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吉展ちゃん事件 誘拐捜査に教訓 全国初の特殊班設置の契機に 警視庁150年 48/150

産経ニュース / 2024年6月13日 7時0分

昭和38年3月31日、東京都台東区の村越吉展(よしのぶ)ちゃん=当時(4)=が遊んでいた入谷南公園から忽然(こつぜん)と姿を消した。4月2日、東北なまりの男の声で村越家へ「50万そろえておいてください」などと電話があり、身代金誘拐と判明する。

捜査陣は7日の現金の受け渡しに命運をかける。現場を捜査員が取り囲み、一網打尽にする計画だった。だが、身代金を持った吉展ちゃんの母を乗せた車が予定よりも3分早く出発。捜査員が現場に着く間もなく、現金は持ち去られた。

以降、犯人からの音信は途絶えた。警視庁は電話音声を公開。同月、情報提供で小原保=当時(30)=が浮上するが、アリバイを主張し、「シロ」説さえ流れた。事件から2年3カ月後の40年6月、捜査1課は名刑事とうたわれた平塚八兵衛=当時(52)=を調べ官に任命し、最後の勝負にかけた。

「実家の土蔵でしみもちを盗み食いしたというが、その年は作っていない」「日暮里大火を見たというが、その日は福島にいたと言っていたではないか」。周到に捜査した平塚がアリバイの矛盾を突いてたたみかけると、小原はうなだれ、自供(佐々木嘉信『刑事一代』)。吉展ちゃんは誘拐当日に殺害されたことも発覚し、日本中が涙にくれた。

小原は46年に死刑が執行されたが、人質が死亡した上、あわや犯人を取り逃がしかけたという事実は、警視庁に重い教訓を与えた。当時はまだ、誘拐事件の捜査手法が確立されておらず、関係者との連携不足や身代金の紙幣番号を控えていないなど不手際が目立った。

事件を受け、警視庁は39年4月、捜査1課に誘拐事件捜査に特化した「特殊犯捜査係」を全国で初めて設置。長きにわたる誘拐犯罪との闘いが始まる。(内田優作)

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