<2026年の経済展望>GDPの低迷は必至、トランプ関税が輸出を直撃=中国との関係悪化や円安影響、「日本売り」圧力も
Record China / 2025年12月23日 6時30分
歳出規模は前年度補正の13兆9433億円を大きく超える。歳入面では、新規国債を追加で11兆6960億円発行。前年度補正での発行額6兆6900億円を大幅に上回り、財政状況は一段と悪化する。税収の上振れで2兆8790億円、基金返納などの税外収入で11兆155億円、前年度剰余金で2兆7129億円を確保したものの、財源の穴埋めには遠く及ばなかった。
円安、株安、債券安のトリプル安の恐れも
高市政権は大型の総合経済対策をまとめ、おこめ券配布や電気・ガス料金補助などの家計支援、中小企業の賃上げ支援を講じた。先進国で最大の財政赤字に陥っている日本にとって放漫財政が長期金利の急騰を招くとの恐れも大きい。円安、株安、債券(金利上昇)のトリプル安から「日本売り」圧力が高まると懸念する声も多い。
日銀は19日、政策金利を0.75%と30年ぶりの水準に引き上げることを決めた。これを受け同22日の国内債券市場で10年物国債利回りは一時2.065%に上昇(債券価格は下落)した。1999年2月以来、約27年ぶりの高水準。金利が自由に動くようになり、景気や物価の先行きなどの予測を反映する「経済の体温計」としての機能がよみがえった。急速に上昇する長期金利は、転換点を迎える日本経済の変化を映し出す。
こうした中、外国為替市場で円安が進行。円は1ドル=157円台後半と1カ月ぶりの安値を付けた。利上げを決めた日銀の植田和男総裁が事前の想定ほど金融引き締めに前向きではないと受け止められたためだ。市場では今後160円前後まで円安・ドル高が進むと見る声が多い。
野党の要求をのむ減税策が目立つのは高市政権の基盤が弱いためだ。与党は参院で過半数に届かず、26年度予算案の円滑な成立に向けて野党の協力を得る狙いがある。自民党税制調査会幹部の顔ぶれが積極財政派に一変した影響も大きい。当初は低所得層向けだった「壁」の引き上げを国民民主の要求で中所得層まで広げ、減収規模が年6500億円に膨らんだのは象徴的だ。26年から2年の時限措置とし、恒久財源の手当てを先送りした。今後2年で低所得層に絞って生活を支援できる給付付き税額控除の具体化を急ぐ必要があろう。
防衛力強化、赤字国債増発に頼るのは危険
防衛力の強化では復興特別所得税の税率を1%下げ、代わりに27年1月から所得税額の1%相当を充てる。法人税、たばこ税に加え、基幹税である所得税で薄く広く防衛財源を手当てするのは妥当だが、防衛費の一層の増額を見込むとなお不十分だ。安易な赤字国債増発に頼るのは、戦前に戦時国債を増発し破滅した過ちを繰り返すことになる。国民の理解を得て税金を財源に充てる必要があろう。
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