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除雪、農作業、地域の足、多目的カスタムモビリティの神髄は「小型特殊」にあり…東京オートサロン2025

レスポンス / 2025年1月14日 15時30分

「東京オートサロン2025」においてヤマハが、さらに装備、カスタマイズを進化させた電動モビリティ「ディアパソン C580 Fork1」と同「Fork2」を展示した。車両区分は「小型特殊」に分類されるが、その可能性は非常に興味深いものだった。


◆2人乗りであること、15km/hの速度にも意味がある


小型特殊というと、いわゆる耕運機のイメージで、田舎道や農道を走る物だ。ヤマハが提案する「DIAPASON(ディアパソン)」は、小型モビリティのさまざまな形態、用途に対応する。ほとんどがまだプロトタイプモデルだが、ボート牽引などマリンレジャーに特化した「C310」、シニアカーをヘビーデューティにして農作業、不整地作業の足となる「C451」、リゾート向け小型4輪の「C350」、ホースライド式4輪の「C682」、3輪モビリティの「C294」など、ラインアップも豊富だ。


どれもコンセプト先行なので、市販される場合の車両区分や保安装備などの課題はあるが、私有地や制限区域、キャンパス、工場・施設構内、イベント会場、屋内利用を考えれば実用性能に大きなハードルはないものばかりだ。


今回展示されていたC580 Fork1は、小型特殊を想定した車両として公道を走る前提で、さまざまな改造、アタッチメントが装備されていた。ルーフキャリア、リアカーゴ(小型トレーラー)、雪や土を排除するプラウなどが目立つが、これでもC580 Fork1が想定する装備や用途の一部に過ぎない。


リアカーゴには水タンクやコンプレッサー、発電機、農機具などが乗せられる。耕運機とちがって2人乗りなのも作業範囲、用途を広げてくれる。小型特殊なので速度が15km/hに制限されるが、その分トルクに制御を振ることができる。これだけの装備、積載でも力不足を感じることは少ないだろう。カーゴに予備バッテリーを積めば、長時間、長距離移動にも対応する。


プラウだけでも雪国の除雪にかなり有効だ。たとえば、町内でプラウ付きのFork1を1台共有する。自治体の除雪が間に合わない、きてくれない路地スペースに活用できる。プラウは脱着可能なので、夏場は作業車として利用できる。バッテリーはホンダの可搬式バッテリー「モバイルパワーパックe:」を利用する。これはアダプターでAC100Vから充電することもできるが、自治体や農協がステーション設置すれば利便性も上がる。


◆ヤマハが小型特殊にこだわった理由


以上は一例だが、地方に必要なのは電動キックボードよりもディアパソンのような小型モビリティだ。小型特殊ならシニアカーより用途が広がる。また、バギータイプのフレーム構造のため、外装を含め非常にカスタマイズがしやすい。ヤマハでもカスタマイズ、架装についてはパートナーシップ体制を敷いている。同時に展示された「C580 Fork2」では、トーヨータイヤとコラボレーションしオフロードラリー車をイメージした“走り”の仕様を提案して見せた。


ディアパソンシリーズは、自動運転やADAS系から、農耕器具、荷台やトレーラー、フォークリフト、プラウなど幅広く対応する。


ヤマハが多様なデザイン、機能を提案できるのはAIを活用しているからだ。AI活用もパートナーシップ戦略により、多種多様なツール、手法を組み合わせながら、デザインを効率よく考案している。単にランダムなデザインを生成するのではなく、設計要件や用途、シチュエーションや利用イメージといった要素を指定することで、無駄なデザイン、実用的でないデザインとはならないようにしている。


なお、ヤマハがディアパソンで小型特殊にこだわった理由のひとつに、自動車免許を返納する際、小型特殊を残すことが可能だったことがあるという。地方において高齢者の免許返納問題は深刻だ。病院もスーパーも近くにないエリアで免許を返納すると、シニアカーくらいしか残らない。これでは現実に生活ができないが、小型特殊が使えれば問題解決の可能性が広がる。速度が15km/hしかでないなら、家族も安心だろう。


ヤマハに限らず、小型特殊を手掛けているメーカーはこの市場を開拓すべきではないだろうか。


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