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「わざと失敗して信憑性を持たせ、次は必ず(利益を)出す。それで踊らされて…」SNS投資詐欺の被害男性が語る事件の経緯

RKB毎日放送 / 2024年10月3日 18時48分

ここ数年、SNSで投資を持ちかけられ金をだまし取られる「SNS型投資詐欺」の被害が急増しています。

今年8月には、370人あまりの投資口座から合計9億円(被害者側まとめ)が消える事件が発生しました。

現金をだまし取られた2人の男性が語る被害に遭うまでの経緯です。

発端はSNS上で見つけた”投資家”アカウント

被害者Aさん「もう正直頭が真っ白になった」
被害者Bさん「どこにね、この怒りをぶつけていいかわからないし」

こう憤るのは、いずれも福岡県内で会社を営む40代の男性2人です。

2人は今年8月、SNSを使ったFX投資詐欺であわせて300万円あまりをだまし取られました。

発端は今年4月、AさんがSNS上で投資家を名乗り、FX=外国為替証拠金取引に関して投稿するアカウントを見つけたことでした。

被害者Aさん
「Xでアカウントを見つけて、その方がFXの運用をされてる。分析とかもしっかりしていたので情報を見ながら、ああしっかりしてるなと思って…」

Aさんはこのアカウントが募集していた「コピートレード」というものに参加。

指定された証券会社で口座を開設した上で、金融取引を行うアプリをダウンロードし、やり取りを始めました。

「コピートレード」とは、特定の人物が行ったFX取り引きの内容が自分の取り引きにも反映されるものです。

Aさんに”一定の利益”投資仲間のBさんに紹介

約50万円を投資したAさん。

投資家アカウントのコピートレードで一定の利益が出たため、FX投資仲間であるBさんにも紹介しました。

被害者Bさん
「最初それ(コピートレード)を聞いた時、本当なのっていうのがまず最初だったんですけど、証券会社がアップルストアにアプリとしてあったから、それなりの保証というか大きな会社なんだろうなという感覚で私は一緒に入りましたね」

BさんもAさんと同じコピートレードに参加し、2か月で250万円を証券会社の口座に振り込みました。

被害者Bさん
「負けないんですよ。ずっと連勝記録を達成しててですね、私たちも一応トレードをする側としてやっぱりすごいなっていう感覚で…」

アプリ画面上では資産が増加救世主的な存在に

アプリの画面上では、月に11%という高い利率で資産が増加。

SNS上では、自分と同じように多くの人が「利益が出ている」という投稿をしていたため、疑うことはありませんでした。

被害者Aさん
「わざと失敗したような形で信憑性を持たせる。この1回のトレードは少額の損失を出しました。でも次は必ずワーッと出すんですよね。それでみんなおどらされて信用しきってという感じですね。まあほぼほぼみんな洗脳されて崇拝してるような状態だったので」

記者「一種の宗教のような?」

被害者Aさん
「ですね。自分たちの資産を増やしてくれる救世主的な扱いに近かったですね」

ある朝、事態は一変。投資口座の残高が「0」に

しかし、8月6日の朝、事態は一変します。

被害者Bさん
「起きたばかりだったから、なんだかわからなくて、よく見たら全部自分の残高がゼロになってた」

口座から残高が消えたのは、Bさんだけではありませんでした。

Aさんはもちろん、コピートレードに参加していた多くの人の残高が消え、SNS上では、驚きと落胆の投稿が相次ぎました。

被害者Aさん
「自分の分はいいんですけど他人の大事なお金まで紹介したことによってっていうのが…なんとお詫びしたらいいかというところが大きかったですね」

”投資家”から謝罪文被害は判明分だけで”370人” ”9億円”

2人が連絡を取ると、投資家のアカウントから謝罪の文が送られてきたといいます。
送られた謝罪文「今回はまことに申し訳ございません。…少しだけ時間をください」

これを最後に連絡が取れなくなったため、2人は警察に被害届を提出。

同じような被害に遭った人たちの有志がSNS上で情報提供を求めたところ、全国の370人あまりから申告がありました。

2人と同じ8月6日にわかっているだけで約9億円の現金が一斉に消えたとみられています。

SNSが入口となるため、幅広い世代に被害が広がっているSNS型投資詐欺。

警察庁によりますと、今年のSNS型投資詐欺の被害額は7月末までにおよそ580億円に上り、前の年に比べて6倍以上に増加しています。

また、福岡県内でも8月末までに47億円に上っています。

ネットバンキングで水際阻止が困難、「金融庁の登録」確認を

警察は、SNS型投資詐欺が急増している理由について、次のように話します。

福岡県警犯罪抑止対策室・紫村幸輝 室長
「(SNS型投資詐欺は)被害者の方がSNS上でやり取りをしますのでなかなか第三者の方に気づかれにくい、またお金の引き出し方についてもネットバンキング等を使われておりますので、水際で阻止しにくいといった点があげられます」

SNS型投資詐欺に詳しい弁護士は、取り引きに使う金融機関が金融庁の登録を受けているかどうか確認することを勧めています。

大地総合法律事務所・佐久間大地 弁護士
「FXの投資をやるという時は必ず登録しなければいけないものなので、これが登録されていないものに関して投資をすることはですね基本的には絶対にやめていただいたほうがいいと思いますね。本当に稼げるような投資はSNSみたいな、誰でも見られるようなところに発信されることってまずない」

高まる投資ブームを逆手に取った今回の事件。

被害に遭わないためには、SNSの情報を安易に信用しないことが大切です。

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