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進化する非常食 おいしく、温かく、アレルギーにも対応…煮込みハンバーグなど人気の献立も

産経ニュース / 2025年1月12日 8時0分

レスキューフーズ 一食ボックス「煮込みハンバーグ&ライス」(ホリカフーズ提供)

最低でも3日、1人9食分の備蓄が必要とされる非常食。味はさておき、おなかを満たす、というイメージがあったが、おいしさにこだわったものも出てきた。

できたての、きのこご飯。湯気を立てるのは、炊飯器ではなく、みかん箱大の段ボール―。

東京・荒川区立第五中学で昨年12月、非常食を使った炊き出し訓練が行われた。同区は地域防災の担い手を育てるため、公立中に「防災部」を設置。訓練には部員約20人が参加した。

使ったのは、水やお湯を加えると食べられるアルファ米の非常食だ。50食分を一度に作ることができるセットで、段ボール箱にアルファ米や具材、衛生用品の手袋、スプーン、弁当容器などが入っている。

部長の同中3年、大河内優生さんらが調理を実演した。箱に大きなポリ袋をかぶせ、中にアルファ米と具材を入れ、8リットルのお湯を注ぐ。箱を閉じて15分置き、しゃもじで混ぜれば出来上がり。水(15度)だと60分ほどかかる。

「いい香り」「おいしそう」。湯気が立ち上る箱を囲み、部員がおにぎりを作っていく。いよいよ実食。「おいしい!」と笑顔でほおばった。

記者もいただいた。ブナシメジ、シイタケ、ナメコ、キクラゲの4種のきのこが入っていて、うま味や歯応えも楽しめ、満足感が高い。ご飯も、普通のご飯とほぼ変わらない。

この非常食セットを販売する尾西食品(東京都港区)の広報、栗原恵美里さんによると、アルファ米は炊きたてのご飯を熱風で急速乾燥させたもの。同社は国産米を使い、品種ごとに炊飯と蒸らしの時間を変え、おいしさにこだわる。

また、より多くの人が食べられるようにと、具材のアレルギー対応を進め、イスラム教の戒律に従った「ハラル認証」を得たセットを販売。きのこご飯は28種のアレルギーに対応する。そうした情報は、非常食のパッケージに明示されている。

「パッケージに書かれた原材料や認証マークなどの情報を避難所で共有すれば、非常食にまつわる不安も減るはず」と栗原さん。

副部長の3年、川端俊生さんは「アレルギーがあり、非常食は普段の食事以上にハードルが高いというイメージがあった。説明を聞いて安心感を覚えたし、おいしかった」と話した。

阪神大震災の被災者の​声で

ガスや電気が使えなくても、温かく食べられるように工夫した非常食もある。ホリカフーズ(新潟県魚沼市)は、発熱剤によって火や水を使わず温かい食事がとれる「レスキューフーズ」を販売する。

開発のきっかけは平成7年の阪神大震災。歯が弱くかたいものが食べられない。温かいものが食べたい。そんな被災者の声だった。

「どれだけ満足度があるかを重視している」(鈴木淳一・営業課長)といい、カレーライスや牛丼、煮込みハンバーグなど人気の献立がそろう。「ハンバーグはやわらかく食べやすい大きさにし、カレーのルーは喉を通りやすい粘度や味付けに」と工夫もする。

温かく食べ応えのある非常食には、被災者や被災地で復旧活動に携わる人から「元気が出た」と声が寄せられているという。(本江希望)

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