文字を書かない書 産経国際書会名誉理事長 風岡五城 書の力
産経ニュース / 2025年1月27日 7時0分
書(書道)といえば、言われるまでもなく、意味のある文字(言葉)を書くのが当然と思われている。
高等学校で学ぶ書道の場合も、漢字仮名交じりの書、漢字の書、仮名の書の3分野が明記され、いずれも文字を書くことが基本となっている。また、各地で開催されている書道展の審査においても、誤字や脱字があれば、入選や入賞から外されることはよくある話である。要するに書は、文字を書くことが必須条件とされてきた。
しかし、その常識が崩れた。大戦後の自由な思潮の中で、書の世界においても旧態にとらわれない前衛的な書の制作が試みられるようになった。文字を書かない書の第1号作品は、比田井南谷(ひだいなんこく、1912~1999年)の「心線作品第一・電のヴァリエーション」が有名である。作者の言によれば、作品を書くために古代文字をひもとくうち、「電」という文字のイメージが異常に増殖して、この作品が生まれたという。
文字を書かない書を果たして「書」といえるかどうかは、人によって意見が異なる。何が書かれているのか分からなくても書の鑑賞はできることを思えば、あえて文字にこだわる必要はあるのか。文字でなければ抽象絵画と何が違うのか。意味性をとことん削って、ついには線だけになるのもありではないか。こうした問いに対する答えはいまだ明解ではない。
ちなみに産経国際書展においては、現代書部門にいわゆる文字を書かない書の出品を認めている。今後どのような展開を見せるのか注目していきたい。
(産経国際書会名誉理事長 風岡五城)
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産経国際書会は「書」のユネスコ無形文化遺産登録を推進しております。
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