中国で「神薬」扱いのインフルエンザ治療薬、バロキサビルの耐性問題―中国メディア
Record China / 2025年1月14日 17時0分
13日、第一財経は、中国で「インフルエンザの神薬」と称されるバロキサビルマルボキシル(バロキサビル)について、耐性の有無に関する議論が繰り広げられていると報じた。
2025年1月13日、中国メディアの第一財経は、中国で「インフルエンザの神薬」と称されるバロキサビルマルボキシル(バロキサビル)について、耐性の有無に関する議論が繰り広げられていると報じた。
記事は、中国では今シーズンのインフルエンザ治療薬として、バロキサビルという抗ウイルス薬が注目されていると紹介。バロキサビルは半減期が79時間とオセルタミビル(タミフル)の6~10時間程度に比べてはるかに長く、1回服用するだけでインフルエンザの症状を効果的に緩和できるという利点があり、昨年12月に発表された最新版の「小児向けインフルエンザ診療・予防ガイドライン」でも5歳以上の子どもに対して1回のみの服用と記載されていることを伝えた。
一方で、ネット上では「バロキサビルは海外ですでに耐性が指摘され販売が振るわないのに、中国では『インフルエンザの神薬』になっている」との議論が起きていると指摘。バロキサビルとオセルタミビルはいずれもロシュによって製造されており、バロキサビルは2年前の発売開始後に売り上げが大幅に増加する一方でオセルタミビルの売り上げが減少していること、バロキサビルの売り上げの大部分は中国市場によるものであることを注目すべき点として伝えた。
その上で、バロキサビルに関する耐性問題についてロシュが12日に「世界保健機関(WHO)と国家疾患予防管理センター(CDC)の報告によると、バロキサビルは世界中でさまざまなインフルエンザウイルスに対して感受性を保持しており、治療効果があることが確認されている。また、中国においてもインフルエンザウイルス株はバロキサビルに対して耐性を示していない」とする緊急声明を発表したと紹介している。
記事は、感染症科の臨床医が「現時点で、中国においてバロキサビルに大規模な耐性が出現したという明確な報告はない。海外では耐性に関する報告がいくつかあったが、全体的な耐性率は依然として低い。バロキサビルは新薬であり、耐性に関するデータがそろっていないということも背景にある。例えばオセルタミビルは長期間使用されてきたため、耐性が確認されている。ただ、現在のところその耐性もウイルスの変異とはそれほど関係がない」との見解を示したことを伝えた。
また、バロキサビルの価格がオセルタミビルに比べて高価であることにも言及。専門家の話として、バロキサビルは承認されて日が浅く、市場に安価なジェネリック薬が登場していないためであり、今後特許が切れてジェネリック薬が登場すれば価格は大幅に下がる見通しであることを伝えた。(編集・翻訳/川尻)
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