専門家が読み解く「トランプ当選後の世界」の経済金融の情勢-台湾メディア
Record China / 2024年11月3日 19時30分
シリコンバレーの世論が変化した原因は、当然ながら「利益問題」だ。トランプ氏はかつて暗号資産を批判していたが、関連業界の重要人物がトランプ氏の選挙活動に寄付すると、規制に反対する立場に切り替えた。トランプ氏にはシリコンバレーでの盟友が少なく、新政権や共和党とテクノロジー政策についての議論が発生するかもしれない。たとえば、12月に判決が言い渡される予定のグーグルが被告になった反トラスト法(独占禁止法)関連の訴訟では、仮にグーグルが新大統領を不快にさせた場合、分割以上の厳しい結末に直面する可能性がある。アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)や投資家のウォーレン・バフェットも、大統領選について中立の立場を表明している。
関税の引き上げはトランプ氏の最大の武器だ。トランプ氏はすべての輸入品に対して10%-20%の関税を課し、中国大陸部の製品には60%以上の関税を課す方針を示している。2016年の大統領選時にも、トランプ氏は欧州に対して強硬姿勢を示し、米国のNATOからの離脱をほのめかしたり、欧州に対して軍事費の増額を強要した。トランプ氏はこれらを自らの重要な業績と見なしている。すなわち、EUは米国と対等の立場を示すことはできないことになる。
トランプ氏は2度目の政権で米国の孤立主義を強化し、「米国第一政策」を実行すると見られる。トランプ氏は10月24日に、「フランスは米国人に25%の税金を払わねばならない。私は米国企業を守らねばならない」と述べた。
トランプ氏は「所得税を関税に変更する」ことが選挙で票を集める最良の方法だと語り、関税は「辞書の中で最も美しい言葉」「愛よりも美しく、何よりも素晴らしい言葉」と述べ、関税をうまく活用すれば米国を「豊かにする」ことができると論じた。
マスク氏とトランプ氏が手を組むことは2024年の米大統領選挙の主要なテーマだ。マスク氏は世界トップクラスの資産家だ。トランプ氏が世界最大の権力者になれば、両者は破壊的なイノベーションを引き起こして米国と世界情勢に深い影響を与える可能性がある。ビジネス面を考えれば、マスク氏がトランプ氏に投資するのはハイリスク・ハイリターンだ。というのは、好き嫌いが鮮明なこの二人が協力をどれだけ長く続けられるかは予測が難しいからだ。トランプ氏は選挙前に中国に対する強硬姿勢を強め、習近平氏と「4年間にわたり戦った」ことを自慢した。一方でマスク氏はテスラが上海に進出したことで、中国から極めて恩恵を受けている。米中の政治と経済での対決にはまだ大きな変化があるだろう。
トランプ氏の三大政策は、関税の引き上げ、移民制限、財政政策(減税)の順に実行されるだろう。関税引き上げは行政命令で即座に実施できる一方で、移民制限には関連政策が必要であり、減税は連邦議会の承認を待たねばならない。ウォール街の予測によれば、関税引き上げにより米国のインフレ率は0.9ポイント上昇して消費に悪影響を及ぼし、投資を減退させ、労働者の所得に影響を与え、GDPの成長率を1.4ポイント押し下げる可能性がある。インフレ予想が変化したために金融市場に影響が出たなどで、米国連邦準備制度理事会(FRB)の関係者は利下げのペースを緩める意見を示している。そのために、10年物国債の利回りが上昇して債券価格が下落している。債券上場投資信託(ETF)を利用する投資家は、トランプ効果のもう一つの被害者と言えるだろう。(翻訳・編集/如月隼人)
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