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マストドンが語る、2016年の秘蔵インタビュー「俺たちは真っ裸になる準備ができている」

Rolling Stone Japan / 2022年8月11日 17時30分

マストドンのブラン・デイラー(Photo by Per Ole Hagen/Redferns)

2022年8月14日、幕張メッセで開催される「DOWNLOAD JAPAN 2022」に出演するマストドン。2018年のサマソニ以来となる待望の来日。今回は米ローリングストーン誌の2016年のアーカイブを掲載しつつ、彼らの魅力をあらためて探ってみる。

【動画を見る】マストドンのライブ映像

マストドンの最新アルバムは「砂漠版グリム・リーパーの物語」だと言う。ドラマー・シンガー・リリシストのブラン・デイラーの弁だ。筋肉質でメタフィジカルなハードロックな12曲は、まだアルバム・タイトルが未定だが、2017年春にリリース予定となっている(※後に『Emperor of Sand』として発表された)。彼らが取り組んだテーマは「死の必然性」。身近な友人とその家族がガンと闘う姿にインスパイアされた。



「時間というのがこのアルバムで非常に大きなテーマとなっている」とデイラーがローリングストーン誌に語る。「俺たちに残された時間はどれだけか? その時間で俺たちは何をするのか?ってことがね」

このアルバムで、アトランタの怒れる4人組はプロデューサーのブレンダン・オブライエン(絶賛された2011年の『Crack the Skye』を手掛けた)と再びタッグを組んだ。オブライエンは、ジョージア州ケネソーにあるザ・クアリーでの1カ月間のセッションでガイド役を務め、ロサンゼルスのヘンソン・スタジオで2週間のミキシングとオーバダブ作業を行った。いつも通り、デイラーはドラム・トラックの録音を完了すると、他のメンバーがギターやベースのレコーディングを行っている最中にラフな歌詞を書き始めた。

「頭の中に一つの状況を描いた短編映画みたいなのがあって、それについて言葉を紡ぎ始めるんだ」とデイラー。彼の言葉はこう続く。「自分に関係する歌詞にするように努めながら、意味深になりすぎないようにして、他の人が共感できるものにしようと頑張るんだ。歌詞を書くことは恥ずかしいよ。俺はドラマーだし、少ししか歌わない。みんなで力を合わせてこういう事柄に取り組んで、全員でやり方を見つける。つまり、歌いたくない3人が歌うバンドをどうやってヴォーカル主導にするかってこと」

2014年の『Once More Around the Sun』と同じように、新作はマストドンならではの壮大なヘヴィネスに、サバイバルと死にまつわるエモーショナルな深いメッセージが組み合わされている。このアルバムの歌詞の主人公は、砂漠の統治者から死の宣告を受け、不毛の荒れ地を彷徨う。これは疾病と破滅のメタファーだ。

「この物語の最後で、この主人公は死に、それと同時に救われる。これはガンを体験することであり、化学療法を受けることであり、ガンにまつわる全てのことだ。事実に即した内容にはしたくなかったけど、すべてがそこに書かれている。行間を読めば理解できるよ」


ヘヴィなサウンドを探求

音楽面では、いつも通りにヘヴィなサウンドを模索し続け、リズム・ギタリストのビル・ケリハーがツアー中の休憩時間に作ったリフを土台に、サウンドを広げながら深みを増している。「このアルバムはリフが溢れ出ているカップだよ」とデイラー。ローリングストーン誌に聞かせてくれた数曲は、それなりにムダを削ぎ落とした、メロディックでダイレクトな楽曲だ。「Show Yourself」は、ブレント・ヒンズのワイルドなギターが発する突発的なサウンドと絡み合う正統派リフで始まり、噴火していく。

「Show Yourself」のボーカルはデイラーだが、彼はこの曲をゆっくりと受け入れて行ったと言う。「あのリフを最初に聴いたとき、100%の確信が持てなかった。簡単に気に入られるリフというか、そんな感じがして、こういうのは馬鹿げているけど、でも俺は『簡単』ってことを避けたいんだ。あのリフに関しては、俺の考えが間違っていたよ」と、デイラーが認める。



杭打ち系のロック曲「Precious Stones」は、筋肉質で正確。プログロック系アンビエントと急上昇するヴォーカル・コーラスが組み合わさっている。「Steambreather」は、陰鬱で複雑だが、高速のギター・パターンとデイラーのトライアングルのリズムが明るいアクセントとして効いている。





