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米国育ちのクルミで手堅い栄養補給を 「どんなレシピにも合う万能食材」

産経ニュース / 2025年1月26日 8時10分

緑色の仮果(かか)に包まれた殻付きのクルミ=米・カリフォルニア州

縄文時代から日本で食べられてきたクルミ。身近な食材だが、実は日本で消費する9割以上が米国産だ。一大産地として知られる米カリフォルニア州を訪ねた。

クルミは主に同州の中央を縦断するセントラルバレーと呼ばれる地域で栽培されている。肥沃(ひよく)で水はけの良い土壌に加え、日照時間が長い、昼夜の寒暖差が大きいなど、クルミの木が最もよく育つ気候条件がそろう。4600軒以上あるクルミ農家の多くは、1世紀以上にわたり生業(なりわい)を受け継いできた家族経営だ。

その一つ、4世代続くケニー・ディケンズさん(46)の農園では、300エーカーの敷地で1万8000本のクルミの木を栽培している。

クルミの収穫期は9月から11月。昨年10月初旬に農園を訪れると、まさに収穫の最盛期だった。「ツリーシェーカー」という農機具でクルミの木を揺らすと、ザーという音とともにクルミの実がいっせいに落ちた。

ディケンズさんは「落としたクルミは外皮を取り除いて洗浄し、その後、最適な湿度レベルまで脱水(風乾燥)して貯蔵する。これらの作業を24時間以内に行うことが、クルミの風味や品質を維持するために何よりも重要」と教えてくれた。貯蔵したクルミは加工施設でむき実にし、大きさを選別、仕分けしてから低温で保存する。

ギョーザの具に

カリフォルニアくるみ協会(東京)によると、米国内での消費は36%で、残り64%は輸出される。

世界にはさまざまな食べ方がある。米国ではリンゴなど果物に添えたり、サラダやシリアルに混ぜたりして食べるのが一般的だ。

米国からの輸入量トップのドイツは、そのままスナックとして食べるほか、クリスマスの伝統的なパン菓子「シュトーレン」にたっぷりと入れる。インドではカレーに、また中東では、ゆでたナスにクルミをはさんでオイル漬けにした料理「マクドゥース」が定番。

一方、日本では、パンの具材やつくだ煮に。カリフォルニアに本社を置くクルミ加工・販売企業「アルパイン・パシフィック・ナッツ」の社員として来日したことがあるディケンズさんは、「クルミパンは日本特有。アメリカにも広げたいね」と話した。

肉や魚など動物性タンパク質を摂取しないベジタリアンにとって、クルミはタンパク質がとれる食材として人気があるという。カリフォルニアにある料理教室のシェフ、ティム・グラブルさんは、砕いたクルミを豆や野菜とともにギョーザの具に使う方法を提案。「クルミが入ることで嚙(か)み応えが出て、うまみやコクも加わる。ベジタリアンはもちろん、肉や魚がOKな人もヘルシーな料理として試してみてほしい」

心疾患リスク減

クルミの主成分は多価不飽和脂肪酸で、健康への効果から近年注目されているオメガ3脂肪酸を豊富に含むのも特長。日本のクルミ輸入量は年間約1万8000トン。10年前の約1・6倍で、消費増加はクルミパン人気やロカボ(低炭水化物の食事)が話題になった影響があるようだ。

米では2004年、食品医薬品局(FDA)が「クルミの摂取が冠動脈性心疾患のリスクを減少させる可能性がある」との機能性表示を認可。欧州連合(EU)や英国でも「心臓に良い食品」との表示が認められている。カリフォルニア州立大学ロングビーチ校の栄養学准教授、レイチェル・ブレインさんは「クルミをはじめとするナッツを食事に加えることで食事の質が改善されることが明らかになっている。健康にいいのはもちろん、どんなレシピにも合う万能な食材のクルミを毎日の食事に活用してみては」と話している。(平沢裕子)

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