風雨、洪水、干ばつなどの異常気象により、少なくとも85カ国で2億4,200万人の子どもたちの学校教育が中断を余儀なくされ、以前からあった学習危機がさらに悪化しました。
* * *
1月24日の「教育の国際デー」に発表の「Learning Interrupted: Global Snapshot of Climate-Related School Disruptions in 2024(日本語仮題:中断された学習-2024年の気候要因による学校教育への影響)」は、学校閉鎖あるいは時間割の大幅な変更につながった気候災害と、それによる就学前教育から後期中等教育段階までの子どもへの影響を初めて調査したものです。
昨年、学校閉鎖を引き起こした気象災害の最たるものは熱波で、データによれば4月だけでも1億1,800万人以上の子どもたちが影響を受けました。4月にはバングラデシュとフィリピンで学校閉鎖が相次ぎ、カンボジアでは日々の授業時間が2時間短縮されました。 5月には南アジアの一部地域で気温が摂氏47度まで上昇し、子どもたちが熱中症の危険にさらされました。
ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは述べています。「子どもたちは、より激しく、より頻繁に起こる熱波や暴風雨、干ばつ、洪水などの気象災害の影響を受けやすいのです。子どもの身体は特有の脆弱性を持っています。体温が上がりやすく、汗をかく能力が未発達で、体温を下げるのもおとなより遅いのです。子どもたちは、うだるような暑さから逃がれることのできない教室では、集中することができません。また、通学路が洪水で冠水したり、校舎が被災すると、学校に通うこともできません。昨年は、荒天のため7人に1人の子どもが学校に通えず、健康と安全が脅かされ、長期的な教育にも影響が及びました」
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/5176/2462/5176-2462-8e49277185ac385df0c222eef3d24276-1536x1024.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
鉄砲水の被害が大きかったバグラーン県の村。バグラーン県だけで3,000棟以上の家屋が破壊された(アフガニスタン、2024年5月14日撮影) (C) UNICEF/UNI576398/Meerzad
多重の気候災害に見舞われた国々もあります。例えば、アフガニスタンでは熱波に加え、5月に深刻な鉄砲水が発生し、110校以上の学校が被害を受け、何千人もの子どもたちが教育を受けられなくなりました。
一方、気候に起因する災害は、世界各地で新学期が始まる9月に最も多く発生しました。東アジア・太平洋地域で1,600万人の子どもに影響を与えた台風11号(別名:ヤギ)をはじめとする異常気象によって、少なくとも16カ国で、学業の重要な節目であるこの時期に授業が一時中断されました。
分析によると、昨年は南アジアが最も影響を受けた地域となり、1億2,800万人の子どもが気候関連による学校活動の停止に直面し、東アジア・太平洋地域では5,000万人の子どもの学校教育が影響を受けました。エルニーニョ現象は引き続きアフリカに壊滅的な影響を及ぼし、東部アフリカでは大雨と洪水が頻繁に起こり、南部アフリカの一部では深刻な干ばつが発生しました。
気温の上昇、暴風雨、洪水などの気候災害は、学校のインフラや備品を損傷し、通学路を寸断し、学習環境を危険にさらし、子どもたちの集中力や記憶力、心身の健康に影響を及ぼす可能性があります。
脆弱な状況で学校の閉鎖が長びくと、子どもたちが教室に戻ってくる可能性が低くなり、児童婚や児童労働のリスクが高まります。女の子はしばしば不均衡に影響を受けやすく、災害時および災害後において、学校を中退するリスクやジェンダーに基づく暴力に遭うリスクに一層さらされやすくなることが、調査結果から明らかになっています。
世界的に見ると、すでに何百万人もの子どもが教育システムから置き去りにされています。十分な訓練を受けた教員の不足、過密な教室、教育の質や教育機会における格差は、長年にわたり学習上の危機を生み出しており、気候災害はその傾向に拍車をかけています。
分析によると、昨年気候災害の影響を受けた子どもたちのほぼ74%は低所得国・下位中所得国に暮らしていましたが、被害を免れた地域はありませんでした。9月にはイタリアが集中豪雨と洪水に見舞われ、90万人以上の子どもたちの学校教育が妨げられ、10月にはスペインでも1万3,000人の子どもの授業を中断せざるを得なくなりました。
報告書は、気候問題に焦点を当てた教育への投資が、著しく低い水準にとどまっていること、また、気候災害を起因とした学校の中断に関する世界的なデータが不足していることから、学校や教育システムは、こうした影響から子どもたちを守るための備えがほとんどできていないと指摘しています。
ユニセフは、各国政府やパートナーと協力し、気候変動に耐性のある教室の新改築を支援することで、子どもたちを厳しい気象条件から保護しています。例えばモザンビークでは、子どもたちは繰り返しサイクロンの被害に遭っており、この2カ月間だけでも、「チド」と「ディケレディ」の2つのサイクロンが同国を襲い、15万人の子どもたちが影響を受けました。これに対しユニセフは、同国の約230校で1,150以上の気候変動に強い教室の建設を支援しました。
ユニセフは昨年11月、基幹報告書「世界子供白書」の中で、気候危機は2050年から2059年にかけてさらに広がると警鐘を鳴らし、2000年代と比較して、極度の熱波にさらされる子どもの数が8倍、極度の河川洪水にさらされる子どもの数が3倍になると予測しました。
ユニセフは、増大する気候変動の影響から子どもたちを守るために、世界の指導者と民間部門に対して、以下の対策を早急に講じるよう求めます。
- 各国の気候計画(NDC〈国が決定する貢献〉やNAP〈国家適応計画〉を含む)が、教育などの子どもにとって重要な社会サービスを強化し、より気候変動対応型で災害に耐性のあるものとなるようにすること、また、気候変動の最悪の影響を防ぐために十分な排出削減誓約を含むこと。
- 災害に耐性があり、気候変動に対応した学習施設への投資により、より安全な学習環境を実現する。
- 教育分野における気候変動への耐性を高めるための資金投入ーー実績があり効果が期待できる解決策への投資を含むーーを加速する。
- 気候変動教育と子どもに対応したコミットメント全体とをはっきりと統合する。
「教育は、気候災害によって最も頻繁に影響を受ける分野の一つです。しかし、教育は気候変動への適応力を備えた子どもを育てるという役割があるにもかかわらず、政策議論では見過ごされることが多いのです。気候変動に関連するすべての計画や行動において、子どもたちの未来を最優先すべきです」(ラッセル事務局長)
* * *
■報告書内の推定値は、報告数が実際より少ないことなどによるデータ不足のために、控えめに見積もった数値となっています。
■「世界子供白書2024」に関連する情報はこちらでご覧いただけます。
https://www.unicef.or.jp/news/2024/0164.html
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