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Nothing But Thievesが語る日本のファンとの約束、マネスキンやレディオヘッド、堀米雄斗への敬意

Rolling Stone Japan / 2024年8月29日 19時25分

Photo by Takuya Maeda

自身初となる全英No.1アルバム『Dead Club City』をひっさげ、8年ぶりにサマーソニックに帰ってきたUKロック5人組、ナッシング・バット・シーヴス(Nothing But Thieves)。思えば、彼らの日本におけるライブデビューは、2015年のサマーソニックだったのだから、6年ぶりに実現した来日に彼らがサマソニを選んだのも頷ける。

東京公演のライブレポートでもお伝えしたとおり、3度目の出演となる今回のサマソニで彼らはUKロックの正統と言える曲の数々とともに日本のファンと築いてきた絆の強さを改めて証明してみせたわけだが、本番前にメンバー3人で応じてくれたインタビューをお届けしたい。『Dead Club City』における挑戦から日本が世界に誇る堀米雄斗まで、いろいろな話題について語っている。


この投稿をInstagramで見る Nothing But Thieves(@nothingbutthieves)がシェアした投稿 サマーソニック出演時のライブ写真


マネスキンとの交流、堀米雄斗への敬意

―来日は6年ぶり、サマソニは8年ぶりですね。ナッシング・バット・シーヴス(以下NBT)は進化しつづけているバンドであり、最新の姿を日本のファンに見せることができて喜びもひとしおではないかと思います。8年ぶりにサマソニに戻ってきた感想をまず聞かせてください。

コナー(Vo):すごく光栄だよ! 東京に大阪、日本は今までパフォーマンスした国の中でも好きな場所なんだ。久しぶりに戻ってきて、すごくワクワクしてる。2日前に到着したんだけど、おいしいご飯をありったけ食べて、原宿でショッピングして……早速、満喫してるよ。日本のファンの前でまた演奏できるなんて! 待ち遠しい。

ドム(Gt):僕も。前回、日本に来たのは6年前だったから、僕らも年をとったな。今回の機会をもらえてすごくありがたい。コナーが言ったとおり、久しぶりの来日をとにかく楽しんでる。過去3回の日本滞在をこの2日で……いやもう、それ以上に詰め込んだ。

ジェームス(Dr):いつもは、時差ボケの影響で出かけるのが億劫なんだけど、今回はいろんな所を見て回ろうって決めてたんだ。探検できてすごくよかったし、やっぱり楽しいな。

―ジェームスは素敵なTシャツ(『新世紀エヴァンゲリオン』)を着ていますね。好きなんですか?

ジェームス:ああ! 8カ月前くらいからハマっちゃって。今までアニメは興味がなかったんだけど、フライト中にアニメ映画を観たんだ。名前は忘れちゃった。トンネルの中に入っていってタイムリープするみたいな……そんなストーリーだった。それで90年代のオリジナルアニメを探してたら(『新世紀エヴァンゲリオン』)見つけてさ。今は大ファンだよ。


左からドム、コナー、ジェームス(Photo by Takuya Maeda)

―ライブの意気込みをお願いします。

コナー:前回が6年前だから、当然だけど新曲がメインになる。みんなに披露できるのが楽しみだし、どんなライブになるか、僕らもワクワクしてる。もちろん昔の曲も演奏するよ。ライブサウンドやパフォーマンスには力を入れてきたから、ぜひ期待していてほしい。

―因みに、今回のサマソニのラインナップの中で気になるアーティストを挙げるなら?

ジェームス: Vaundyかな。今日のラインナップには入っていないけど。確か大阪だけでのパフォーマンスだったかな(8月18日に出演)。今、日本で流行ってる曲「踊り子」がYouTubeで出てきたんだ。たまたま聴いて、すごくいい曲で印象に残った。

コナー:どんな感じ?

ジェームス:チルでリラックスな感じ。すごくいいよ。

マネスキンを昨年末に取材したとき、ダミアーノがあなたたちの最新アルバム『Dead Club City』を2023年の年間ベストに挙げていました。

ドム:トーマスとは仲がいいんだ。他のメンバーとも知り合いだし、すばらしいバンドだと思う。マネスキンはロックをコマーシャルミュージックの最前線に連れていった。サクセス・ストーリーを作ったんだ。まさしく、サマーソニックのヘッドライナーにふさわしい。いい刺激をもらってるよ。自分たちに正直に音楽をやってるからこそ、みんなを惹きつけるんだろうな。今夜、大阪に向かわなきゃいけないから残念だけど、タイミングが合えば一杯やりたいね。もちろん日本酒で!



