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リニア大阪延伸で静岡の次の火種は古都バトル 貫くか奈良ルート、世界の京都と続く綱引き

産経ニュース / 2024年5月5日 16時45分

リニア中央新幹線東京(品川)-大阪間の整備をめぐり政府では、6月に閣議決定する予定の経済財政運営の指針「骨太の方針」で開業時期を13年後の「最速令和19(2037年)年」と改めて明示する方向で調整が進む。静岡工区の着工を認めない静岡県知事の辞職で建設に弾みがつくことが期待されるが、名古屋以西はルートの詳細が確定していない。駅誘致を狙う思惑が関西側に足並みの乱れを生じさせていることもあり、目標実現には課題が山積する。

JR東海は品川-名古屋間を令和9(2027)年に開業させる予定だったが、静岡県の川勝平太知事が工事で大井川の流量が減ることなどを理由に静岡工区の着工を認めず、先延ばしを余儀なくされた。だが、川勝氏は職業差別とも受け取られかねない発言で辞職を表明。今月9日に告示される知事選はリニアが争点化しており、選挙後の着工に期待が高まる。

ただ、鉄道アナリストの川島令三氏は「13年後の大阪開業は技術的に可能だとはいえ、実現は簡単ではない」との見方を示す。リニア大阪開業を最大で8年前倒しの令和19年とするため、国は平成28~29年にJR東海へ3兆円の財政投融資を行ったが、こうした公的資金投入はルート面での政治介入を招き、かえって開業時期に影響を及ぼすとの懸念があるからだ。

名古屋以西のルートは「奈良市付近」から大阪へと至る計画だが、詳細は決まっていない。駅を誘致したい京都側は、「世界中の人が訪れる京都を通らないことは大きな損失」などと「奈良ルート」に公然と異を唱えている。

品川-名古屋間の建設費は、難工事への対応などから当初の約5兆5千億円から約7兆円に膨らんだ。ロシアのウクライナ侵攻や円安基調の為替相場などが重なって人件費や建設資材がさらに高騰する中、関西側の足並みが大きく乱れれば、大阪開業に水を差す結果を招きかねない。

JR東海は昨年12月、駅建設位置の決定などに必要な環境影響評価(アセスメント)に着手。三重と奈良の両県で地質の状況などを調べるためのボーリング調査を始めた。一方、京都市は平成26年度に設置した「リニア誘致推進室」を今年4月1日付けで廃止。ただ担当者は引き続き配置しており、誘致を求める姿勢は変わっていない。

川島氏は「令和19年の大阪開業は、JR東海が圧力に屈することなく現行の『奈良ルート』を貫くかどうかにかかっている」と話している。(岡嶋大城)

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