対中抑止で「日米同盟は米国にとって極めて重要」 米バーンズ駐中国大使単独インタビュー
産経ニュース / 2025年1月17日 19時53分
【ワシントン=坂本一之】米国のバーンズ駐中国大使は16日、退任を前に産経新聞の単独インタビューに応じ、台湾問題に関し「中国は台湾海峡のコンテナ輸送が止まってしまうような乱暴な軍事行動は決して取らないと世界に示す必要がある」と述べた。対中抑止において「日米同盟は米国にとって極めて重要だ」とも述べた。バーンズ氏は17日に退任。駐中国大使として日本メディアのインタビューに応じたのは初めて。
バーンズ氏は豊富な外交経験から国務長官候補として取り沙汰されたこともあり、バイデン大統領の信頼も厚い。在任中は米中対立の中で首脳会談を実現させた。
米中関係についてバーンズ氏は「二大経済大国、二大軍事大国である民主主義の米国と権威主義政権の中国は全く異なる価値観を持つ」と指摘。「体制上のライバル関係は10年続くだろう」と述べ、軍事や先端技術、貿易・投資で「厳しい競争関係」が継続されるとした。
台湾問題に関しては、同盟国との協力に取り組んできたと説明した。具体例としてバイデン政権で進めた2国間同盟の強化や日米韓、日米比、米英豪といった枠組みを挙げた。
こうした協力を通じ、1国に対する攻撃を全加盟国への攻撃とみなす集団防衛機能を持つ北大西洋条約機構(NATO)と「同様のコミットメントを日韓比豪などから感じている」と信頼関係を強調し、「中国にわれわれのような同盟国はいない」と語った。
習近平国家主席が「東昇西降」と東洋の興隆と西洋の衰退を主張していることに関しては、「大使になる前も今も信じていない」と否定した。
一方、習氏とプーチン露大統領が「強い関係」を築いており、今後の中露や中朝露3カ国の連携に強い懸念を示した。
中国が領有権を主張する南シナ海で軍事的圧力を強めていることには、「大きな国だから自分たちのものではなくても主張できると考えている。違法だ」と非難した。
中国問題への対応で「日本は重要な国だ」とも指摘。日米などが「中国の無責任な行動を阻止するために協力し、強い抑止力へ緊密な防衛協力を図る」ことを訴えた。
◇
ニコラス・バーンズ
米国務省で外交官として活躍し、国家安全保障会議(NSC)のロシア担当上級部長や北大西洋条約機構(NATO)大使を歴任。2005年、ブッシュ(子)政権で国務次官。08~21年、ハーバード大ケネディ行政大学院教授。22年3月、バイデン政権の駐中国大使として赴任した。68歳。
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