―ところで、1週間前まで世の中はパリ五輪で盛り上がっていましたが、イギリスはメダルラッシュだったそうですね。オリンピックは楽しんでいましたか? 印象に残っている競技やシーンはありますか?

コナー:僕はクライミングが好きで観てたかな。日本人選手の楢崎(智亜)選手だっけ? 2位だったよね? 1位はトビー・ロバーツっていう19歳のイギリス人選手でさ。いい試合だったよ。新しい競技もいろいろあって、おもしろかった。

ジェームス(Dr):やっぱり(堀米)雄斗だろ!!

コナー:そうだ、雄斗!! 大ファンだよ。

ジェームス:僕らはスケボーで育ったんだ。彼は……

コナー:ヤバいよ!!

ジェームス:ありえないね。

コナー:オリンピック2連覇だろ? 最後のトリックで大逆転ってヤバすぎる。

ジェームス:ああ。ノーリーバックサイド270テールブラントスライド。新しい技の名前を作っちゃうなんてさ。

最新作『Dead Club City』における挑戦

―金メダルと言えば、NBTの最新アルバム『Dead Club City』はバンド史上初の全英No.1に輝きました。あれから1年経ちますが、コンセプチュアルで野心的な作品が歓迎されたという意味でも、今回の全英No.1は大きな意味があったのでは?

ドム:個人的に、それは僕らのゴールではないと思ってる。(チャートが)必ずしも実力を反映しているとは言えないだろ。UKだけじゃなく全世界で、すばらしいアルバムのほとんどはチャートにランクインしないことが多いし、むしろ表に出てこない。だから、その結果がアルバムのクオリティを証明しているとは必ずしも思っていないんだ。もちろん光栄なことだけど、それは僕らの目指すところではない。それよりも、正直に最大限のクオリティの曲を作っていくことが大事なんだ。そうだな。全英No.1の特典と言えば、イギリス以外の人たちに僕らの音楽を知ってもらうきっかけになったこと。それはすごく嬉しいよ。

―サマソニでのライブで、初めてNBTに出会う人もいると思います。改めてどんなアルバムを作りたかったのか教えてもらえますか?

ドム:『Dead Club City』は4年前から作り始めて、ちょうどパンデミックが収束した頃に出来上がった。アルバムごとに違うことにトライしようとしていて、そのアルバムでも今までやったことのない新しいことにチャレンジしたかった。3作目のアルバム(2020年発表の『Moral Panic』)のムードが気に入っていたのもあって初めは似たような曲を書いていたけど、結局やり直すことにしたんだ。それでコンセプトアルバムにしようと決めてからは、まったく違うマインドセットで、新鮮な気持ちで作曲できるようになった。収録曲は、コンセプトアルバムという形に縛られることなく、一曲ずつが自立している。つまり、善かれ悪しかれ『Dead Club City』のストーリーが分からなくたって曲は楽しめるってこと。そのバランスはすごく難しかったし、少し危険な綱渡りになった。今回は今までで一番レコーディングに時間をかけて、いつもの3倍、6カ月かかったんだ。振り返ると、貴重で楽しい経験だったと思う。僕らの初セルフプロデュースで、まさに自分たちで作りあげたアルバムなんだ。すごく誇りに思ってるし、今聴き返しても「満足の出来だ!」って胸を張って言える。



―『Dead Club City』の収録曲で、現在ライブで演奏しながら特に手応えを感じている曲は?

