Stray Kidsが動けば世界が動く グローバルグループとして圧倒的に飛躍した2024年を総括
Rolling Stone Japan / 2024年12月18日 17時0分
2024年5月6日、「メットガラ」にK-POPグループとして初参加したStray Kids(Photo by Kevin Mazur/MG24/Getty Images for The Met Museum/Vogue)
2024年、7月にリリースした9thミニアルバム『ATE』が米ビルボードアルバムチャートで1位を獲得。初めてのランクインから5作連続で1位に初登場したのはDMX以来で、グループとしては史上初の記録となった。IFPIグローバルアルバムチャートではアジアアーティスト初となる7週連続1位を獲得。デビューから6年。盤石のグローバルボーイズグループとなったStray Kidsの2024年を振り返ってみよう。
1月にはマルーン5、ファレル・ウィリアムス等が出演するパリのチャリティーコンサート「Le Gala des Pièces Jaunes」にK-POPボーイズグループとして初めて出演。2023年にK-POPアーティストとして初めて「Lollapalooza Paris」でヘッドライナーを飾る等、フランスでの高い人気を印象付けた。
「Le Gala des Pièces Jaunes」出演時のパフォーマンス映像
3月には韓国のオリンピック体操競技場にて4度目のファンミーティング「Stray Kids 4TH FANMEETING 'SKZ'S MAGIC SCHOOL'」を開催。翌月、大阪・埼玉の2都市で初めて日本オフラインファンイベント「Stray Kids Fan Connecting 2024 "SKZ TOY WORLD"」を行い、多くの日本のファンと再会を果たした。
神奈川・Kアリーナ横浜で開催された「ASIA STAR ENTERTAINER AWARDS in JAPAN」では「ASEA THE BEST GROUP」「ASEA ALBUM OF THE YEAR」に加え、大賞にあたる「ASEA THE GRAND PRIZE」を受賞し、パフォーマンスを披露。その2日後、ドラマ『Re:リベンジ-欲望の果てに-』主題歌の「WHY?」をリリースし、日本の音楽シーンでの存在感をさらに強固にした。
2024年4月28日、ベルーナドームにて開催された「Stray Kids Fan Connecting 2024 ”SKZ TOY WORLD”」での「WHY?」パフォーマンス映像
5月にはニューヨーク・メトロポリタン美術館で行われたファッションの祭典「メットガラ2024」にK-POPグループとして初参加。TOMMY HILFIGERによるカスタムルックで祭典を彩った。ソロでも雑誌のカバーを飾る機会が増え、ファッション界でも支持を広げた。
グローバルグループとして視野を広げた「新たな金字塔」
7月18日に、所属事務所・JYPエンターテインメントがメンバー8人全員と再契約を締結したことを発表したことも熱いニュースだった。K-POPグループは所属事務所と7年間の契約を結んでいることが多く、7年目に突如解散となることが多い。そのため、契約最終年はK-POPファンの間で”魔の7年目”と呼ばれ恐れられているわけだが、契約満了より半年以上も早い吉報に胸をなでおろし、一層熱量を高めたファンも多かったことだろう。
再契約が報じられた翌日にリリースされたのが9thミニアルバム『ATE』だ。冒頭で記したように、輝かしい記録を次々と打ち立てたStray Kidsの新たな金字塔である。タイトル曲の「Chk Chk Boom」は、ラテン調のヒップホップトラックに韓国語と英語に加えスペイン語とフランス語も混じっており、新たな要素をStray Kids色に染め上げた楽曲からはグローバルグループとして視野を広げた現在地が伝わってきた。「目指すのは高みだけ」「ゴールの持ち主は自分」というパワフルな自信が漲っており、振付も含めて独創的でStray Kidsにしか生み出せないクリエイティブのステージがさらに何段階も上がった印象を受けた。
