政府、災害ボランティア体制を整備へ 登録制度創設、全都道府県に中間団体設立目指す
産経ニュース / 2025年1月17日 17時36分
政府が災害被災地でボランティア団体を受け入れる体制の整備を急ピッチで進めている。「ボランティア元年」と言われた阪神大震災。令和7年度にも登録制度を創設した上で、被災自治体との調整役として全都道府県で中間支援組織設立を目指す。長年の課題だった官民連携がようやく制度化されようとしている。
「災害対応に慣れていない自治体に代わって経験豊富な専門ボランティア団体が実質的に被災者支援などの公助を担っている」。政府有識者会議が昨年11月にまとめた能登半島地震の対応検証報告は、こう踏み込んだ。昨年1月の能登半島地震では発生直後から300超の団体が被災地で避難所運営などで活動した。
災害支援のボランティアは約137万人が活動した阪神大震災を機に定着。ニーズに応じた物資供給や私有地でのがれき撤去など公的機関に難しいきめ細かい活動を展開した。
ただ、ライフラインが断絶した被災地へ不用意に入れば交通渋滞や復旧の妨げとなる弊害もあり、必ずしも積極的に受け入れられてきたわけではない。平成23年の東日本大震災では一部被災地側が「受け入れ困難」を表明した。一方、ノウハウを蓄積した団体が多数生まれ、28年の熊本地震では専門団体のための情報共有の場ができるなど連携も進んできた。
能登半島地震の対応検証では、自治体と支援団体の連携ができるまで時間を要することが課題に。政府はボランティア団体の登録制度設立で受け入れを円滑化する方針で、当初の登録数は数十団体を見込む。
また、各地域の団体を事前に把握し、調整役となる災害中間支援組織を現状の23都道府県(昨年9月時点)から全国へ拡大する。ある内閣府幹部は「登録は実績に基づいて審査するが、どこまで認めるか悩ましい。調整役としての中間支援組織の役割は大きい」と話した。(市岡豊大)
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