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動物園にできた通信制高で不登校生徒らの学習支援 飼育員や獣医師の指導受け資格取得も

産経ニュース / 2024年4月25日 8時0分

動物園付属型通信高校「さくら国際高」宇都宮キャンパスの原田浩司校長(右)と運営を担う「Crew」の伊川夢起代表=宇都宮市の宇都宮動物園(伊沢利幸撮影)

不登校の生徒らが動物の飼育技術などを身につけながら学習を進める動物園付属型の通信制高校が今春、宇都宮市の宇都宮動物園に開設された。動物園と連携した通信制高校は全国でも珍しく、動物との触れ合いを通じて非言語的なコミュニケーション能力の向上などを図る。飼育員や獣医師らと実習を重ね、動物に関係した資格の取得も目指す。

映像制作のスキルも

開設されたのは、長野県に本部を置く通信制高校「さくら国際高校」の宇都宮キャンパス。運営は、栃木県内外で学習塾や放課後等デイサービスを経営する宇都宮市の合同会社「Crew(クルー)」が担う。

同社代表の伊川夢起(ゆめき)さん(34)が社会性やコミュニケーションの障害などを抱える発達障害の子供たちの指導にあたる中で、「座学だけではなく、職業的スキルが身につけられる通信制高校が必要」と感じたのがきっかけ。さくら国際高校と話し合い、昨年12月に長野県から設置認可を受けた。栃木県内でのキャンパス設置は初めて。

キャンパスを動物園に付属させたのは、人とのコミュニケーションが苦手な生徒たちが動物との触れ合いを通して心を癒されたり、非言語的なコミュニケーション能力を身につけたりできるとの思いからだという。

動物園の施設を校舎として活用しスクーリングを行う。動物飼育、ビデオグラフィ、ネイルアート、農業テクノロジー、調理経営など8つのコースがあり、動物園以外に県内4カ所の学習塾や事業所をサポート校と位置づけ、コースに応じた実習も行う。

このうち、動物園での実習は動物飼育とビデオグラフィの2コース。動物飼育は飼育員や獣医師の指導を受けながら動物の世話をし、愛玩動物飼養管理士の資格取得も目指す。ビデオグラフィは園内の動物をテーマに撮影し、映像制作の実践的なスキルを学ぶ。

伊川さんによると、設置認可の遅れで生徒の募集が進まず、今年度の入学者は宇都宮市の男子生徒(15)が1人。動物好きで動物飼育コースに入り、将来は飼育員を目指したいと夢を膨らませているという。

教育制度が限界に

宇都宮キャンパスの校長は元小学校校長で筑波技術大客員研究員の原田浩司さん(70)。長年、県内でスクールカウンセラーもしている。

学校に適応できずに不登校となる生徒は増え、原田さんは「小中学校で学校に行っていない子供たちは(全国で)約30万人。教科書中心、カリキュラム中心の今の教育制度はシステム的に限界にきている」と感じてきた。「通信制高校はそういう子供たちの受け皿になっている。実習・体験型の学習を通して子供たちが意欲や元気を取り戻し、座学では得られない生活上の知恵や生きる力が養われる通信制高校にしていきたい」という。

3学年合わせた初年度の定員は72人。動物園での授業は5月7日から始まる。

なお、宇都宮キャンパスへの問い合わせは、運営本部0289・74・7900。(伊沢利幸)

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