「Chk Chk Boom」はマーベル映画『デッドプール&ウルヴァリン』の挿入歌になっており、映画に出演しているヒュー・ジャックマンとライアン・レイノルズがミュージックビデオに出演。ヒュー・ジャックマンはStray Kidsが出演したMnetサバイバル番組「KINGDOM : LEGENDARY WAR」の放送当時にStray Kidsのファンであることを明かして以降、何度もStray Kidsへの愛を表してきた。「Chk Chk Boom」のMVが公開される数日前に、Stray Kidsの公式アカウントにバンチャンとフィリックスとライアン・レイノルズとヒュー・ジャックマンが笑顔で並ぶ写真と共に、「Stray Kidsの親友ライアン&ヒューを紹介します。私たちが準備しておいた多くのことを早くお見せしたいです」という意味の英語の文章が掲載され、念願の初対面を果たしたことが明かされていた。
ヒュー・ジャックマンはお馴染みの黄色のコスチュームに身を包んだヒーロー・ウルヴァリンに扮し、MVの冒頭に登場。ニュースキャスターに扮したライアン・レイノルズへとバトンを繋ぎ、Stray Kidsのメンバーがアメリカでロケ撮影した映像が使われ、最後にはデッドブールの衣装に着替えたライアン・レイノルズと共にニュース番組のセットにStray Kidsが現れ、ライアン・レイノルズと絡むシーンも収められている。楽曲だけでなく、MVとしても非常にグローバルな作品になっていた。
また、2024年は『ATE』より前にリリースした、チャーリー・プースをフィーチャーした「Lose My Breath (feat. Charlie Puth)」がビルボードのメインチャート「Hot 100」で90位にランクインし、K-POP第4世代ボーイズグループ初となるランクインを果たした。Stray Kidsが動けば世界のエンタメシーンが動く。そんな目覚ましい活躍を見せ続けた。
海外フェスと日本の大舞台で見せた進化
再契約と『ATE』のリリースの前後には複数の欧米の夏フェスに出演し、ヘッドライナーを飾った。まずは、ミラノ・サンシーロ競馬場にて開催された「I-Days Milano」。メタリカ、ドージャ・キャット、ラナ・デル・レイ、ブリング・ミー・ザ・ホライズン、Sum 41などが出演する中、K-POPアーティストとして初のヘッドライナーを飾った。全曲バンドセットにより、新旧の代表曲で約7万人のオーディエンスを盛り上げた。
その2日後にはこれまたK-POPボーイズグループとして初めてイギリス・ロンドンの「BST Hyde Park」にヘッドライナーとして出演。ハイド・パークは約5万人で埋め尽くされた。
8月には、アメリカの「Lollapalooza Chicago」に出演し、メインステージでヘッドライナーを務めた。2023年の「Lollapalooza Paris」に続き、2年連続で「Lollapalooza」のヘッドライナーに選ばれたことになる。約11万人のオーディエンスが8人を大きなシンガロングで迎え入れる中、「Chk Chk Boom」をフェス初披露。アンコールを終えてもアンコールの声が止まらず、「TOPLINE」と「Chk Chk Boom(Festival Ver.)」と「Haven」も披露した。
「Lollapalooza Chicago」出演時のライブ写真(Photo by Josh Brasted/FilmMagic)
I-Days Milano、BST Hyde Park、Lollapalooza Chicago出演を振り返るドキュメンタリー映像
8月末からは、3度目となるワールドツアー「Stray Kids World Tour <dominATE>」をソウルからスタート。グループ史上最大規模のワールドツアーだ。日本公演は11月14日と16~17日に東京ドーム、フィリピン・マニラ、マカオ公演を挟み、12月5日と7~8日に京セラドーム大阪公演を行った。
筆者は東京ドーム公演の初日を見たが、1曲目に『ATE』の冒頭を飾る「MOUNTAINS」を披露。重厚なバンド演奏と低音を効かせた歌とラップで早速ドームを揺らした。苦難を乗り越えて今の場所を手にしたこと、責任と誇りを抱き、謙虚でありながらも力強く高みを目指すことなどを宿した楽曲で、経験に裏打ちされた自信と貫禄に溢れる今のStray Kidsに相応しいオープニングだった。さらに、前日にリリースされた日本2ndアルバム『GIANT』のタイトル曲「GIANT」を初披露。ダークで攻撃力全開のドラマティックなサウンドに乗せて、「まだまだ成長していく」「痛みを超えて巨人となる」「僕たちには進むべき場所がある」と、さらなる高みを約束する楽曲で新たな強靭さを見せつけた。8人それぞれの個性と進化がはっきりと見てとれたソロパフォーマンスを含む全35曲が披露され、「とにかく自分たちの音楽を多く届けたい」という想いに満ちたライブだった。
東京ドーム公演の模様。《Stray Kids、自身最大規模ワールドツアー日本公演始動「歌手になって本当によかった」》より(Photo by 田中聖太郎)
東京ドームでのライブを終えたリノがインスタライブを行い、無言で寿司とカルピスとプリンを食すというシュールな動画が配信されたことも話題に。「治一郎のプリン」や「寿司とカルピス」といった関連ワードが次々とトレンド入りし、Stray Kidsの人気を裏付けた。
大阪最終公演では日本オリジナル楽曲のクリスマスソング「Christmas Love」を初披露。バンチャンが「来年はもっとおいしくてやばい料理を準備してスキズ8年目、この8人で必ず戻ってきます!」と宣言し、早速2025年の再会を心待ちにしたファンも多いはずだ。
テレビ出演、Stray Kids流のヒップホップ、2025年の展望
ワールドツアーの合間、日本のテレビ番組への出演もあった。大阪公演初日の前日には『2024 FNS歌謡祭』に登場し、「GINAT」を披露。バラエティ番組『うわっ!ダマされた大賞 2024 冬』にも出演し、バンチャン、ヒョンジン、フィリックス、スンミン、アイエンが仕掛け人としてリノ、チャンビン、ハンを騙すテイで企画が始まるが、実はバンチャン、ヒョンジン、フィリックス、スンミン、アイエンが騙される側だったという逆ドッキリ。目の前に突如巨大な恐竜が現れた時の個性あふれるリアクションが評判を呼んだ。12月27日に放送される「ミュージックステーション SUPERLIVE 2024」では「Chk Chk Boom -Japanese ver.-」を披露することが発表されている。
テレビ朝日「ミュージックステーション SUPERLIVE 2024」に、Stray Kidsの出演が決定いたしました!
お見逃しなく!
放送日時:2024年12月27日(金)17:00~23:10
番組HP:https://t.co/vz8W8iMRvK#StrayKids#スキズ#Mステ pic.twitter.com/wWg1NrGUb4 — Stray Kids Japan Official (@Stray_Kids_JP) November 29, 2024
12月12日には「2024 ビルボード・ミュージック・アワード」に出演し、昨年K-POP第4世代ボーイズグループとして初めて「トップ・K-POP・アルバム」を受賞したことに続き、「トップ・グローバルK-POP・アーティスト」部門を受賞。「Chk Chk Boom」と「JJAM」をパフォーマンスした。
本稿を執筆している12月中旬時点での最新作は12月13日にリリースされたアルバム『SKZHOP HIPTAPE '合(HOP)'』だ。Stray Kidsの略語「SKZ」にHIP-HOPを合成してネーミングし、Stray Kidsだけの新しいジャンルの楽曲を収録する「SKZHOP HIPTAPE」の最初の作品となる。”合(HOP)”には8人のメンバーが集まって完成した”合”とHIP-HOPの”HOP”という意味を宿している。メンバーは「自分たちの個性を音楽とパフォーマンスで表現し、自由な雰囲気を生むことがStray Kids流のヒップホップ」というコメントを発表していたが、まさにStray Kids流のヒップホップを突き詰めた斬新な作品となっている。
1曲目に収録された「Walkin On Water」はスクラッチを模した掛け声がキャッチーで、バウンシーで躍動感あふれたStray Kidsならではのヒップホップチューンとなっており、試練や困難に屈せずに立ち向かうという想いが遊び心溢れた描写を盛り込まれながら歌われている。『SKZHOP HIPTAPE '合(HOP)'』には韓国HIP HOPグループ 、EPIK HIGHのリーダーのTABLOとのコラボ曲「U」に加え、ワールドツアーで披露した8人それぞれのソロ曲が収められており、既にワールドツアーを見ている人は追体験でき、これから見る人は期待に胸を膨らませられる。
2025年は香港を皮切りに、南米、北米、ヨーロッパを周るワールドツアー<dominATE>が7月まで続く。大阪公演で宣言された日本での再会がどういう形になるかも気になるところだが、2025年もさらに躍進し、Stray Kidsにしかなし得ない独創的な音楽をさらにパワーアップさせて届けてくれるはずだ。
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