「政治的な意図」のない若者たちの行動が、中国当局にとって厄介な問題に―仏専門家
Record China / 2024年12月24日 6時0分
22日、仏国際放送局RFIは、中国の若者のライフスタイルについてフランスの社会学者が論じた内容を紹介する記事を掲載した。
2024年12月22日、仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトは、中国の若者のライフスタイルについてフランスの社会学者が論じた内容を紹介する記事を掲載した。
記事は、パリ政治学院の社会学者、ジャン・ルイ・ロッカ教授が仏紙ル・モンドに寄稿した文章を紹介。ロッカ氏が河南省鄭州市の大学生による大規模な夜間サイクリング活動から、社会における中国の若者の心的変化を論じたと伝えた。
記事によると、ロッカ氏は鄭州の大学生たちが今年6月、夜間に数十キロの距離を自転車で走り、同省開封市で地元グルメを味わうというアクティビティーを実施したことがSNSで拡散して若者たちの間で大規模な夜間サイクリングブームを引き起こしたと紹介。ブームの背景には開封市の観光当局や各大学、メディアの支持もあったとの見方を示した。
ロッカ氏は一方で、参加者が10万人規模とブームがピークに達した先月9日になると当局の態度は一転し、夜間サイクリングが突然禁止され、各大学は学生の外出を制限し、シェアサイクル会社もサービスを停止したと指摘。民主主義国家であっても大規模なブームに当局が何らかの措置を講じることはあり、今回の当局の動きは必ずしも抑圧的措置ではないとの認識を示すとともに、夜間サイクリング禁止の理由として、交通に影響が出た、シェアサイクルシステムが混乱して自転車が借りられなくなった、大勢の人が開封に流入して混乱が生じたといった不満の声が高まったことを挙げた。
その上で、夜間サイクリングブームは「青春を楽しむ」「青春は無価値ではない」といったスローガンに示されるような若者世代のライフスタイルを示していると分析。夜間サイクリングには明確な政治的意図がなく、家庭や結婚、子育て、民族といった概念が個人の道徳的責任とされる社会において、若者たちはただ生活を楽しみたいと思っているのだとした。また若者たちは自分たちで「生活を楽しむ」方法について定義したいという意思を持っており、ブームはその決意表明であるとも捉えた。
ロッカ氏はさらに、夜間サイクリングブームを若者が努力や競争を避けて簡素な生活を選ぶ風潮を指す「寝そべり文化」と関連付けて考察。「若者たちはただ、集団のために自己を犠牲にすることを拒み、過剰な期待を持たない生活を選んでいる。彼らは、多くの民主主義国家の市民のように、物質的豊かさの中での享楽主義と、成功や失敗が個人の努力次第であるとする新自由主義的な価値観の間を行き来しているのだ」と論じる一方、政治的な意図を含んでいないはずの若者の行動や運動が往々にして当局にとって厄介な問題になっているとも指摘。「これは政治的な抵抗よりも厄介だ。若者の活力をどのようにして集団目標に向けて導くべきか、若者がいわゆる『責任』を意識しなくなった場合、どのようにして経済成長を続け、社会の持続を確保すべきか、という課題が浮き彫りになる」とした。(編集・翻訳/川尻)
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