中国製EVに対する制裁関税の是非を決められない欧州を取り巻く6つの状況―独メディア
Record China / 2024年5月23日 5時0分
21日、環球時報は、米国が中国製電気自動車(EV)に高額の制裁関税を科す一方で欧州が態度を決めかねている六つの背景を挙げた独誌フォークスの17日付文章を紹介する記事を掲載した。
2024年5月21日、環球時報は、米国が中国製電気自動車(EV)に高額の制裁関税を科す一方で欧州が態度を決めかねている六つの背景を挙げた独誌フォークスの17日付文章を紹介する記事を掲載した。
まず、欧州連合(EU)はオープンな自動車貿易から米国以上の恩恵を受けているため、多くの政治家が制裁関税に反対を示していると紹介。フォルクスワーゲンは中国市場で2位の販売シェアを持ち、BMWの中国市場販売台数はドイツ国内市場の2倍以上で、メルセデス・ベンツも収益の3分の1を中国から得ているとし、国土が広大で自国市場で利益を得られる米国に対し、欧州は中国市場への依存度が高いとした。
次に、ドイツは23年に中国から約13万台のEVを輸入したものの、ドイツではEVの輸出が輸入より多く、かつ輸入よりもハイペースで成長している点を挙げた。
さらに、今後欧州市場を脅かす存在になると警戒されている中国企業のロールオン・ロールオフ船(ローロー船)について、現実的には大規模な市場獲得は難しいとし、BYDが仮に200メートルの巨大なローロー船を使ってドイツだけに自動車を輸出したとしても、年間20万台にも満たないと指摘したほか、年間160万台の自動車を扱うブレーマーハーフェン港の広報担当者がいわく、中国のEVの取り扱いは大きな負担になっていないと伝えた。
一方で、ドイツの一部政治家が制裁関税の発動を支持する姿勢を示している要因として、中国の自動車輸出が急速に増加している点を指摘。中国の23年の自動車生産台数は20年と同水準である一方、輸入台数は約100万台から約500万台と5倍に増えたとしている。
このほか、中国のEVが欧州で50%の市場シェアを獲得するまでに至らなかったとしても、わずか10%を獲得するだけで欧州企業は数百億ユーロの付加価値を失う可能性があるとの見方も示した。
そして最後に、中国企業が海運による輸出に代わって欧州での現地生産を進め、関税を回避して付加価値を保ち、欧州市場の占領を企図し始めており、すでに奇瑞がスペインのバルセロナに、BYDがハンガリーに生産拠点を構える動きを見せていることに言及。現地生産が進めば制裁関税の意味が薄れ、雇用創出など現地経済にも恩恵がもたらされる可能性があるものの、今後欧州でのディーラーや修理ネットワークを構築する必要があり、その道程は非常に長いと伝えた。(翻訳・編集/川尻)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
中国自動車メーカー、「日本の裏庭」東南アジアで積極的な動き―中国メディア
Record China / 2024年6月13日 8時0分
-
アングル:中国EV対応に悩む欧州、関税検討の一方で工場誘致
ロイター / 2024年6月11日 18時20分
-
独自動車専門家が警告「中国製EVへのEU追加関税、消費者とエネルギー転換に深刻な影響も」
Record China / 2024年6月11日 12時0分
-
中国製EVが「米国で関税100%」になるのですか? 日本車に影響があるのか心配です。 いま海外で中国車はどうなっているのですか?
くるまのニュース / 2024年5月31日 9時10分
-
「激安の中国製品」が大量に流入しているのは日本だけではない…習近平政権の経済政策が米国を怒らせたワケ
プレジデントオンライン / 2024年5月27日 9時15分
ランキング
-
1中国の過剰生産「有害」=雇用保護へAI行動計画―G7首脳声明
時事通信 / 2024年6月15日 16時44分
-
2バーガー店打撃…日銀「国債買い入れ減額」で “歴史的円安”に歯止め?
日テレNEWS NNN / 2024年6月15日 13時57分
-
3「南高梅」が全国で記録的不作、価格は例年の3〜4倍に…「こんなことは初めて」
読売新聞 / 2024年6月15日 12時4分
-
4「阿武隈急行」の赤字穴埋めする2県5市町の補助金、宮城・柴田町が2358万円の支払い拒否
読売新聞 / 2024年6月15日 20時24分
-
5日本のIT人材が「平均年収1200万円」に達するのはいつなのか…周回遅れの日本企業に迫る「2025年の崖」という危機
プレジデントオンライン / 2024年6月15日 18時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください