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「8割はきつい。でも非日常でリセット、それが魅力です」 アウトドアブームがけん引する高校の「登山部人気」

RKB毎日放送 / 2024年5月6日 18時27分

少子化の影響で、部活動をする高校生の数は減少しています。

一方で、10年前と比べ部員の数が増えているのが「登山」です。

生徒たちは、なぜ部活動として「登山」を選ぶのか。その魅力に迫りました。

インターハイ準優勝の強豪は文武両立の公立高校

険しい山道を軽快に進んでいく生徒たち。

修猷館高校山岳部のメンバーです。

70年以上の歴史を持ち、去年のインターハイでは、男子団体で準優勝、女子団体では16位の成績を残しました。

修猷館高校山岳部の生徒「荷物は、普段の生活に必要な物を全部、家の縮小版を背負って登る感じだからとにかく重くなります」

新入生15人が入部

修猷館高校・山岳部の部員は現在42人。この春、新たに男女15人が入部しました。

修猷館高校1年馬場結人さん「中学は野球部でした。高校は野球を続けるよりも新しいことに挑戦してみようと思いました」

修猷館高校1年中川原爽太さん「小さいころからずっと山が好きで。中学のころに修猷館高校の山岳部の話を聞いて、高校受験でも修猷館の山岳部に入りたいという気持ちで一生懸命勉強しました。中学時代は、新型コロナの流行で街に出て人と関わるのも難しくて。山はコロナと関係なくいつでも登れる、山はいつでも受け入れてくれているので一つのレジャーとして楽しめました」

10年で2000人増加した「登山部員」

全国高等学校体育連盟によると2023年度、運動部に所属する生徒の数は106万人あまりで、この10年で約14万人減少しました。一方で「登山部」の部員数は9758人から1万1632人と、約2000人増加しています。

修猷館高校・山岳部顧問の楠田和宏教諭は、アウトドアブームで生徒が自然に触れる機会が増えたことも人気の理由だと考えています。

修猷館高校・山岳部 顧問 楠田和宏 教諭「波もありますが、例年10数人が入部します。生徒が山岳部を選ぶ背景として、家族でキャンプを楽しんだり山に行ったりする家庭が増えているような気がします」

重さ10キロ超える荷物を背負って

修猷館高校・山岳部 顧問 楠田和宏 教諭「天気を心配していましたが、今のところ雨も大丈夫だと思う。予定通り宝満山に登って縦走して三郡山に向かいます」

4月末、毎年恒例の新入生歓迎登山を行いました。

1年生と上級生でグループを作り、1泊2日で福岡県太宰府市と筑紫野市にまたがる宝満山などを縦走します。

上級生のザックには飲み物や着替えテントなども入っていて、重さは10キロを超えます。

RKB小松勝記者「きついですね」

RKB坂本祥カメラマン「でもまだ半分も来てないよ?」

RKB小松勝記者「高校生の体力をなめていたかもしれません、頑張ってついて行きたいと思います」

求められる予期せぬ事態への対応力

順調に進んでいた高校生たちですが、予期せぬ事態が起きました。

生徒「あ、やばい、ちょっと待って」

生徒「足つりかけた?」

生徒「う、うん」

慣れている人でも、足がつることがよくあるといいます。

足を痛めた2年生の部員をサポートしながらチーム全員で進んでいきます。

先頭を進むグループでは、上級生が1年生にアドバイスを送っていました。

修猷館高校・山岳部 主将 岡崎哲太さん「ひもを締めれば締めるほど楽になると思ってもらっていい。ザックは、体に密着していた方が楽になる。いったん止まろうか」

Qなぜ止めた止めたんですか?

修猷館高校・山岳部 主将 岡崎哲太さん「皆しんどそうだったので。1年生はザックを持ち慣れていないので、ザックをきちんと締めているかできつさは変わってきます」

何も見えなくても「達成感」

登り始めてから約2時間頂上に到着しました。

Q後輩たちはどうでした?

修猷館高校・山岳部 主将 岡崎哲太さん「運動部経験者は強いですね、基礎体力がちゃんとあるので。僕らも同じくらい疲れています」

山頂は雲に覆われていましたが、部員たちの表情は晴れやかです。

1年中川原爽太さん「達成感があります。頂上からの景色は真っ白、何も見えないですが、これもなかなか風変わりでいい景色」

普段はトレーニングと知識の習得

インターハイでの登山競技は4人1組の団体戦でスタミナの配分などの「体力」審査以外に、登山の「技術」や「知識」も採点の対象となります。

山に登らない日は、ランニングや重たい荷物を背負って歩く「歩荷」と呼ばれるトレーニングなどを行って基礎体力をつけるほか、必要な知識や技術を習得しています。

ラジオを聞きながら天気図を作成するのも審査項目のひとつ。

ラジオ音声「この時間は気象庁発表のきょう正午の気象通報をお伝えします」

新入生は音声に耳を傾けながら完成を目指しますが…。

1年中川原爽太さん「整理が追いつかず途中で書けなくなりました。もっと毎日練習した方がいいのかなと思います」

インターハイでは、ほかにも「自然観察」や「救急」「気象」の知識を問う筆記テストもあります。

2年原田佳奈さん「担当が自然観察の人は植物の名前を覚えられるので、勉強に役立つかは分からないけど自分の知識になっています」

2年木下征樹さん「英語のリスニングは、天気図の作成をするようになってから点数が上がりました」

学校では味わえない特別な体験が魅力

仲間と山頂を目指し、自然に触れて寝食を共にする。

学校では味わえない特別な体験ができることが最大の魅力だと主将の岡崎さんは話します。

修猷館高校・山岳部 主将 岡崎哲太さん「山岳部の8割くらいは基本的にきつい、ほとんど歩く部活なので楽しいのはほんの一握り、でもそれが楽しい。週末に非日常的な空間でみんなで泊まるのはちょっと不思議な気分、リセットされる感じ、それが魅力です」

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