1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. カルチャー

アンダーワールド、絶対に知っておきたい名曲10選

Rolling Stone Japan / 2024年8月13日 18時30分

Photo by Jon Gorrigan

近年のアンダーワールド(Underworld)は再び充実期を迎えている。そんなふうに言われると意外に思う人もいるかもしれない。だが2023年から次々とリリースされている最新シングル群は、90年代の黄金期を彷彿とさせるようなエナジーに満ちたダンストラックばかり。現時点での最新オリジナルアルバム『Barbara Barbara, we face a shining future』(2016年)も円熟期を迎えたバンドの理想的作品として高い評価を得ていたが、それとはまた違った形で、今の彼らはクリエイティビティの高まりを見せているのが感じられるのだ。

となれば、今年のソニックマニア(8月16日開催)やサマーソニック大阪(8月18日出演)でアンダーワールドを観るのは絶好のタイミング。そこで本稿では、90年代の大アンセムから最新曲まで、今の彼らのライブを楽しむために絶対に知っておきたい10曲を厳選して紹介する。アンダーワールドをよく知らないという若いリスナーもいることを踏まえ、単なる曲紹介に留まらず、30年以上に及ぶバンドの長い歴史を概観できる入門編として楽しめる内容にすることも心掛けた。




左からカール・ハイド、リック・スミス

「Dark & Long (Dark Train)」(『Dark & Long』収録:1994年)



今年2024年にリリース30周年を迎えたアンダーワールド最初の傑作『dubnobasswithmyheadman』(1994年)は、彼らの第二章の幕開けを飾る記念碑的作品だ。80年代はヒットに恵まれない一介のニューウェイヴバンドだったアンダーワールドは、80年代末に巻き起こったセカンド・サマー・オブ・ラブの熱気に感化され、当時クラブの現場で活躍する若手DJだったダレン・エマーソンを新メンバーに迎え入れる。そしてカール・ハイド、リック・スミス、ダレンからなる”3人組ダンスアクト”として再始動した最初のアルバムが『dubnobass~』である。

「Dark & Long」は『dubnobass~』のオープニングを飾るナンバー。そしてここで取り上げる同曲の「Dark Train」ミックスは、彼らの名を一躍世に知らしめたダニー・ボイル監督映画『トレインスポッティング』(1996年)に「Born Slippy (Nuxx)」と並んで使われたものだ。今でもライブではオリジナルではなくこちらのミックスが頻繁にプレイされている。

「Dark & Long」のオリジナル版は、言うなればエイドリアン・シャーウッドによるダブミックスを施されたデペッシュ・モードが野外レイヴに迷い込んだようなトラック。それは、ポストパンク/ニューウェイヴの精神とレイヴカルチャーの幸福な出会いを象徴する第二期アンダーワールドをもっとも端的に体現していた。



一方の「Dark Train」ミックスは原曲から大きく表情を変える。BPMは120から130にグッと押し上げられ、曲構成も明らかにフロアでの即効性を意識したものだ。基調となっているのは、TR-909で作られた推進力があるドラムビートと、Bフラットのオクターブで鳴らされるベースライン。そこにアンダーワールドならではの大振りでアンセミックなリフが絡んでくる。暗闇の淵から響いてくるようなクワイアのコーラスも非常に効果的だ。深夜の狂気と熱狂が激しくこだまする、今も古びないダークトランスアンセム。




「Two Months Off」(『A Hundred Days Off』収録:2022年)



通算6作目となる『A Hundred Days Off』(2002年)は、ある種の緊張感をもってファンから迎えられた。というのも、同作はダレン・エマーソン脱退後初のアルバム。クラブカルチャーのヴァイブをアンダーワールドに持ち込み、”第二期”の成功に多大な貢献を果たしたダレン抜きで、アンダーワールドは本当に大丈夫なのか? そんな一抹の不安を誰もが抱かずにいられなかったからだ。

