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「いつまで頑張れば」収穫直前の豪雨被害 復興への希望絶たれ、生産者ら憔悴

産経ニュース / 2024年10月1日 12時0分

既に収穫し保存していた米も、倉庫まで押し寄せた泥水に浸かった=26日午前、石川県珠洲市(木下倫太朗撮影)

9月21日に能登半島を襲った記録的な豪雨は、収穫直前のコメに大きな被害をもたらした。元日の地震被害を乗り越え、やっとの思いで作付けした田んぼは生産者にとって復興への希望だった。そんななか、非情にも襲った豪雨被害。「いつまで頑張ればいいのか」。復興への希望を断ち切られた能登の生産者らは2度目の被災に憔悴(しょうすい)している。

「地震よりもひどい被害。振り出しどころかマイナスになった」。能登半島北部、石川県珠洲(すず)市の農業法人「すえひろ」の社員、政田将昭さん(49)は、豪雨災害に肩を落とした。市内を流れる若山川流域で約3・5キロにわたり稲作を行うなど、市内各地でコメの生産を行ってきたすえひろ。21日の大雨では若山川が氾濫し、押し寄せた大量の泥水や流木が稲穂の実る田んぼを浸した。「緑でいっぱいだったところが茶色く濁った川のようになった」(政田さん)

作付けした約80ヘクタールのうち、3分の2の収穫をまだ残していたといい、水の引いた田んぼからの収穫を試みるというが、「仮に収穫できるコメがあっても、品質は落ちるかもしれない」と不安そうに話す。

元日の地震では、田んぼへの水路が破壊され、一時は今年の生産が絶望的な状態だった。その後、行政が川から直接水を引くために仮設のポンプを設置するなど復旧作業を実施。作付面積は地震前に予定していた規模の約7割に縮小したものの、5月には田植えを開始することができた。「ここから何とか頑張っていこう」。震災から立ち上がり、復興に向け希望を持って植えた苗。これから収穫の最盛期を迎えるはずだった。

そんな生産者の気持ちを文字通り流し去るような被害をもたらした今回の豪雨。10月には地震で壊れた田んぼの修復工事を行う予定だったといい、来年は今年以上の生産を見込んでいた。しかし、今では使える田んぼがどれだけあるのか、全く先が見えない状況だという。「いつまで頑張ればいいんだろうか。頑張ろうという気持ちを持つことすら難しくなっている」。復興に拍車をかける収穫期を前に襲った2度目の災害。あまりに無慈悲な現実が生産者らの気力を奪っている。

石川県によると、9月29日までに輪島市や珠洲市など5市町の農地415カ所で土砂の流入やのり面の崩壊といった被害を確認した。このほか、約950ヘクタールで冠水が発生し、うち約150ヘクタールで農作物被害が発生。県は応急対応として、ため池の低水管理や地すべり防止区域の土砂撤去を順次実施するとしている。(木下倫太朗)

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