「そのまま12時方向に進んで」視覚障害者のための優しい地図音声道案内「くすくすマップ九州」誕生 コーヒーの香りやガソリンスタンド店員の声オーライオーライ」も情報に
RKB毎日放送 / 2024年4月10日 19時42分
福岡市の視覚障害者のグループがスマートフォンを活用した新たな地図作りに取り組んでいます。当事者だからこそわかる情報を盛り込んで「街歩きしたくなる」地図を目指しています。
「そのまま12時方向に進んで」
福岡市に住む出村翼さん(44)と西夕子さん(50)。視覚障害がある2人はスマートフォンの音声読み上げ機能を使った新しい地図作りを進めています。
くすくすマップ九州「21メートルほど進むと9時方向への分岐がありますが、そのまま12時方向に進みます」
既存の地図アプリにも音声案内機能はありますが、地図や周りの景色を「目で見る」ことを前提として作られています。出村さんたちが現在作成している「くすくすマップ九州」は、点字ブロックを基準に歩く距離や方角などを音声で伝えます。例えば西鉄福岡(天神)駅から中央区長浜にある「あいあいセンタ―」までのマップは68の文章で構成されています。
くすくすマップ九州の道案内「55メートル地点あづま屋という担々麺と中華そばの店があります。」
出村翼さん「セブンイレブン?やっぱりコーヒーのにおいがするからわかるね」
このマップは目的地までの道順だけでなく途中にある店の「においや音」などの情報も伝えてくれます。出村さんは、視覚障害者に外出を楽しんでもらいたいと考えています。
出村翼さん「『お店がありますよ』と言われても、点字ブロックからそのお店に実際入るためにはどうすればいいんだろうというのが、今までのマップでは足りなかったところだと思う。お店にたどり着けるような情報をしっかり書き込まなくちゃいけないと思ってそこに力を入れています」
「ひとりで移動できれば自信になる」出村さんは週4日ほど、バスを利用して職場に通っています。白杖を左右に振って、道の境界線を見極めたり、障害物などを叩いたりしながら、歩いていきます。
出村翼さん「車が止まったり、走ってくる車の音が少し減速するんですよね。速度を落としているなということは青だな、青になるんだなというところで判断しています」
出村さんは14歳で糖尿病を発症。明るさと暗さや一部の色は認識できるものの、31歳の時にほぼ視力を失いました。
出村翼さん「目が見えなくなったことによって全部できないと思っちゃうんですよね。マップのように細かい情報があればいろんな場所に行ける。こういう経験と情報があればお店に自分一人で歩くことができる。やっぱり視覚障害者にとって自分ひとりで移動することはとても大きな自信になると思うんですね」
実際に歩いて距離や方角を記録
マップ作りでは出村さんたちが点字ブロックに沿って歩きながら、計測器で距離を測り、方角や店の場所を記録していきます。
出村翼さん「ここです、点字ブロックがほとんど触っていてわかんないというかですね。さっき工事現場があったじゃないですか、あそこきれいでボコボコしてるんですけど、ここ凹凸があまりないので、どれ~ってなって」
全盲の視覚障害者は白杖や足の裏で点字ブロックを確認していますがすり減っていると、認識が難しくなります。また、ブロックの色が暗いと弱視の人が確認しにくくなるということです。
出村翼さん「13.8メートルでローソン。左に行って段差ですかね。微妙なんですけどね、ないに限りないけど、ちょっとあるようなないような、躓きそうな感じの」
段差など細かい部分もチェックしていきます。自動ドアでないことも案内に付け加えました。
出村翼さん「全盲の人は白杖で探っていったり足で探っていくので、つながっていないと施設に誘導するための分岐のブロックがない、気づけないのでそこに施設があることも気づけないんですよね」
記録したデータを文章に歩いて記録したデータは、音声で案内でするために文章に打ち替える作業を行います。
出村翼さん「福岡では、『百道』と書いて『ももち』と読みますよね。アイフォンでは百道福浜方面って言ってるんですけど、パソコンの方では『ひゃくみち』って言うんですよね。だからこれどうしようかなぁ。パソコンの方でひらがなにしないといけないかな。色々書き換えたりしています」
4か月かけてようやく「くすくすマップ九州」の第1号が完成しました。ホームページには西鉄福岡(天神)駅から周辺の施設や店舗への歩き方を50通り紹介しています。今後、さらに行き先を増やしいくことにしています。
出村翼さん「視覚障害者の人たちが楽しく外出できるように、そして自信をつけてもらえるように、たくさんのルートとお店を、できれば全てのお店を作れたらいいんですけど。その気持ちでどんどん広げていければと思っています」
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