しかしそんな心配を溶解させ、私たちを安堵させると同時に、果てしない恍惚へといざなってみせたのが、アンダーワールド中期の名曲「Two Month Off」である。少しばかりダークなアシッドトラックとして幕を開けるが、やがてキラキラと輝く光の粒子のようなシンセのシークエンスが舞い降りてくる。そして徐々にフェードインしてくる、フレンチタッチにも似た、2小節のループで構成された高揚感に溢れるリフ。これだけでも至福だが、そこにカールが歌う「君が光をもたらすんだ(You bring light in)」というリフレインが飛び込んでくると、まるで視界いっぱいにまばゆい光が広がっていくような多幸感に包まれるだろう。極めつけは、最後のブレイクでカウベルが連打される躍動的なリズムに突入することだ。ここでダメ押しとばかりに、もう一段上の恍惚へと私たちを導いていく。

『dubnobass~』と、それ続く『Second Toughest In The Infants』(1996年)は、暗い路地裏に一寸の光が差し込んでくるようなロマンが最大の魅力だった。だが「Two Month Off」での彼らは、ひたすらにまぶしい光を追い求めている。アンダーワールドのディスコグラフィの中でも、もっとも真っ直ぐにポジティブなフィーリングを捉えた曲のひとつだろう。




「and the colour red」(『and the colour red』収録:2023年)



一体ここ最近のアンダーワールドに何が起きているというのだろうか? 2010年代以降の彼らは、少しずつ枯れた味わいを増しながら、年相応に円熟味のあるサウンドへと向かおうとしていた。しかし2023年からリリースされている一連のシングルは、90年代の黄金期を思い出さずにはいられない完全フロア志向のアグレッシブなダンストラックばかりなのだ。もちろん、週に一曲ずつ、一年間に渡って連続リリースするという実験的プロジェクト『DRIFT』(2018~2019年)にもフロアユースのダンストラックは幾つもあった。だがそれは約50曲の中のバリエーションのひとつに過ぎない。それに対し、2023年からのシングル群は、どれも彼らが再びダンスフロアへの情熱を熱く燃やしているように感じられる。

「and the colour red」はそんな一連のシングルの中でもライブで頻繁にプレイされる曲のひとつだ。ズンッズンッと重たく響く4つ打ちに、ウネウネとのたうち回るアシッドなベースライン。この段階で、”あのアンダーワールド”が帰ってきたと胸を熱くする人も多いだろう。ヴォコーダーで加工されたカールの歌声は押し殺したような低いトーンで抑えられ、やがて単音のシンセセリフが効果的に絡み出す。深いエコーやリヴァーブ、そしてノイズのコラージュも効いている。このダブとテクノとロックの混合物のような暗く妖しいダンスチューンには、『dubnobass~』の再来という賛辞さえ送りたくなってしまう。



「Pearl's Girl」(『Second Toughest In The Infants』収録:1996年)



アンダーワールドの代名詞と言えば、何種類かの音色のキックを重ねて作られた図太い4つ打ち。そのどっしりと安定した四分音符のビートを基盤に、その倍やさらに倍で感じられるパーカッションや、リズミックにエディットされたカール・ハイドの歌声などを緻密に重ねることによって、パワフルだが軽やかなグルーヴを生み出すのがリック・スミスの定石となっている手法のひとつだ。

しかし「Pearls Girl」でのリックは珍しく4つ打ちから離れ、ドラムンベースのフィールを掴もうとしている。この曲と、この曲が収録された『Second Toughest In The Infants』がリリースされたのは1996年。前年にはゴールディの『Timeless』が送り出されるなど、まさにジャングル/ドラムンベースがメインストリームへと侵攻を始めたタイミングだった。

ダンプカーのように猛進するブレイクビーツに、細切れになったスネアが複雑にレイヤーされた荒々しいビート。そこにヘリコプターのプロペラが風を切る爆音を耳元で聴いているようなシンセベースが重なることで、不穏な空気と緊張感が流れる。そして4分半辺りからガラスのように透き通ったシンセのシークエンスが始まると、そこには緊張(せわしないベースとドラム)と解放(ロングトーンで奏でられるゆったりとしたシンセ)の両極に私たちを引き裂くような混沌としたエネルギーが生まれるのを感じるだろう。カール・ハイドの歌は「リオハ、リオハ、尊敬すべきアル・グリーン」という最初のラインも鮮烈で素晴らしいが、「老いぼれたアインシュタイン、屋根裏で気が触れている」という一節がこの曲が持つカオティックなエネルギーを何より的確に捉えている。




「Kittens」(『Beaucoup Fish』収録:1999年)



