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岡山・JR亀甲駅は「カメ」づくし 甲羅屋根に八角形の駅舎、闇夜に浮かぶ光る時計盤の目 休日に訪ねる

産経ニュース / 2024年5月7日 11時0分

たまごかけごはん専門店「食堂かめっち。」は令和5年12月、来場者100万人を達成した

明治31年12月、中国鉄道本線開業時に設置されたJR津山線の亀甲駅(岡山県美咲町)。旧駅舎の老朽化もあり、平成7年8月に改装された現在の駅舎は「名は体を表す」を地でいく。八角形の駅舎につく黄色い亀の頭部には、色とりどりの水玉がデザインされ、両目は時計になっていて夜には文字盤が光る。屋根には亀の甲羅のような模様が施される徹底ぶりだ。駅の構内では亀が7匹飼われ、石の上にのった亀の置物など亀にちなんだ小物も数多く展示されている。

「亀甲」という名前は駅から約200メートル離れた「亀甲岩」に由来する。亀甲岩は最長10メートルほどで細長く、平たい形から、その名が付いた。昔、行き倒れた旅人を里の人が哀れんでこの地に埋葬したところ、ある青い月の夜に巨大な岩が弘法大師の尊像を乗せてせり上がったという伝説がある。

現在の駅舎建設当時は合併前の中央町時代。ふるさと「亀甲」に強い愛着を持っていた当時の町長が大の亀好きで、自らデザインを提案したという。

委託管理しているNPO法人「亀の街づくりセンター」が午前6時45分から午後6時45分まで、定期券と切符の売りさばきを行う。商店会員ら地元住民が駅の清掃活動や花壇の手入れをして、駅を守っている。

センターは改装の頃、管理を行う任意団体として商店会メンバーを主体に発足し、8年前にNPO法人化した。代表の藤井啓輔さん(82)は「変わったイメージの駅舎を造ってもらって、車で見物に来る人が増えてにぎわった」と話す。今でも、5月の連休期間やお盆、正月、学校の長期休みなどには、大勢の鉄道ファンや観光客が訪れるという。

新しい町おこしとして、町内に西日本最大級の養鶏場と日本棚田百選に選ばれた2カ所の棚田があったこと、明治時代に活躍した町出身のジャーナリスト、岸田吟香(ぎんこう)の好物だったことから、平成20年にたまごかけごはん専門店「食堂かめっち。」を第三セクターで始めたところ、大人気に。亀甲駅と「食堂かめっち。」はセットで観光の定番コースとなっている。

津山線は全線単線で非電化、岡山駅から津山駅を結ぶ58・7キロに起・終点駅を含み17駅がある。亀甲駅に停車する列車は1日で上下45本。クルマ社会への移行が進む中で、町のにぎわいも駅周辺から国道沿いに移りつつある。ローカル線を取り巻く状況はどこも厳しく、利用客は減少傾向だ。

岡山県統計年報によると、亀甲駅の利用客数は25年前は350人前後、ここ数年は1日平均200人前後で推移している。

センターの担当者は「少子高齢化で通学する若年層自体が少なくなった。津山エリアから大学・短大が移転し、岡山市内の賃貸住宅相場が下がって転居の方が安上がりになり、人口減少で通学、通勤客も減っている」と説明する。

藤井さんは「駅舎自体が観光スポット、町のシンボルでもあるので、しっかりと残していけるよう努めていきたい」と話した。(和田基宏)

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