侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)から子どもを守るワクチンの役割
QLife / 2024年3月11日 17時0分
肺炎球菌感染症の現状
乳幼児の鼻咽頭から高頻度で検出される肺炎球菌は、肺炎のほかに中耳炎や副鼻腔炎など様々な疾患を引き起こします。中でも血流に菌が入る菌血症や、脳や髄膜に菌が侵入する髄膜炎などの「侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)」は危険です。重症化すると、後遺症が出る、死に至るなどのケースもあります。
集団保育を開始した乳児の肺炎球菌の保菌率は高く1)、IPDの予防は重要です。
製薬会社のMSDは2024年2月22日にメディアセミナー「小児における侵襲性肺炎球菌感染症の現状と課題」を開催し、峯眞人先生(医療法人自然堂峯小児科院長)が講演を行いました。
子どもの生活環境の変化と予防接種の重要性峯眞人先生(MSD提供)
乳児とって生活形態が家庭以外の集団へ移るのが、集団保育です。菌やウイルスに耐性のない子どもが、初めて外部環境で長い時間を過ごすことになるため、予防対策が重要です。
「目に見えない感染源となる微生物は常に生活環境にいる」「集団生活の中で感染症の流行を完全に予防することは不可能」という前提で、峯先生は感染症対策として、以下のポイントを挙げています。
ワクチンで防げる病気(VPD)はワクチンで防ぐ 関係者・保護者の間で、肺炎球菌に関する情報と知識の共有 流行規模をできる限り小さくする工夫峯先生は「肺炎球菌ワクチン接種には、VPD発症を未然に防ぐ効果や、症状を軽症化させる効果があります。また、ワクチンの効能を親(保護者)が情報として把握することは、子どもが感染症を発症した際も、慌てず冷静に対処できることにつながります」と解説します。
小児におけるワクチン接種の効果2010年11月の7価肺炎球菌ワクチン(PCV7)の導入、2013年4月の定期接種化、同年11月の13価肺炎球菌ワクチン導入(PCV7→PCV13に変更)によって、国内の小児IPDの罹患率は減少傾向にあります2)。
さらに2022年9月に15価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV15)が成人を対象に国内承認を受け、2023年6月には小児における肺炎球菌感染症の予防についてもPCV15が追加承認されました。PCV15にはPCV13に含まれる13種の血清に加え、IPDを引き起こす頻度の高い2種類の血清が追加されています。
峯先生は進化するワクチンの効果に期待を寄せるとともに「生後5か月間は、IPDである肺炎球菌髄膜炎の多い時期です。生後2か月でワクチンデビューし、生後5か月までに3回接種が理想です。そして、3〜5歳で一定数みられるIPD症例を考慮すると、1歳時のワクチンレビュー(追加接種)が、予防につながります」と、接種タイミングの重要性を強調します。
後遺症や命に関わるリスクがあるIPDは、ワクチンで防ぐことが可能です。小児用肺炎球菌ワクチンは2013年より定期接種の対象となっています。お子さんの将来のためにも、適切なタイミングでのワクチン接種を検討してみてはいかがでしょう。(QLife編集部)
1)武内一ほか:小児感染免疫19(4):399,2007 2)https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001186266.pdf
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