80年代はヒットに恵まれず、生き馬の目を抜く音楽産業に疲弊していたアンダーワールドは、90年代に入ると産業の外側でDIYの健全なシーンを形成していたレイヴカルチャーに自分たちの居場所を見つけた。カール・ハイドが何度も強調しているように、彼らにとってクラブミュージックとの出会いは音楽的ヒントだけでなく、アイデンティティの拠りどころも与えたのだ。だからこそ「Born Slippy (Nuxx)」が大ヒットし、”新時代のスタジアムバンド”として産業の期待が一身に集まるようになったことは、彼らにとって皮肉でしかなかった。そしてそんな”「Born Slippy (Nuxx)」以降”の甚大なストレスがかかっている状況下でリリースされたのが、5作目『Beaucoup Fish』(1999年)である。

所属レーベルのJBOごとメジャーに買収され、「もっとポップに、もっとビッグに、もっとアンセミックに」という期待が重くのしかかる中、『Beaucoup Fish』は膨れ上がった産業の欲望から距離を取るかのように緻密で端正なテクノを聴かせる。全体的なフィーリングとしては少しばかりピリピリとした緊張感があり、音の感触としてはハードでアグレッシブだ。

「Kittens」はそんな時代のアンダーワールドを象徴する強烈なノイズとビートで形作られたトラック。執拗に繰り返される硬質で重たいドラムと単調で短いシンセ音のループからはハードミニマル/ハードテクノの反響も感じられるだろう。だが、3分18秒から始まるメロディックなシンセのリフはアンダーワールドならでは。まるで60年代サイケデリックロックのギターソロをシンセに置き換えたような、陶酔的だが狂気と混沌を孕んでいる美しいリフは、この曲を特別な存在へと押し上げている。



「denver luna」(『denver luna』収録:2023年)



ここ最近のアンダーワールドのシングルで注目すべきは「and the colour red」だけではない。ハウスプロデューサーのケッタマとのコラボで発表された「Fen Violet」もピアノのリフが強烈なレイヴチューンだし、まだライブでしか披露されていない未発表の新曲「strawberry hotel」「gene pool」もオーディエンスショットで確認する限り期待できる。だが今もっともファンを騒がせている新曲と言えば「denver luna」になるだろう。



この曲を聴いた人たちの反応は興味深い。なぜなら、ある人は「ここには『Cowgirl』のヴァイブが宿っている」と言い、またある人は「いや、自分は『Moaner』を思い出す」と言い始める。英国メディアのThe Guardianに至っては「この曲には『Born Slippy』の反響がある」と認める始末だ。錚々たる名曲の名前が並び過ぎて逆に腰が引けるかもしれないが、要するにこの曲にはクラシックなアンダーワールドのエナジーが宿っているということだ。ちなみにネット上で見かけるファンの声で一番多いのが「Cowgirl」みたいだという意見。しかし筆者としては、「Born Slippy」のマントラのようなキックとボーカルに「Moaner」のダークなエッジを掛け合わせたように聴こえる。5分過ぎのブレイクから始まる、幾層にも重ねられたカールのボーカルが生み出す空高く舞い上がるような高揚感が至福だ。

なお、この曲にはケッタマによる再解釈バージョン「G-Town Euphoria (Luna)」も存在する。原曲のボーカルを活かしながらも、さらにアグレッシブなレイヴチューンへと生まれ変わっているこちらも必聴。



「King of Snake」(『Beaucoup Fish』収録:1999年)



ジョルジオ・モロダーが発明したドナ・サマー「I Feel Love」の波打つような催眠的ベースラインは、これまで何度ポップミュージックの世界で援用されてきたことだろうか。リリース当時、ブライアン・イーノがデヴィッド・ボウイに「この曲が今後15年間のクラブミュージックを変える」と言い放ったのは有名な話だが、実際は発表から50年近く経ってもその影響力は衰えを知らない。そしてご存じの通り、アンダーワールドもまたこの曲の特別な魅力に取り憑かれたアーティストの一組である。

