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【観察眼】作家・伊藤比呂美さんが実感した中国のリアルに思う

Record China / 2024年3月21日 13時50分

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作家・伊藤比呂美さんが8日間の中国訪問を終え、帰国した。中国では、女性の身体の変化や、老いていくプロセスをありのままにつづった彼女のエッセイ集が、若い女性の間で共感を呼んでいる。

作家・伊藤比呂美さんが8日間の中国訪問を終え、帰国した。中国では、女性の身体の変化や、老いていくプロセスをありのままにつづった彼女のエッセイ集が、若い女性の間で共感を呼んでいる。滞在中、伊藤さんは上海、杭州、北京、天津を訪問。読者の人生相談に応じ、各地の大学で日本文学史の講演会を開き、中国の学者や学生と交流を深めた。

北京滞在中、伊藤さんは当放送局のインタビューで、今回の旅は「めちゃめちゃ面白かった」と話し、日本のメディアはネガティブな中国報道が多く見られるが、中国のリアルは「ぜんぜん違いました」と述べた。伊藤さんの過去の訪中は30数年前に、トランジットのため北京で1泊しただけとのことで、実質的には今回が初めて中国滞在だった。

7歳で書道を始め、高校では「漢詩」に出会い、大学でも「漢詩」を履修した伊藤さんは、中国文化になじみがあった。しかし、これまでに国際結婚をきっかけに生活の拠点を米国に移し、日本に住む親の介護などに追われ、いままで中国旅行をする機会が得られなかったという。さらに、日本文化にしても中国文化にしても、「自分が興味をもつのは全部古代のもので、今の中国で何が起こっているかには興味がなかった」と語り、「不思議でしょ」と笑った。

今回の訪中で彼女には驚きの「発見」があった。

「中国の大学で講演する時に、黒板に漢字を書くと、皆さん分かるんですよ。それはアメリカやドイツではありえなかった。やっぱり漢字を使えるわれわれと漢字が使えない人たちとでは、相互理解が全然違う」

「浅く広くという形のコミュニケーションは、日中の方がずっと取れる」――これこそ、伊藤さんが今回の訪中で心打たれた瞬間だった。

欧米とアジアでは、作品の受容の仕方にも違いがあるという。中国・韓国で翻訳されている彼女の作品は、女性の生活にフォーカスしたエッセイ集だ。それに対し、欧米では小説や詩をはじめ、思想性を重んじる作品が“文学”として多く読まれている。その背景の一つに、アジアの国々では「基本的な家族制度や生き方の倫理などが似ている」ことがあると伊藤さんは見ている。アジアの近隣同士だからこそ通底する何かがある。伊藤さんは今回の訪中でそう痛感したという。

きめ細かな観察眼を持つ伊藤さんは、中国の女性のイメージについて、次のように語った。

「実は1980年代に受けた印象では、中国の女は男と同格に仕事ができる。(日本と違い)なんでもできて、うらやましいなと思っていました。でも今回来てみたら、日本とあまり変わらないかもしれないと思いました」

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