宮崎駿監督の名作「天空の城ラピュタ」を考察、豊かな想像力と深い物語性に感服―中国メディア
Record China / 2024年10月7日 23時0分
さらに、「映画の中で音楽は単なる背景音ではなく、物語の一部としてストーリーの動きを強化する役割を果たしている。例えば、パズーとシータが飛行石の力で危機を脱する場面では、音楽が軽やかで希望に満ちたものとなり、空を飛ぶ夢幻的なシーンを演出している。さらに、久石氏は音楽に電子音楽も取り入れ、神秘的な雰囲気を作り出している。シータとパズーがラピュタに到着する場面では、管弦楽と電子音楽が絶妙に合わさり、未来的で幻想的な感覚を生み出している」と分析した。
また、「作中のテーマ曲は場面ごとに異なるアレンジが施されている。シータとパズーが坑道に落ちるシーンでは、テーマ曲が柔らかく優美に奏でられ、シータの思い出と重なるような美しい雰囲気を作り出している。シータとバズーが飛行船の上で心を通わせるシーンでは、緊張感を伴ったアレンジに変わり、シータの平和を守りたいという決意を感じさせてる。ラピュタが崩壊するシーンでは、少年合唱団の声を無伴奏のテーマ曲に変え、壮大で荘厳な雰囲気を演出している。これは教会のミサを彷彿とさせ、悲劇的な色合いを一層深めている。海賊たちは映画の中でコミカルな役割を担っており、彼らの登場シーンでは軽快で滑稽な調子が加わり、映画にユーモアを添えている。総じて、久石譲の音楽は映画と完璧に調和している。彼の音楽がなければ『天空の城ラピュタ』は今ほどのドラマチックな効果を生むことはできなかっただろう」と述べた。
記事は、「日本はかつて侵略と略奪の歴史を繰り返し、弱い国を狙っては攻撃し、西洋列強にはこびる国だった。宮崎監督は日本人としてこうした侵略行為を軽蔑している。『天空の城ラピュタ』では、平和な西欧の国に海賊たちが金銀財宝を略奪しに来る姿が描かれている。これは、列強の侵略を象徴している。『天空の城ラピュタ』で軍と協同していたムスカはラピュタを占領して王になろうとする。これは、日本の軍国主義の野心を風刺している。彼らが求めていたのは単なる財宝ではなく、天空の城を支配し、その力で世界を統治することだった。だからこそ、『天空の城ラピュタ』は、実は政治的な風刺アニメであり、宮崎監督の強い反戦思想を表していると言える。最後にシータが滅びの呪文を唱えるが、それはラピュタというユートピアを破壊するのではなく、日本の軍国主義の幻想を破壊するものであったのだろう」と自論を展開した。
そして、「『天空の城ラピュタ』を改めて見直してみると、宮崎監督の豊かな想像力と深い物語性に感服せざるを得ない。このアニメが長く愛され続ける理由もここにある。宮崎監督の健康状態が心配ではあるものの、また彼の新作を見たいというわがままな気持ちもある。今監督はもうこの世を去ってしまった。もし宮崎監督が引退してしまったら、われわれはどんなアニメ映画を楽しめばいいのだろう?」と結んだ。(翻訳・編集/岩田)
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