「King of Snake」はあのベースラインをより高速に、よりノイジーに打ち鳴らす。そしてそこに絡んでくるのは粘り気のあるディスコビートではなく、直線的に叩きつけるようなキックと甲高く金属的なパーカッション。この曲は「I Feel Love」のインダストリアルバージョンと呼んでもいい。2分52秒から挿入されるピアノのリフは、これがハウスの時代を通過した産物であることを思い出させる。英クラブ音楽雑誌Musikは「King of Snake」を「ジョルジオ・モロダーと(NYハウスの巨星)トッド・テリーを繋ぐ曲」と評したが、筆者であればそこにハードミニマルの発火点デイヴ・クラークの名前も付け加えるだろう。




「Rez」(『Rez / Cowgirl』収録:1993年)



アンダーワールドのロマンティックな側面をもっとも美しく結晶化させた歴史的名曲。言うまでもなくこの曲の最大の魅力は、夜空に瞬く無数の星のように明滅するシンセのフレーズ。基本的にGだけのシンプルなベースラインに対し、シンセサイザーに搭載されたフィルターの一種、レゾナンスを上げて生み出される揺らぎが幻想的な上モノは、セカンド・サマー・オブ・ラブの多幸感や祝祭感を息を飲むような美しさで捉えている(曲名の由来はレゾナンス、resonanceだと言われている)。そしてそこに初期アンダーワールド特有のややトランシーなビートが絡んできたとき、あなたは無限のエクスタシーに包まれることになるだろう。

ただリック・スミスも言うように、「Rez」は決して時流に乗った曲ではなかった。リリースは1993年。当時は既にアシッド・ハウスやセカンド・サマー・オブ・ラブの熱狂は過ぎ去っていた。つまりここで鳴らされているのは、もはや失われてしまった時代の幸福な記憶なのである。それゆえに、この曲はどこか切なく物悲しい。

産業が要請するスターシステムを否定し、ジャンルやトライブを越えて異なる人々をひとつにする――そうしたセカンド・サマー・オブ・ラブの精神は、音楽産業に幻滅してクラブカルチャーに飛び込んできたアンダーワールドを大いに感化した。だがその美しい理想を掲げたムーブメントは過ぎ去ってしまった。自分たちのアイデンティティの足場を失ったことで、彼らの心にぽっかりと穴が空いただろうことは想像に難しくない。その喪失感は決して癒えることはないだろう。だが少なくとも、この曲が鳴っている間だけは当時の輝かしい理想は人々に思い出される。狂おしく胸を締めつけるようなこのシンセのフレーズがアンダーワールドのライブで演奏されるたびに、セカンド・サマー・オブ・ラブの幸せな記憶は時空を超え、何度でも私たちの前に蘇るのだ。


「Cowgirl」(『Rez / Cowgirl』収録:1993年)



最初は「Rez」とのカップリングで12インチシングルとしてリリースされた「Cowgirl」は、「Rez」の姉妹曲であることが一聴してわかるだろう。ベースラインや特徴的なシンセのフレーズは明らかに「Rez」を基盤にしている。カール・ハイドが言うには、最初に生まれたのは「Rez」。そしてインストの「Rez」で歌いたいというカールの要望を受け、リックが「Rez」を発展させる形で生み出したトラックが「Cowgirl」だという。昔からライブではこの2曲がメドレー形式で披露されるが、それは曲の成り立ちからしても理に適っているということだ。

やはりこの曲の白眉はカールの歌である。リックもお気に入りだという「僕は誰も傷つけない(Im hurting no one)」から始まる一連のフレーズは、この曲の精神を余すことなく捉えている。「僕は誰も傷つけない/僕は君にすべてを与えたい/僕は君にエナジーを与えたい/僕は君にいいことをしてあげたい/僕は君にすべてを与えたい」――字面だけ追えば、これはシンプルにラブソングだと解釈することも可能だ。しかしユーフォリックなハウストラックに乗せてこのフレーズをカールが歌うとき、そこには別の意味合いも立ち上がってくる。

「Rez」はセカンド・サマー・オブ・ラブの幸福な記憶に対する郷愁だと書いたが、「Cowgirl」のリリックは人々がトライブの壁を越えて笑顔で手を取り合った当時の精神を言葉で見事に切り取ったものだ。上で引用したリリックに込められているのは、隣の他者に対するリスペクトと愛情。当時のクラバーたちの思想がここでは極めて簡潔に表現されている。そしてカールがこの曲をライブで歌い続けることによって、アンダーワールドがリアルタイムで体験したセカンド・サマー・オブ・ラブの時代精神は、次の世代へと、またその次の世代へと伝播していくのである。





