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銅線窃盗 世界で深刻化 欧州では電車の遅れに停電、マンホール消失、教会の屋根まで…

産経ニュース / 2024年5月10日 14時10分

日本各地で広がる銅線などの金属窃盗は、欧米でも深刻な問題になっている。電線や信号ケーブルが遮断され、電車の遅れや電話の不通が続出。人命にかかわる事態に発展しており、各国が警戒を強めている。

英は10年間で約8300億円の被害

英国では1月、金属窃盗をめぐる議会報告書が公表された。「盗難被害額は10年間で43億ポンド(約8300億円)にのぼる」と警鐘を鳴らした。

報告書によると、英中部ドンカスターでは2022年、4日間で160カ所のマンホールが盗まれる事件が発生した。このほか、金属の傾斜台がなくなって車いすが立ち往生したり、病院が停電になったりしたケースもあった。最近は各地の教会で銅板の屋根が盗まれているという。

盗難は17年、中国が外国ごみ輸入禁止策を発表し、廃金属輸入を規制した際にいったん減少したが、国際的な銅価格の上昇で再び増えている。報告書は英国内で約60の窃盗集団が暗躍しており、生活苦で窃盗に手を染める個人も増えていると指摘した。

フランスでも被害が広がる。昨年春には北部で送電線が1キロにわたって切断され、観光列車が運行できなくなった。電話線の遮断で村民が外部と通信できなくなり、高齢者が孤立したこともある。仏通信最大手オレンジは昨年、国内で1200キロ分の電線が盗まれ、インターネットや電話の不通を招いたと発表した。

銅価格の上昇も一因に

仏公共放送によると、銅1トンは現在、8200ユーロ(約134万円)で取引され、主に外国に転売されている。3年間で価格は約4割上がり、犯罪増加につながったとしている。仏南部では1月、警察が約200人を動員して一斉摘発を行い、窃盗グループの十数人を逮捕。8トンの銅線を押収した。

交通網への影響も深刻だ。仏紙ルモンドによると、仏国鉄では22年、銅線盗難によって4万台以上の列車の運行に障害が出て、2000万ユーロ(約33億円)の損失が出た。ドイツでも、3千台以上の列車の遅れを招いたとしている。銅線盗難は、米国やカナダでも続出している。(三井美奈)

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