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前立腺がんの術後、わずかに精嚢への浸潤が判明 PSA値は低いものの再発が心配です がん電話相談から

産経ニュース / 2025年2月4日 8時10分

米瀬淳二医師

今回の「がん電話相談」は、前立腺がんの術後の病理検査で精囊(せいのう)への浸潤が判明し、治療方針に悩む60代男性に、がん研有明病院の副院長で泌尿器科部長の米瀬淳二医師が答えます。

--令和6年6月、前立腺がんと診断。手術前のPSA(前立腺特異抗原)値は5.7でした。

「一般的にPSA値が4を超えると前立腺がんの精密検査が勧められます。確定診断をするための針生検で何本の針にがん細胞が確認されましたか」

--13本のうち2本から検出されました。右側の前立腺に約1センチ大の腫瘍があり、悪性度を示すグリーソンスコアは7。病期分類はT2aで、おとなしめの中間リスクとの診断でしたが、昨年7月の手術(ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術)後、切除した右側の精囊に小さな浸潤が判明し、病期がT3bに上がりました。リンパ節の一部も取りました。

「手術前のMRI検査でがんが漏れなく確認できるわけではありません。手術で摘出した部位の標本の病理学的検査(組織診)で術前に分からなかった場所に小さながんが見つかることは時々あります」

--担当医に前立腺のがんは取り切れたと言われましたが、再発が心配です。

「まず全摘後の再発には、PSA値が0.2を超えて上昇するPSA再発(生化学的再発)と、直腸診やMRI、CTなどの画像診断で再発が確認できる臨床的再発があります。ほとんどの場合、PSA再発後、無治療であれば、多くの患者が数年後に臨床的再発となります。術後のPSA値は?」

--経過観察中で投薬はなく、術後1カ月は0.05、3カ月後は0.01、5カ月後0.02です。

「前立腺を切除したのにPSA値が測定できる原因は、尿道の周りにがんではない前立腺の組織が残っている、小さいがんが前立腺の周りに染み出して残っている、リンパ節や骨などに画像に写らない小さな転移がある-などが考えられます。PSA値が0.2を超えると、がん残存の確率が上がるので、この数値を再発と決めたのです」

「精囊に浸潤していた場合、患者の5割にがんが再発するとのデータもあります。ただし、浸潤がほんの少しだと再発しない人も結構います」

--仮にがんが体内に残っていた場合、PSA値の上がり方は?

「さまざまなパターンがあります。高悪性度のがんや、大きながんの残存ではすぐに上がり、悪性度の低いがんがわずかに残った場合では何年も経てから0.2を超える人もいます。今はPSA値が上がっているわけではなく、精囊浸潤がわずかで、標本上は取り切れています。慎重に様子を見るのがいいでしょう」

--PSA再発した場合、治療はどう進めれば?

「その時の年齢や体力にもよりますので、一概には言えません。治療としては、放射線療法やホルモン療法、あるいは両方の併用が行われます。PSA再発をしても、数値の上昇がゆっくりな場合、治療の副作用を考えると経過観察を続けるほうが得策となることもあるので、担当医に相談して決めてください」

「がん電話相談」(がん研究会、アフラック、産経新聞社の協力)は毎週月~木曜日(祝日・振替休日を除く)午前11時~午後3時に実施しています。2月11日は休みます。電話は03・5531・0110、03・5531・0133。相談はカウンセラーが無料で受け付けます。相談内容を医師が検討し、産経紙面やデジタル版に匿名で掲載されることがあります。個人情報は厳守します。

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