東日本大震災 家屋被害程度と死亡リスク「有意な関連なし」 東北大・岩手医大が追跡調査
産経ニュース / 2025年1月25日 9時0分
東北大(仙台市)と岩手医科大(岩手県矢巾町)は、東日本大震災による自宅家屋の被害の程度がその後の住人の死亡リスクにどのように影響したかについて、宮城、岩手両県の約6万人を対象に平均6・5年の追跡調査を行った。その結果、家屋被害の程度と死亡リスクに統計学的に有意な関連はなく、震災後の国や自治体、医師らによる公衆衛生の取り組みが効果的に死亡リスクを抑制した可能性があるという。
大規模自然災害による家屋被害は身体的な損傷、経済的な損失、住み慣れた家屋への喪失感、転居-などを伴い、長期的なストレス反応をもたらすため、死亡リスクに対する影響を調べた。
家屋被害の程度を6択で回答
調査では被災地の医療復興のための「東北メディカル・メガバンク計画」で収集したデータを活用した。この計画に賛同した人たちに家屋被害の程度を「被災地に住んでいない」「被害なし」「一部損壊」「半壊」「大規模半壊」など6択で回答したもらい、その後、平均6・5年間をかけて死亡状況を追跡した。
令和3年12月までに死亡を確認した1763人分のデータを用い、家屋の「被害なし」群の死亡リスクを基準の「1」として詳しく調べた。「大規模被害」群と「小・中規模被害」群が0・98、「被災地に住んでいない」群が0・96となり、統計学的に死亡リスクの違いはほとんど見みられなかったとした。宮城、岩手の県別や年齢別でも有意な関連はなかったという。
東北大東北メディカル・メガバンク機構の中谷直樹教授は「両県の自治体、医師会、医療施設などの取り組みが、死亡リスクの増加を抑制した可能性がある」と分析。被災地での医療体制の強化や公的支援による医療費負担の軽減など、さらなる研究が必要としている。(菊池昭光)
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東北メディカル・メガバンク計画 東日本大震災からの復興事業として平成23年から始められ、被災地の健康復興と、個別化予防・医療の実現を目指している。現在までに計15万人規模のバイオバンクを整備している。
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