在米中国企業が米国市場を悲観視する理由
Record China / 2024年7月10日 7時30分
また、トランプ時代に「製造業の回帰」を掲げて国内製造業の発展を図った米国だが、必ずしもうまくいっているとはいえないようだ。
5月11日の「騰訊網(テンセントネット)」の報道は、「トランプ氏はあの手この手で製造業、ハイテク産業の還流を呼び込んでいるが、芳しい成果は出ていない」と指摘した。2020年に台湾積体電路製造(TSMC)が米国への工場建設を発表し、2024年に稼働するとしたが、現在に至っても稼働していない。
記事は、TSMCが米国で直面している大きな困難は人が集まらないことだとし、その理由として「米国にエンジニアや熟練した産業労働者があまりいないこと」「応募者が残業を受け入れられないこと」を挙げた。特にエンジニア不足は米国の製造業にとって深刻だ。科学(science)、技術(technology)、工学(engineering)、数学(mathematics)のSTEM学科は苦労が多いため、その専門を勉強していたとしても、卒業したらコンサルティングや金融など条件のいい業界への就職を目指すそうだ。
科学技術イノベーションを国の重要政策に位置付け、科学技術人材の育成に力を入れている中国には優位性がある。ハイテク技術では米国に比べてやや劣っているが、製造業は発展している。米国における中国企業もこの面で優位性を発揮できるだろう。
さらに言えば、ハイテク分野で優れている米国での市場競争を展開することは、中国企業のレベルアップにつながる。
米中両国は政治関係が悪いといわれているが、意思疎通を続けており、中国が言うように双方の意見の食い違いをコントロール可能なものにしている。これは両国経済関係の改善にとってプラスとなる。
米国政治が今後どのように変化しようと、米中政府は意思疎通を続け、決定的な対立は避けるのではないかと思う。その中で、経済関係も維持され、「対立の中での安定」の状態が続くのではないかと筆者は考える。
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