街なかに半開きシェルター開設へ 「福祉をより身近に」社会との接点維持 東京・門前仲町
産経ニュース / 2025年1月17日 21時4分
貧困や虐待などで支援を必要とする人を、閉ざされたシェルターで保護するのではなく、社会との接点を維持しながら、自立を支援する新たな拠点を社会福祉法人が今春に開設する。街なかのビル一棟に緊急用の宿泊機能や飲食フロアなどを設け、地域の人も立ち寄れるイベントを開く予定だ。同法人は「福祉を誰もが受けられ、携われるより身近なものにしたい」と、間口を広げるとともに、社会の理解増進も期待する。
東京メトロ東西線門前仲町駅(江東区)から徒歩1分の場所にある4階建てビルで、新たな支援拠点「ながれる」の改装が進む。社会福祉法人「子供の家 ゆずりは」(国分寺市)が地域に開かれたシェルターとして、今春のオープンを目指している。
カフェやヘッドスパ
さまざまな理由で帰る場所がなく、一時避難が必要な人が無料で宿泊できる。4階に2部屋を用意し、宿泊中に必要な支援の各種手続きを進める。年齢や性別に制限はなく、宿泊者がいる場合はスタッフが常駐する。住所を公開するため、危険が及ぶ可能性がある人は別の施設などにつなぐ。
1~2階は相談者や地域の人たちが集える交流スペースで、日によってはカフェとして軽食を提供したり、花を販売したりするほか、読書会なども開く。3階にヘッドスパも整備し、訪れた人が思い思いに安心して過ごせる場所とする。
ゆずりはは、平成23年から児童養護施設や里親家庭など社会的養護の仕組みから外れた人たちの住居や生活保護申請などを支援してきた。国分寺市に相談所があり、ジャム製造による雇用機会の提供などにも取り組み、メールも含め相談は年間延べ6万件に上る。
新拠点について、ゆずりはの所長、高橋亜美さん(51)は「気軽に立ち寄れるオープンな場所を作りたかった。緩やかな雰囲気の中で、そこにいるとちょっと安心するような時間を提供したい」とする。
制約少なく
宿泊機能を設けながら、地域に開かれた場所とする理由は主に2つあるという。
一つは、既存のシェルターはどうしても行動の制約が厳しくなってしまうことがあった。居場所が明らかにならないよう、携帯での外部との連絡や通院以外の外出を禁止するなど避難者に一定の制約を強いることが多く、特に若者は数日で出てしまったり、最初から断ってしまったりすることが多い。性別や年齢にも制限があり、週末や年末年始などは、すぐに居住を開始できないこともあった。
もう一つは、支援者と相談者という限られた人間関係における難しさだ。支援に期限はなく、支えていく中で信頼関係と同時に依存も深まり、要求も過剰になってしまうことがあるという。高橋さんは「限られた人だけが携わる支援は限界にきている。ずっと支援される側としてではなく、社会でいろいろな人と接する中で、安心や楽しいことを見つけられる場所を作っていけたら」と、安心して生きることにつながることを期待する。
新拠点は、福祉に携わりたいと考えている人が一歩を踏み出す場所にもしたいという。「困難な状況にある人の支援にもっと多くの人が携われるようにしたい。支援者が当事者を守りすぎて外部と関わらせないよう囲うのではなく、敷居を低くし、苦しい人が社会で安心して生きていく方法をともに考えたい」。そう高橋さんは力を込めた。
ゆずりはは、公式サイトで運営資金を募っている。(王美慧)
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