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大阪万博「行きたい」3割なのにボランティア殺到の不思議 博覧会オタクが読み解く魅力

産経ニュース / 2024年5月9日 8時0分

2015年「淡路花博」でボランティアを務めた二神敦さん(本人提供)

開幕まで1年を切った2025年大阪・関西万博。ボランティアの募集は、目標の2万人をはるかに超える人気ぶりを見せている。だが、大阪府と大阪市が昨年末に実施したアンケートでは、来場の意向を示したのは3割程度。万博への興味がいま一つなのに、なぜボランティアは人気なのか。「博覧会に通いすぎて浪人生になった」と衝撃の過去を持つ自称〝博覧会オタク〟らが語るボランティアの魅力とは。

思いはさまざま

「ネガティブな意見は当然あると思う。でも、やるからには成功してほしい」。4月22日、大阪市内で開催された万博のボランティア説明会に参加した会社員、稲熊正一さん(62)=滋賀県草津市=はこう話した。

米国在住の知人が日本での万博開催を知らなかったことに衝撃を受け、応募を決意。普段は仕事があるため、休日に活動できるボランティアを選択したという。1970年大阪万博を訪れた稲熊さんは「当時自分が経験したわくわくを、子供たちにも体験してほしい」と来場を呼びかける。

応募者のボランティアに対する思いはさまざまだ。動機を「喜寿の記念」と話す女性(76)=大阪府枚方市=は、約20年にわたるボランティア経験を生かしたいといい、「『非日常』を届ける一助になりたい。1年後も健康に過ごそうという目標にもなる」と意気込む。

日本国際博覧会協会(万博協会)と大阪府、大阪市は今年1月からボランティアを募集。4月末の締め切りまでに目標を大幅に上回る5万5222人(速報値)の応募が寄せられ、抽選で決定する予定だ。万博協会の担当者は「予想していなかった。明るいニュースで、ありがたい」と驚きを隠せない。

ボランティアはお得

多くの人をひきつける万博ボランティアの魅力はどこにあるのか。

国内外の160以上の博覧会に足を運び、愛知博(2005年)や上海博(10年)でボランティア経験がある自称「博覧会オタク」の会社員、二神(ふたがみ)敦さん(51)=神戸市北区=は「半年にわたって非日常を味わえる空間は魅力的。本当は興味を持っている人が隠れていたのでは」と笑顔を見せた。

万博では意識的に調べたり旅行したりしないと知ることができない国にも出会えることが醍醐味(だいごみ)だと強調する二神さん。これに加え「来園者では見られない側面を知ることができるボランティアはお得」と力説する。

今回の万博ボランティアは、会期中に5日間以上、1日3~6時間程度活動できる18歳以上であれば応募可能だ。ゆえに二神さんは「フルタイムでの活動を求められた愛知万博などに比べ、ハードルが低いことも人気を集めた要因ではないか」としている。

受験勉強そっちのけ

二神さんが博覧会にのめり込むきっかけは、8歳のときに訪れた「ポートピア博」(神戸市、1981年)。会場で繰り広げられた「未来社会」に心が躍った。

以降は、博覧会とともに歩んだ人生といっても過言ではない。高校3年当時には、大阪で「花と緑の博覧会」(90年)が開催され、受験勉強そっちのけで通った。浪人する結果になったものの「受験は毎年あるが、万博は一度だけ」と悔いはない。

就職後も博覧会への関心は冷めず、今年も浜松市で開かれている「浜名湖花博」でボランティア活動に励んだ。

「私にとって万博は、友人との飲み会や好きなアーティストのライブ、海外旅行と同じ」と二神さん。情報通信技術の発達で、はるか遠くの国にいる人とつながり、海外の景色を見られる時代になったが「いくらデバイスが発達しても、生に勝るものはない。万博はそれを体現しているのではないでしょうか」。(石橋明日佳)

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