コナー:大体ロングセットで演奏する曲だから、今回のリストに入ってたか定かじゃないけど(サマソニでは未披露)、僕は「Do You Love Me Yet?」かな。ディスコチューンで、いいグルーヴがあるんだ。演奏すると楽しい気分になる。僕らの曲にしてはサウンドもムードも一味違っていて、いい気分転換になるんだよ。

ドム:僕は「Overcome」かな。僕らの曲って大体悲しいテイストで(笑)、これほどアップリフティングな曲ってあんまりないんだ。セットリストにバラエティを持たせるのにぴったりだね。終盤あたりに演奏することが多くて、みんなとの一体感が生まれる。何て言うか、つながりを感じられる。この曲を演奏すると、会場がいいエネルギーに包まれるんだ。

ジェームス:ドムが言ったとおり。最後のプッシュなんだ。セットのラストに演奏して、最後を締めくくるのにふさわしい曲なんだよ。



―最新シングルであるディスコナンバー「Oh No :: He Said What?」を、『Dead Club City』デラックス・エディション(今年3月リリース)への収録に先駆け、今年1月に先行リリースしたのはなぜですか? 

コナー: この曲は『Dead Club City』のレコーディング中、それもレコーディングの早い段階でできたまったくの新曲なんだ。あのリフができた時、「これは最高にいい」って思った。何度もやり直して、レコーディングの過程でついに納得できたリフなんだ。強度のある曲だったから、アルバムに収録してシングルをリリースするか決めかねて、一旦は入れずに取っておくことにした。今思えばいい選択だった。デラックス・エディションにぴったりの曲だったからね。



サマソニで観たレディオヘッドの記憶、日本のファンとの約束

―新たな制作のアイデアはすでにいくつかあるのでしょうか? これからどんな曲を作りたいですか?

ドム:それが言えたらいいんだけどね(笑)。タイムマシンが欲しいよ。みんなは過去に戻るだろうけど、僕は未来に行きたい。3年後はどうだろう?ってね(笑)。僕らはバンドを続けていきたいと思ってる。ただ、次はどうなるか誰にも分からない。いつも実験なんだ。あるジャンルで音楽を作り始めたとしても、制作の過程でまったく別物になったりする。作曲は一つの決まった形があるわけじゃない。旅するように進んでいくんだ。そうやって『Dead Club City』もできあがった。だから、今はまだわからないよ。

―最近はどんな音楽やアーティストにインスピレーションを得ていますか?

コナー:僕らが作曲やレコーディングをうまくやれているのは、全員がいろんなジャンルの音楽が好きだという点で共通しているからなんだ。インスピレーションは時々によって変わる。新しいアーティストの音楽は頻繁にチェックしてるし、オルタナティブロックは土台としてあるけど、ヒップホップ、ディスコ、メタルにポップ……いろんなジャンルを聴く。特定のものから強い影響を受けていると言うよりは、自分たちから自然と生まれてきたものを書いてるんだ。

―その中でも1〜2組挙げるとしたら?

ドム:そうだな。やっぱりレディオヘッド。8年前にサマーソニックのMARINE STAGEで彼らのパフォーマンスを観たことは忘れられない経験だよ。それ以前にも彼らのライブは観てきたけど、アーティストへの敬意を示した静かな日本のオーディエンス。あの状況で観た彼らのパフォーマンスはまったくの別物だった。すべてのディテールが聴こえてきて、目を閉じると会場には僕一人。まるでプライベートのライブのように感じられたんだ。レディオヘッド、レッド・ツェッペリン、それからジェフ・バックリィはロックのバックグラウンド、僕らのベースにある。


Photo by Takuya Maeda

―今回は日本で6年ぶりのパフォーマンスですが、これから日本のファンとどういった関係性を築いていきたいですか?

コナー:そうだな。フェスのセットとなると、当てられた時間内でできることをやろうとするけど、もし次回ここでヘッドラインができるとしたら……。うん、確かに君の言うとおりだ。日本のオーディエンスと共に作り上げられる何かをしたい。今度機会があったらぜひやりたい。考えておこう。約束するよ。

―最後に、日本のファンに一言お願いします。

ドム:ずっと日本に戻ってきたいと思っていたんだけど、なかなか機会がなかった。ずっと待っていてくれてありがとう! 日本は大好きな国の一つなんだ。ここにはまったく違う美しいカルチャーがある。ここでファンのみんなの前でプレイできるなんて、すごく幸せだよ。すばらしいライブにするから、楽しんでもらえたらいいな。


ナッシング・バット・シーヴス@サマーソニック セトリプレイリスト
https://nbt.lnk.to/SUMMERSONIC2024JPNRS


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