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下請代金の適正取引方針を自工会が発表…原材料費やエネルギー費の上昇分を全額転嫁

レスポンス / 2024年5月23日 17時45分

日本自動車工業会(自工会)は5月23日、適正取引に関する新たな方針と今後の取り組みを決定、発表した。日本のものづくりの競争力確保と健全な取引環境の構築をめざす。公正取引委員会(公取委)が3月、下請代金の減額について下請法違反行為の防止の取り組みを自工会に要請していた。


◆サプライチェーン全体で適正取引を


自工会は、法令遵守を大前提とし、日本自動車部品工業会と共に、自動車産業のサプライチェーン全体で適正取引を推進する。具体的な方針としては、原材料費やエネルギー費の上昇分について、適切なコスト増加分の全額転嫁をめざす。また、労務費についても仕入先と十分に協議のうえ、適正に価格転嫁を行なう方針だ。


5月23日の記者会見で片山正則会長(いすゞ自動車CEO)は「『全額転嫁』は重い言葉だ。下請法の関連する企業だけではなく、パートナー全社との取引の前提としたい」と述べた。


さらに、これらの方針を織り込んだ「適正取引の推進と生産性・付加価値向上に向けた自主行動計画」およびその実効性を高める「徹底プラン」を今月改訂・公表する予定になっている。


◆部工会と連携、仕組みづくりも検討中


日本自動車工業会は、共存共栄を基本理念とし、日本自動車部品工業会(部工会)と共に、自動車産業のサプライチェーン全体での適正取引実現に尽力する方針を示した。


片山会長は「原価低減は競争力強化にとって必要。どういうところを変えれば低減できるのか、そしてサプライヤーが活動しやすくなるのか。発注側から声をかけないといけないが、『問題があれば言ってください』ではない。サプライヤー個社では、声をあげにくいかもしれないから、部工会との連携も考えている。仕組みを作って対応することも検討したい。パートナーの不安を払拭する」と述べた。


◆公取委から勧告


公取委は3月7日、日産自動車に対し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の下請代金の減額の禁止規定に違反する行為が認められたとして、勧告を行った。日産自動車は、2021年1月から2023年4月までの間、自社の原価低減を目的に、下請事業者の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず、下請代金の額を減じていた。


日産は公取委の勧告後も下請代金の減額があったと報道された。これについて記者会見に出席した日産自動車の内田誠社長兼CEO(自工会副会長)は「調査中。1週間以内を目処に報告したい」とした。


自動車製造業においては、近年、同様の違反行為が頻発しており、公正取引委員会が下請法に基づき勧告かる例が増えている。また、違反の恐れがある行為についても継続的に指導が行なわれている。公正取引委員会は、今後も自動車製造業における下請法違反行為に対して厳正に対処し、業界団体への周知を通じた啓発活動を強化する方針だという。


そして公正取引委員会は2024年3月14日、自工会に対し、会員に本件をはじめとする下請法違反行為事例を周知し、違反行為の未然防止の取り組みを促すよう要請した。また、今後の価格転嫁に係る法令遵守の在り方について、原価低減要請の在り方などを検討し、業界全体の取引適正化を推進するよう求めていた。

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