昔懐かしい学芸会のような高齢者のハンドベルコンサート 自らを振り返り感慨にひたる 家族がいてもいなくても 久田恵(816)
産経ニュース / 2024年10月31日 17時32分
じっとりした日々がようやく終わりを告げ、さわやかな秋が訪れつつあった日曜日。
私が、毎日食事に通っている「シニアハウス」(別名・高齢者ホーム)で、ハンドベルのコンサートが開かれた。
行ってみると、机が片づけられた食堂には、椅子がびっしり並べられていた。
そして、そこに色とりどりの愛らしいベルを手にした入居中の高齢者たちが、緊張した面持ちで並んでいた。
それが、なかなかにシュールな光景だった。
そんな中、ハウスの機関誌作りにかかわってくれている私の仕事仲間がやってきて、せっせと写真を撮ってくれていた。
その様子をぼーっと眺めていたら、「そちらも頑張ってよう~」などと言われてしまった私だった。
もうすでに役立たずの身ではあるけれど、そう言われれば、それなりに私も頑張らねばと、緊張する。
客席には、入居者たちの親族が、子連れや孫連れで並んでいて、なんというか、昔懐かしい学芸会のような光景が展開していた。
そういえば、小学生の頃、授業参観日に、親の姿が気になって、後ろを振り返ってばかりいたことを思い出した。
母が「前を向きなさい」と、目で合図をするのだが、意味が分からない。
そのせいで、「なあに?」と、ますます後ろばかり見ていて、ついに先生に叱られたことがあった。
兄も姉もちゃんとしていたらしく、母は、「ほんと、あんたは、恥ずかしい…、同じように育てても、同じように育たない」などと言われた。
私はどこか調子のはずれた子供だった、なんてことを思い出してしまった。
あれから、かくも長き月日がたった。
が、その人の「困ったところ」は、半世紀以上たっても直らない。そう思うと、なんとも感慨深い。(ノンフィクション作家 久田恵)
◇
ひさだ・めぐみ 昭和22年、北海道室蘭市生まれ。平成2年、『フィリッピーナを愛した男たち』で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。介護、子育てなど経験に根ざしたルポに定評がある。著書に『ここが終の住処かもね』『主婦悦子さんの予期せぬ日々』など。
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