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今市隆二、武道館ライブを考察 人間味溢れる歌とダンスで「R」の世界を表現

Rolling Stone Japan / 2024年9月6日 16時50分

『RYUJI IMAICHI ~ANNIVERSARY STAGE 2024~ "R" in 武道館』より

2024年、今市隆二は自身の活動を「”R”OAD」と名付け、真正面から自分を表現することに立ち返っていた。『RYUJI IMAICHI CONCEPT LIVE 2024 RILY'S NIGHT/LOST”R”』では2年越しとなったファンとの約束を果たし、『RYUJI IMAICHI LIVE TOUR 2024 ”R”ED』ではガッツリとパフォーマンスを魅せることで現在の今市隆二を提示。来たる9月2日に開催された『RYUJI IMAICHI ~ANNIVERSARY STAGE 2024~ "R" in 武道館』は、いうならば「今市隆二とは、なんたるか」を魅せつけた日だったように思う。演出やセットリストは、コンセプトライブとアリーナツアーの内容をミックスして再構築。「”R”OAD」という自分探しの旅の末に、彼が見つけた”自分らしさ”を存分に煌めかせた。

【写真ギャラリー】『RYUJI IMAICHI ~ANNIVERSARY STAGE 2024~ "R" in 武道館』(全10点)

ライブはアルバム『R』のオープニングを飾る、「RED」からスタート。三代目 J SOUL BROTHERSでのメンバーカラーである赤をタイトルに用いた楽曲を、赤いライトに照らされながら、赤い衣装をまとって歌い踊る。彼自身を表現したナンバーをトップバッターに投下し、余すことなく今の今市隆二を見せていくという意志を高らかに表明した。「RHAPSODY」では伸び伸びとした高音を響かせ、「Catch my Light」ではファンキーなビートを身軽に乗りこなし、「TUXEDO」では滑らかな指さばきで鍵盤を弾く。楽曲に合わせて瞬時にリズムの感じかたや喉をチューニングしていく様は、まさにプロフェッショナル。それでいて、ステージに立つ彼は極めて自然体なのだ。いくらだって表情を作りこめるだろうに、世界観を表現する曲を除いては、フラットな今市隆二として音楽を伝え抜いていく。「Angel」で”愛してる Love you”と客席に手を差し伸べる姿は、心から愛をファンへ送っているようだった。





先ほどの”愛してる”を引き継ぐかのように、愛を軸としたセクションへ突入。2024年の活動を象徴する「REALLY LOVE」がバトンとなり、ストーリー仕立てで魅せた『RILY'S NIGHT/LOST”R”』の楽曲へ誘う。ステージの間を移動する場面では「アニバーサリーステージなので、ちょっとしたプレゼントを用意しました」と話し、ファンにサングラスを渡すサプライズも。コロナ禍に生まれた『RILY'S NIGHT』で大事にしてきた触れあいの要素を、一味違うスタイルで入れこんだ。直後には、瞬時に空気を一変させ、異なる情景の恋愛ソングをドロップ。「ROMEO + JULIET」で切ない恋心をしっとり歌い上げたかと思えば、「Sweet Therapy」で妖艶なパフォーマンスにより甘い関係を描き、瞬く間に作品の世界へ潜りこむことで、曲が持つ世界観を豊かに表現してみせた。ありのままの今市隆二として歌を届けることもできれば、作品へ没入して情景を描き出せるのは、彼の強みといっていいだろう。その後は「RENDEZVOUS」を筆頭に「Highway to the moon」「RIDE」と連投し、ドライブにまつわる楽曲を展開。大人の色気を香らせながら、ロマンチックなステージングを繰り広げた。







素のままで魅せる力も楽曲の世界観を繊細に伝える表現力も持ち合わせている、今市隆二。そんな彼を語るうえで、カバー力の高さも忘れてはならない要素の1つだろう。センターステージに置かれた椅子に腰をかけて、たっぷりと歌い上げられた「レイニーブルー」の鮮やかさよ。マイクへ確実に声を落としこみながらも、フレーズによってはビブラートも駆使。ここぞというときには、しっかりと感情のギアを踏みこみ、エモーショナルに引きこんでいく。原曲へのリスペクトと自身の魅力を掛け合わせ、伸びやかに歌声を響かせた。その後には、一面の星空のようなステージバックを背に美声を響かせる「FOREVER YOUNG AT HEART」、言葉を真っすぐに伝え抜く「Thank you」と導き、バラードゾーンを完遂。”And youと”客席に向けて差し伸べられた手は優しく、オーディエンスひとりひとりへの愛に溢れていた。





すでにライブは終盤に差し掛かり、少しくらいバテていても不思議ではないものだが、今市の勢いはまだまだ止まらない。「FUTURE LOVERS」でキレのいいダンスを披露し、会場の熱をさらに引き上げる。お客さんと一緒に踊ったりクラップを巻き起こしたりしながら、「Kiss&Tell」「Talkin' bout love」「THROWBACK pt.2」と駆け抜け、場内を盛り上げ尽くした。本編のラストを飾ったのは、三代目J SOUL BROTHERSのアルバム『PLANET SEVEN』に収録され、今市隆二にとって初のソロ楽曲となった「All LOVE」。”信じ続けよう”と伝え抜く背中が、なんと凛々しいことか。スクリーン歌詞が表示される演出も相まって、彼から放たれる言葉たちが一段と重みを持って降り積もっていた。



その後、ほどなくして始まったアンコールでは「Dont Give Up」と「RE:MIRACLE」をパフォーマンス。”奇跡がここにあること”と力強く刻み、さらには多幸感あるシンガロンを生み出し、晴れやかにエンディングを結んだのだった。







ストーリー仕立ての『RYUJI IMAICHI CONCEPT LIVE 2024 RILY'S NIGHT/LOST”R”』とパフォーマンスに重点を置いた『RYUJI IMAICHI LIVE TOUR 2024 ”R”ED』を経て、開催された『RYUJI IMAICHI ~ANNIVERSARY STAGE 2024~ "R" in 武道館』。2つのライブをミックスさせた内容で本公演が行われたのは「どちらの側面も今市隆二だ」と提示したかったからなのではないだろうか。楽曲に没入して演じるように歌を紡ぐこともあれば、飾らぬ佇まいでステージに立って人間性の溢れる歌やダンスで魅了することもある。相反するような魅せかたであってもシームレスに繋ぎ、エンターテインメントとして昇華していくのが、彼らしさなのだと。そんなチャレンジングなコンセプトにも臆することなく挑戦し、楽しんでしまうのが今市隆二なのだと、示唆していたように思えてならない。「”R”OAD」という自分探しの旅を通して、改めて自分と向き合った彼が、これからどんな表現を届けてくれるのか楽しみだ。

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