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裁判所「不誠実で罪深い不正の所為」と検察を痛烈批判 中3女子殺害の再審開始決定

産経ニュース / 2024年10月23日 13時20分

福井市で昭和61年、中学3年の女子生徒=当時(15)=が殺害された事件で懲役7年が確定し、服役した前川彰司さん(59)が裁判のやり直しを求めた第2次再審請求審で、再審開始を認めた23日の名古屋高裁金沢支部決定。決定理由で山田耕司裁判長は、検察側の裁判への姿勢を「不誠実で罪深い不正の所為」と厳しく批判した。

事件で直接的な物証はなく、「事件直後に血の付いた服を着た前川さんを見た」といった複数の知人の証言が有罪の根拠とされた。一方、山田裁判長は、こうした知人証言について「捜査に行き詰まった捜査機関が、誘導などの不当な働きかけを行って形成された疑いが払拭できない」と信用性を否定した。

知人のうち1人は通常審で、事件当日について「テレビ番組を見ているときに(別の知人から)呼び出され、血の付いた前川さんを見た」と証言。ただ、公判中も証言を大きく変遷させるなど、証言の正確性が焦点となっていた。

決定によると、通常審で証拠採用された警察の捜査報告書では、この知人が「見た」とするテレビ番組のシーンが、実際に事件当日に放送されていたという趣旨の記載があった。

一方、今回の再審請求審で開示された新証拠により、捜査当局が当時テレビ局に照会した結果、実際はそうしたシーンは放送されていなかったことが判明した。

しかし、検察側は通常審の審理中にこの事実を把握したのに、捜査報告書の誤りを明らかにせず、番組の内容が実際に放送されたことを前提に裁判を進めていた。山田裁判長はこうした検察側の立証姿勢を「検察官としてあるまじき、不誠実で罪深い不正の所為と言わざるを得ず、到底容認することはできない」と指弾した。

確定判決によると、女子生徒は昭和61年3月19日夜、福井市の市営団地で1人で留守番をしていた際に殺害された。

約7カ月後、前川さんの知人で、当時暴力団組員の男性が「事件直後の前川さんを見た」などと証言したことをきっかけに、関与を疑われた。

福井地裁は平成2年、知人らの証言を「信用できない」として無罪を宣告したが、名古屋高裁金沢支部は7年、一転して信用性を認定。前川さんを犯人とした上で、シンナー乱用による心神耗弱状態だったとして懲役7年を言い渡し、その後確定した。前川さんは15年3月に満期出所した。

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