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ALS対象エダラボン経口懸濁剤のグローバル第3b相臨床試験が中止に

QLife / 2023年8月17日 17時57分

フリーラジカル消去剤「エダラボン」、現行の経口剤は28日間サイクルで服用

 田辺三菱製薬株式会社は2023年8月1日、外部専門家で構成される独立データモニタリング委員会(IDMC)が実施した中間解析結果に基づき、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を対象としたMT-1186(以下、エダラボン経口懸濁剤)のグローバル第3b相臨床試験を中止することを決定したと報告しました。

 ALSは、運動神経が選択的に変性・脱落し、四肢、顔、呼吸筋等の全身の筋力低下と筋萎縮が進行的に起こる原因不明の神経変性疾患です。人種や民族的背景に関連なく、発病率は10万人に2人程度と言われています。

 エダラボンは同社が創製したフリーラジカル消去剤であり、脳梗塞急性期の治療薬として2001年4月に厚生労働省から承認され、日本国内ではラジカット(R)の製品名で販売されています。ALSの適応については、エダラボン点滴静注製剤が2015年6月に日本で承認され、同年12月に韓国、2017年5月に米国、2018年10月にカナダ、2019年1月にスイスなど、現在11か国で承認されています。また、ALSを適応症とするエダラボン経口懸濁剤は2022年5月に米国、同年11月にカナダ、同年12月には日本で承認(製品名:「ラジカット(R)内用懸濁液2.1%」)されています。

 ラジカット(R)内用懸濁液2.1%は、5ミリリットルを1日に1回、経口または胃ろうから投与されます。投薬期と休薬期を組み合わせた28日間を1クールとし、これを繰り返します。第1クールは1日に1回、14日間連続で服用し、14日間休薬します。第2クール以後は、14日間のうち10日間服用し、14日間休薬します。薬剤はボトルに入っており、薬剤を服用するための水や溶解液は必要ありません。また、同剤は流通過程や薬局では冷蔵保存が必要ですが、患者さんは常温での保存が可能です。

28日間サイクル投与と毎日投与で比較し、大きな違いが無さそうなので試験中止

 今回中止となった試験は、エダラボン点滴静注製剤の承認時に米国食品医薬品局(FDA)から要請を受けて実施した臨床試験であり、28日間サイクルで投与する現行の用法と、1日1回毎日投与の用法を比較し、1日1回毎日投与における有効性の優越性や安全性を確認するための試験でした。

 IDMCは、全被験者の半数が48週間投与を完了した時点で中間解析を行い、ALS機能評価尺度改訂版(ALSFRS-R)スコアで評価した有効性について、現行の用法に対し、1日1回毎日投与の用法が、試験終了時に統計学的に優越性を示す可能性が低いとの結論に至ったため、同試験の中止が推奨されました。

 中間解析結果において、エダラボン経口懸濁剤の現行の用法の有効性は、ALSの進行抑制を証明した、点滴静注製剤の第3相試験(MCI-186-19試験)の結果と類似していました。また、新たな安全性の懸念は認められませんでした。この決定の一環として、同試験の延長試験であるグローバル第3b相臨床試験(MT-1186-A04試験)も中止すると報告しました。

 なお、IDMCによる同試験中止の推奨は、安全性または有効性の懸念に基づくものではなく、エダラボン経口懸濁剤の承認および使用に影響を及ぼすものではないとしています。(QLife編集部)

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田辺三菱製薬株式会社 ニュースリリース

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