「Born Slippy (Nuxx)」(『Born Slippy』収録:1995年)



英国クラブカルチャー史上最大のアンセムのひとつ。そこに疑念を差し挟む余地は微塵もない。1995年に「Born Slippy」のオリジナルミックスのシングルB面としてリリースされた同曲の「Nuxx」ミックスは、ダニー・ボイル監督に見い出されて『トレインスポッティング』のラストシーンを感動的に彩ることになった。それがとてつもない反響を呼び、「Born Slippy (Nuxx)」は単独のシングルとして再リリース。全英2位の大ヒットを記録し(1位はフージーズ「Killing Me Softly」)、時代を象徴する名曲として永遠に音楽史にその名を刻むことになる。クラブシーンを超えて空前の社会現象になったという点では、この曲以上のダンスアンセムは存在しないかもしれない。




これまで何十年にも渡って数えきれないほどのダンスフロアを祝祭の空気に包んできた「Born Slippy (Nuxx)」だが、決して単純に前向きな曲ではない。ファンならば知っての通り、当時のカールはアルコール依存症に苦しんでいた。猥雑な都市の喧騒や狂気を詩的に切り取り、ウィリアム・バロウズのようなカットアップで表現するのが『Second Toughest~』までのカールの作風。この困難なクリエイションをおこなうには、アルコールへの耽溺が不可避だという強迫観念が彼にはあったのだという。いつものように夜のソーホーで酔いつぶれ、トッテナムコートロード駅に向かう途中に書き上げたというこの曲の歌詞には、当時のカールの鬱屈とした感情が爆発している。あまりにも有名な「ラガー、ラガー、ラガー、ラガーという叫び(Shouting lager, lager, lager, lager)」というフレーズは、アルコール依存に対する自己嫌悪とそこからの救いを求める痛切な咆哮だった。

TR-909の素の音とコンソールを通して歪ませた音を重ねて作られたという脳天を打ち砕くように強烈なキックは強迫神経症的で、出口無しの閉塞感に苛まれていたカールの心境を容赦なく増幅させる。畳みかけるようなボーカルと相まって、そこには得も言われぬ緊張感が漂う。そしてこの曲を特別なものにしているのは、緊迫したドラムやボーカルとは対照的に、聴き手を安堵と開放へと導く、深いディレイがかけられた3コードのシンプルなシンセリフだ。特に素晴らしいのは4分33秒、カールの歌とドラムが激しく鳴り響く中、定石よりも少し早いタイミングでシンセのリフが飛び込んでくるところだろう。それまで空一面を覆っていた分厚い雲が晴れ、眩い日差しが降り注ぐ瞬間を捉えたようなドラマティックな高揚感がそこにはある。

結局のところ「Born Slippy (Nuxx)」の美しさとは、一人の孤独な魂の叫びを音楽の力によって歓喜と祝福のアンセムへと転化した点にある。だからこそダンスフロアで「Born Slippy (Nuxx)」が鳴り響くとき、そこに集まったオーディエンスが大なり小なり心の底に抱えているネガティブな感情も同じように浄化されていく。そのカタルシスは何物にも代えがたい。ダンスミュージックの魔法のような瞬間を奇跡的に捉えたこの曲が、永遠のアンセムであることは今後も決して変わることがないだろう。

【関連記事】サマソニ前夜を飾る深夜フェス、ソニックマニアに迷わず行くべき5つの理由



SONICMANIA
2024年8月16日(金)幕張メッセ
開場:19:00/開演:20:30
※アンダーワールドは22:20〜MOUNTAIN STAGEに出演
公式サイト:https://www.summersonic.com/sonicmania/

SUMMER SONIC 2024
2024年8⽉17⽇(⼟)18⽇(⽇)
東京会場:ZOZOマリンスタジアム & 幕張メッセ
⼤阪会場:万博記念公園
※アンダーワールドは8⽉18⽇(⽇)大阪会場に出演
公式サイト:https://www.summersonic.com/

アンダーワールド
最新シングル「denver luna」
再生・購入:https://underworld.lnk.to/denver-luna



アンダーワールド予習プレイリスト(ライブ終了後、実際のセットリストに更新)
再生:https://umj.lnk.to/underworldPL


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください