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【スズキ フロンクス 新型試乗】うまく行けばスズキの中核車種になれる…中村孝仁

レスポンス / 2024年8月3日 12時0分

◆スズキラインナップで一番と言ってよい出来栄え


スズキが『フロンクス』という名のニューモデルを10月ごろ上梓する。それに先駆けて、プロトタイプの試乗会が行われたので参加してきた。


例によって事前にお断りするが、あくまでもプロトタイプである。だからナンバーが付いておらず、クローズドのコース内での試乗。それに試乗会だから与えられた時間は短いのであくまでも味見の域を出ない。


と、そう断ってみてもチョイ乗りする限りこのクルマ、相当に出来がイイ。はっきり言ってしまうと現行スズキラインナップの中では秀逸。多分一番と言ってよい出来栄えである。


もっとも、今スズキのラインナップで比較し得るクルマはない。『イグニス』や『エスクード』はすでに販売を終了しているし、まあSUVと言っても『ジムニーシエラ』は比較対象にはならない。敢えて探せば『ソリオ』だが、あちらはコンパクトなミニバン的モデルだし、『クロスビー』も特殊過ぎてこれも比較対象にならない。そもそもデビューからだいぶ月日が経つ。そんなわけだからやはり出来としては一番であろう。


◆ハンドリングもなかなか楽しい


具体的にどこが良いかというと、一つは乗り味。試乗コースにかなりの制限があったのでその制約の中で乗らなければならなかったことを差し引いてもかなり良い。


例えば音振対策などは結構しかっかりとやられている印象だし、適度なキビキビ感があってハンドリングもなかなか楽しい。試乗コースは速度制限がかかっていたことや、タイヤスキール音を出すことなどが禁止されていたので、本当に突っ込んだ運動性能については言及できないが、それなりのヒラヒラ感は持っていた。


搭載されるエンジンは1.5リットル直4ユニットで、6ATとの組み合わせ。まあ、パフォーマンス的には可もなく不可もないけれど、実はマイルドハイブリッドである。システム的には既存のスズキ各モデルのハイブリッドシステムと同じ12Vバッテリーと小型ISGの組み合わせ。例によってかなり早い段階でエンジンを切り、発進もモーターアシストで滑らかにいくはずなのだが、専用コースのためにいわゆるストップ&ゴーがなかったので、そのあたりは試せていない。


◆BセグのクーペSUVとして存在感を示せるか


クーペスタイルのSUVであることをことさらに強調していたが、初期のころのクーペ風SUVはゴロンとした“小山風”が多く、折角のクーペ風なのにちっともカッコ良くないモデルが散見された。しかし最近はかなりいけるスタイルが多く、一方で実はそうしてデザインを追求していくと、ルーフが下がる分後席の居住性を阻害するものだが、スズキは後席の居住性や静粛性を是非試してみて欲しいと解説中にも話していた。


普段だといつもお一人様だから、後席の居住性や乗り心地は試せないのだが、今回はあちらのスタッフが多いのでサーキットタクシーならぬ試乗コースタクシーの運転手をお願いし、後席の住人になってみた。


サイドビューからもホイールベースが長そうである(他サイトを見たら2520mmであることが判明)ことは解っていたし、写真でもわかる通りドアのサイズはほとんど長さがフロントと同じだから、結構広い室内空間を持っているのだろうなぁというイメージは持っていたのだが、実際乗り込んでみると本当にゆったりとしている。


それにヘッドクリアランス的にも窮屈感はない。そして流石に自慢するだけのことはあって静粛性はかなり高く、試乗コースタクシー運転手との前後の会話も普通に成立する騒音レベル。やはりかなりきっちりと作り込んできている。


作り込みは内外装ともに結構上質な印象が漂う。ディスプレイの作りなどはこれも既存スズキ各モデルと共通だが、質感への拘りも強調されていて実際に見て触れても上質感は伝わる。いわゆるBセグメントのクーペSUVとしてライバルは多そうだが、存在感は示せるのではないかと思う。因みにエンジン/トランスミッションのメカニカルトレーンは1種だが、FWDと4WD仕様が用意される。秋の導入が楽しみだ。


■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★


中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員・自動車技術会会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来46年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。

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