2016年にマストドンと再び作業をしてみて、前回プロデュースした『Skye』と比較すると、自信が増しているとオブライエンは言う。「彼らは最高に上手いプレイヤーだ。それに、3人とも今ではシンガーとしても非常に優れている。アグレッシヴでクレイジーなままで、以前よりもメロディックなものを多用できるようなっているんだ。連中は本当に歌がうまい!」とオブライエンが言う。

「Jaguar God」はヘヴィなサウンドが渦巻いている。始まりは穏やかな輝きを放つアコースティックな曲だが、シンガー・ベーシストのトロイ・サンダースの唸るヴォーカルがパンチを効かせている。始まりのアコースティックなイントロをデイラーは「俺にはレッド・ツェッペリンの曲みたいに聞こえる」と言う。この曲では、マストドンの楽曲でよく使われるタイプのパッセージがこだまする。こういったセクションを考えるのはヒンズのことが多い。彼は自宅で作曲するときにアコギを使う上に、メタル、プログレ、オルタナティヴをミックスしたバンドサウンドにトラディショナルなサウンドを入れるのが好きなのだ。デイラー曰く「あいつはサザンスタイルのチキンピッキングなんかを弾くんだよ」と。





マストドンというバンドの本質

これはマストドンがこれまで一度もツアーで披露したことのない音楽の側面だ。ツアー中の音楽は高い確率でヘヴィさとラウドさが維持される。「ステージに立ったときの俺たちの基本がそれだ」とデイラー。「始めは怖いけど、今では怒りで怒髪天になっている観客に慣れている。殴り合う観客の姿がないと、自分たちの仕事を十分にしていないと感じるか、観客に嫌われていると思ってしまうくらいにね」

2017年、彼らはステージにアコースティック楽器を置くかどうかを真剣に考えた。「俺たちは常にヘヴィ、ヘヴィでやっているけど、もっと大人らしい音楽をプレイしたい。アコースティックでプレイするって、ほとんど真っ裸と同じだ。それを観客に見せたいか?って考えると、たぶん俺たちは真っ裸になる準備ができていると思うんだよ」と、デイラーが説明する。

セッション中に、オブライエンは楽曲をまずはオリジナルのアレンジで録音した。その後、彼とバンドは一緒に編集し、それぞれの楽曲をタイトに仕上げた。「3分半の曲でも、その3分半にインパクトを詰め込んでいる」と、マストドンと同じアトランタ出身のオブライエンが言う。「曲の中でいろんなことが同時進行で起きている。それがマストドンというバンドなんだ」と。

そういったアイデアや左折にはスタジオ内レフリーが必要になると言って、デイラーが続ける。「レコーディングを続けていると、状況が過熱することが必ずある。楽曲は全員の赤ちゃんだし、人はその子のために支配力や不動産で争うものだ。そんな感じで、雰囲気が重くなると、ブレンダン・オブライエンがギターを持って、イエスの曲を弾き始めるんだよ。すると全員がいい気持ちになる。彼はガス抜きの方法をよく知っているね。俺たちはかなりパッシヴ・アグレッシヴ(受動的攻撃性)なバンドだ。でもメンバーは対立が好きじゃない。きっと、俺たちの関係が上手く行く理由がそれだろうな。17年間も同じ4人でやっているのだって、そのおかげかもしれないよ」

【関連記事】「DOWNLOAD JAPAN 2022」タイムテーブルとステージマップ公開

from Rolling Stone US

<INFORMATION>

「DOWNLOAD JAPAN 2022」



2022年8月14日(日)千葉・幕張メッセ
時間:OPEN 9:30 / START 10:30
料金
VIP:35000円(入場チケット+VIP特典)
スタンディング:18000円(別途1ドリンク代)
【タイムテーブル】
OPEN 9:30
9:45-10:15:BAND-MAID(Opening Act)
10:30-11:20:The Halo Effect
11:50-12:40 :Code Orange
13:10-14:00:At The Gates
14:30-15:20:Soulfly
15:50-16:40 :Steel Panther
17:10-18:00:Mastodon
18:30-19:30 :Bullet For My Valentine
20:00-21:50:Dream Theater

オフィシャルサイト





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