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伊丹の商店街でしか飲めない「おかえりビール」 産官学コラボ、オリジナル商品開発

産経ニュース / 2024年10月2日 11時24分

ビールの味を決めるため何度も開かれた試飲勉強会=6月、兵庫県伊丹市(ひがし商店街提供、一部画像処理しています)

清酒発祥の地とされる兵庫県伊丹市の「ひがし商店街」(正式名称・伊丹阪急駅東商店会)が、同商店街でしか飲めないオリジナルビールを開発した。市や地元の老舗蔵元、大学とコラボレーションして取り組む地域活性化プロジェクトで、その名も「ひがし商店街おかえりビール」。住民主導で地ビールを開発するのは全国的にも珍しく、関係者は4日の販売開始を心待ちにしている。

おかえりビールは、さまざまな店が並ぶ同商店街をイメージし、「ホップの香りが凝縮したフルーティーで爽快感のある味」をコンセプトに市と地元の小西酒造、園田学園女子大が開発。日本酒酵母を使うことでほのかに吟醸の香りも醸し出される。

「商店街の店主たちが何度も試飲・勉強会を開き、この味にたどりつきました」とプロジェクトのリーダー役を務める商店会理事で同大非常勤講師の福田充男さん(67)。製造は小西酒造に委託し、第1弾は2千本(小瓶)を用意。価格は小瓶1本(330ミリリットル)850円程度で、同商店街の約30の飲食店内でしか提供しない予定だ。

「ご当地」がキモ

阪急・伊丹駅前にある同商店街は、古く趣のある街並みが残る一方、再開発が難しいエリアだ。「将来に備え、今から手を打っておかないと」(福田さん)と、清酒発祥の地にある商店街のブランディングとして、「ここでしか飲めないオリジナルビール」を思いついた。

実は先例がある。沖縄県名護市の商店街が町おこしのためにと平成30年10月に発売した地域限定クラフトビール「75(なご)BEER」はわずか4日間で2万3千本を完売する人気ぶりだった。

ただ、製造を委託されたオリオンビールが翌年3月、外資系ファンドなどに買収されたことで、75BEERは一般にも流通。商店街関係者の間では「名護でしか飲めないビールじゃないと意味がない」と残念がる人も。福田さんは「ここでしか飲めないビール」にこだわることが肝要だと知った。

昨年11月、商店街の店主らで行う勉強会で地ビール開発について提案。当初は「あまり乗り気ではなかった」という関係者だったが、名護の商店街やオリオンビールの担当者と懇談し、小西酒造の担当者の講義を聴くにつれ、賛同者が急増。味を決める試飲勉強会では議論が白熱し、味が決まったのは4回目の試飲勉強会だった。

学生提案きっかけ

プロジェクトでは、福田さんの教え子ら十数人も重要な役割を果たした。授業の中でマーケティングなどを研究したほか、試飲勉強会に参加し、商店街店主らへのヒアリングも実施。7月末、商店街の店主や小西酒造の担当者らに販売戦略などを説明した。

商品名も学生たちの提案がきっかけで決まったという。学生らは商店街がかつて実施していた「五七五大賞」の過去の入賞作を調べ、7月末の説明の場で、「おかえりと/むかえてくれる/店がある」という句を取り上げた。「商店街の特徴である温かさとつながりを名称や味やラベルに盛り込んではどうか」。この提案が関係者の心に響き、商品名は「おかえりビール」に決まった。

「ビールがうまくいったら、次はオリジナルの日本酒も造り、清酒発祥の地にある商店街を盛り上げたいですね」。福田さんは次なる構想を思い描いている。(古野英明)

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