両陛下、阪神大震災30年式典ご臨席へ 「優しさ、最高の励みに」震災翌年に面会の男性
産経ニュース / 2025年1月14日 19時31分
天皇、皇后両陛下は、平成7年の阪神大震災から30年の追悼式典臨席などのため、16日から1泊2日の日程で兵庫県を訪問される。発災当時、皇太子同妃だった両陛下は、ご在位中の上皇さまと上皇后さまに続き、震災翌月から兵庫に足を運ばれた。重ねられた訪問に、かつて両陛下と面会した男性は「日本国民であることにうれしさを感じる」と話した。
途切れることない優しさ
「ご無事ですか」
皇后さまのお言葉に、戦前生まれの叔父は涙を流していた。その様子を、天皇陛下は優しく見守られていた-。神戸市長田区の「大正筋商店街」で茶販売店を経営する伊東正和さん(76)は8年1月17日、仮設店舗を訪問された両陛下のお姿を、今も覚えている。
地震後、大規模火災が発生した商店街で、全焼した80以上の店舗が集まった仮設の「復興げんき村パラール」。鉄骨の柱に、ベニヤ板で仕切っただけの狭い通路で、両陛下は店主らに言葉をかけられた。叔父と妻とともに出迎えた伊東さんは「さえぎるものもなく、すぐ近くで目線を合わせていただいた。最高の励みになった」という。
陛下は同年2月の誕生日の記者会見で、「被災地の方々が力を合わせて復興に取り組み、町を立ち直らせることに本当に全力で取り組んでおられるその力強さに深い感銘を覚えました」と振り返られた。
追悼式典への両陛下のご臨席は、代替わり後初めてとなる。再建した店舗経営の傍ら、震災の教訓の継承に取り組む伊東さんは、「焼け跡から30年、まちづくりを続け、次世代につないでいくのがいかに難しいか。そうした中で、途切れることのない優しさで包んでくださった皇室の存在を今、改めてありがたく感じている」と話した。
皇室、寄り添い続けた30年
平成7年の阪神大震災で、皇室の方々は発災直後から被災地を見舞い、その後もまちづくりの状況の視察や、節目の追悼式典への臨席などを通じ、被災地の復興の歩みを見守られてきた。
在位中の上皇さまは、上皇后さまとともに発災から約2週間後に兵庫に入られた。県内の避難所を見舞い、火災で甚大な被害のあった神戸市長田区では、上皇后さまが皇居で摘んだ水仙を供えられた。花は保存加工され、市内の観光施設に現在も展示されている。
上皇ご夫妻は17年の10周年追悼式典の際、遺族の少女から贈られたひまわりの種を、庭で育てられた。上皇さまは31年、平成最後の歌会始で《贈られしひまはりの種は生え揃ひ葉を広げゆく初夏の光に》と詠まれた。
天皇、皇后両陛下は皇太子同妃時代の7年2、3月に被災自治体の慰霊祭に臨席し、避難所をご訪問。翌8年の1周年の式典にも臨席し、天皇陛下は「被災の地に真の安らぎのある生活を一日も早く築きあげられますよう、願ってやみません」と思いを寄せられた。
秋篠宮ご夫妻は7年3月に大阪市、7月には兵庫県川西市などを訪ね、被災者をご激励。令和2年の25周年の式典には、ご夫妻が臨席された。(吉沢智美)
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