「お母さんも受けてみる」浪人息子に刺激を受けて挑戦 50歳で東大合格した安政真弓さん 私の受験時代
産経ニュース / 2025年2月3日 7時0分
塾講師をしながら2人の息子を育てていた私は50歳の春、東京大学文科三類に合格しました。次男が東大理科一類を目指して受験勉強しているのに刺激を受けての挑戦。合格したのは母だけになったのは残念でしたが、挑戦することの大切さを実感しました。
私は10代の受験でも東大を目指していましたが2浪の末、早稲田大に入ったという経緯がありました。
結婚後は、専業主婦でした。塾講師として働いた経験を生かそうと次男の小学校卒業を機に、兵庫県姫路市内で中学生向け補習塾「安政ゼミナール」を開業しました。
塾は少人数制で生徒に向き合う方針を取っています。夏休みには生徒の美術の宿題など、副教科対策まで行う補習塾で、忙しくも充実した日々を過ごしてきました。東大在学中は休業していましたが、卒業後、再開しています。
きっかけはママ友
なぜ東大を目指そうと思ったのか。きっかけをたどると、30代のころの「ママ友トラブル」にさかのぼります。
息子が幼稚園に通っていたころ、あるママ友とのいさかいをきっかけに「私には何の価値もないのでは…」と落ち込んでしまいました。
状況を改善しようと考えたとき、浮かんだのが勉強でした。もともと、東大を目指すほどの勉強好き。若いころ取得をあきらめたフランス語検定2級合格を目標に勉強を再開することにしたのです。
結果、ママ友とも距離がとれて、2級にも合格。目標達成の喜びを知り、イタリア語やドイツ語などほかの語学にも関心が広がりました。
塾運営のかたわら、ラジオ講座など独学で勉強を続けましたが、語学の源流ともいえるラテン語やギリシャ語は独学での習得が難しく、誰かに師事して学びたいという思いが芽生えてきました。
次男とともに挑戦
時が流れ、次男も浪人して東大受験に挑むことに。私は自分が東大を目指していたころに、模試でA判定まで取っておきながら本番で力を発揮できなかった後悔がありました。東大を目指して受験勉強に取り組む次男を見ながら「一度はあきらめた東大に私も再挑戦したい」と思ったのです。
ただ、私の受験が次男に悪影響を及ぼさないか心配でした。それで6月の終わりころ、次男の予備校での面談で、担任に相談すると「同じ受験生としての母親の頑張りは大きな励みになる」と応援してくださり、受験勉強を本格的に始めることにしました。
平日の夜は補習塾での指導もあり、日常は大きくは変えられません。隙間時間や気分転換として家事をこなし、それ以外の時間はすべて勉強にあてました。独学での勉強でしたが、最初に受けた東大模試で全国40位くらいだったので、手ごたえを感じました。
手帳が必勝アイテム
目標達成にあたって、活用したのが手帳です。年始に目標を立て、3カ月ごとに使う問題集やペース配分を決め、目標設定と同時に模試を受けて実力を確認するようにしました。
長期目標を立てた後、より具体的な勉強計画を週単位で考えます。ポイントは細かく立てすぎないことで、スケジュールの修正がきくように余裕をもたせながら、優先順位をつけて取り組む計画を立てました。
ただ、こうした予定管理はあくまでも目標達成のための目安。手帳活用で大事なのは、予定よりも結果の記録です。勉強がはかどっていないとわかれば、ほかのアプローチを考えるなど、計画を修正することができるからです。
年齢を重ねてからの勉強は記憶力の面などで不利なイメージを持たれがちです。でも、自分に合う勉強の方法は経験によって身につくし、年齢を重ねたからこその強みもあります。国語や社会なんて生きているだけで体感として身につく知識もあるはずです。
勉強を始めてから受験をやめようと思うことはありませんでした。東大に入れば素晴らしい先生から直接学べるというのが大きなモチベーションになりました。
一方、10代のころの受験では模擬試験でA判定をとりながら、不合格になるなど「本番に弱い自分」を引きずっていました。50歳の東大受験でそうしたジンクスを解消したいという思いもありました。
フランス留学も
次男の志望先は東大の理科一類、私は文科三類で、勉強方法も予備校を使う息子と自宅で独学の私とでは異なり、受験勉強中は互いにマイペースを貫きました。夫は私の受験についても「やるからには1回で合格しよう」と応援してくれました。
次男はすでに早稲田大に合格しており、少し安心して東大の結果発表の日を迎えました。合格通知を運ぶ郵便局のバイクが自宅前に止まる音で、誰かの合格を確信しました。
合格通知の宛名は私の名前。そのときは「息子はだめだったか…」という思いが先にたち、自分がやりきったという実感は後からわきました。
大学時代は都内の別の場所で暮らし、時々会ったりもしました。私は東大在学中にフランス留学も経験。教養学部地域文化研究分科イタリア地中海研究コースを卒業しました。
今年も受験シーズンに入っています。受験生の皆さんに言いたいのは「何かに挑戦してうまくいけば、それはプラスワン。失敗はプラスマイナスゼロであって、マイナスにはならない。何も失うものはない」ということです。みなさんが、積み上げてきたものに自信を持ち、力を発揮してほしいと思っています。(聞き手 木ノ下めぐみ)
◇
やすまさ・まゆみ 昭和37年、兵庫県姫路市出身。2浪の末挑んだ東大に落ち、早稲田大第一文学部へ進学。卒業後に地元で結婚、専業主婦となったが、次男の中学進学を機に学習塾「安政ゼミナール」を開業した。平成24年に東大へ進み、教養学部教養学科・地域文化研究分科でイタリア地中海研究コース専攻。在学中には仏・ストラスブール大へ1年間留学も果たした。著書に「普通の主婦だった私が50歳で東大に合格した夢をかなえる勉強法」
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